故・大杉漣さんが主演・エグゼクティブプロデューサーを務めた映画『教誨師』(10月6日公開)に、草彅剛、天海祐希、黒沢清監督が感想を寄せた。
同作は、2月21日に急逝した俳優の大杉さんが主演・エグゼクティブプロデューサーを務め、教誨師と6人の死刑囚の対話を描いた。半年前に着任したばかりの教誨師・佐伯(大杉)は、死刑囚に寄り添いながらも、自分の言葉が本当に届いているのか、死刑囚たちが心安らかに死ねるよう導くのが正しいことなのか苦悩する。さらに葛藤を通し、彼もまた自らの人生と向き合うことになる。
ほぼ全編が教誨室という限られた空間で、会話劇ながら息つく暇もなく、時にユーモアを交えて魂のぶつかり合いが展開される。 同作の公開に寄せて、草彅、天海、黒沢監督が映画の感想、そして最後の主演作となった大杉さんへの想いを語った。
草彅剛 コメント
映画『教誨師』を見た夜、僕は珍しくなかなか寝付けませんでした。
〝生〟と〝死〟 誰にでも共通して存在する事。
それはとてもシンプルな事なのに、何で人はうまく生きられないのか?
いつの間にか、僕も、薄暗い小さな面会室の中に入って、
死刑囚の方と一緒に、目の前の漣さんの話を聞いているかの様でした。
こんなにも映画と、僕自身の距離が近く感じたのは初めてかも知れない。
きっと、それは漣さんの心と牧師、佐伯保の心が重なり、
本当の教誨師になっていたからだと思います。
300の顔をもつ男、〝大杉漣〟さんの顔が
また一つ、これからも増えましたね。
ありがとう、漣さん。
天海祐希コメント
漣さんの、優しくも鋭い矢で心の真ん中を射られた気がした。
真っ直ぐ、誠実な瞳で漣さんが見ていた事、
そして伝えたかった事が今、ここに残っている。
もう一度、漣さんに触れられた様な、そんな気がした。
黒沢清監督 コメント
日本映画の俳優はつくづく層が厚いなあと思った。 凛とした俳優、いかにも何気ない俳優、得体のしれない俳優、 見ていてほっとなる俳優。そして、それらの頂点に大杉漣がいる。
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