お部屋にもともと設置してあった設備が原因で起こったトラブル。その修繕費は大家さんが負担してくれるのでしょうか? それとも自分が負担しなければいけないのでしょうか? 備え付け設備に不具合があった時の注意点を不動産・住生活ライターの高田七穂さんに伺いました。
備え付けエアコンによる修繕費について
Q:備え付けエアコンの取り付け口から室内に水漏れしている……。そのままにしていたら、壁がはがれてきた…。修繕費用は大家さん持ちですよね。
A:不具合があるのに連絡しないで被害が拡大した場合、その修理費用の一部は、あなたの負担になりそうです。
賃貸物件の中にはエアコンやガスコンロ、家具などが室内に設置されていることがあります。これらは、大家さんが設置した場合や、以前、住んでいた人が大家さんの許可を得て、置いていった場合などがあります。大家さんの負担で設置したものに不具合が起きたら、その修理費用は、大家さんの負担。大家さんが設置した設備かどうかは、契約書に明記されています。
部屋を借りていて、設備や室内の不具合に気付いたら、すぐに連絡しましょう。もし、放置して、その後さらに問題が大きくなった場合、あなたが修繕費用を負担しなければならなくなる可能性が高まります。こういったことは契約書にも書かれているはず。契約書の内容をチェックしてみましょう。
たとえば、国土交通省がひな型(モデル)として公表している「賃貸住宅標準契約書」では、次のように明記されています。似た項目が、自分が印鑑を押した契約書にもあるはずです。
- (契約期間中の修繕)
- 第9条 甲は、乙が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。この場合において、乙の故意又は過失により必要となった修繕に要する費用は、乙が負担しなければならない。
- (以下、略)。注)甲は貸主、乙は借主
エアコンの取り付け口に問題があって水漏れが起きたことは、あなたの原因ではないでしょう。けれども、壁紙がはがれてきた原因は、あなたが放置しておいたから。この分の修理費は負担をしなければならないでしょう。こうならないためにも、小さなことでも「おかしいな」と思ったらすぐ、管理会社や大家さんに連絡するようにしたいものです。「部屋が散らかっているからいやだな」「忙しいから連絡できない」と先延ばしにしていると、あとから大変な目に遭いそうです。
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高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中
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