今年、デビューから20周年を迎えた内山理名。現在、女優業とヨガインストラクターの二足のわらじを履くが、「私は器用じゃないんです」と笑う。NHKBSプレミアムの時代劇『雲霧仁左衛門4』では、主人公の仁左衛門(中井貴一)を支え続ける、公家から商家の女まで、何にでも化けて引き込みを働く"七化けのお千代"を好演中だ。出演作の絶えない人気女優でありながら、ヨガインストラクターの顔も持つ彼女の、女優業への、人生そのものへの向き合い方に迫る。

盗賊の首領・仁左衛門と宿敵である火付盗賊改方長官・安部式部との大勝負が展開する『雲霧仁左衛門4』。老中ぐるみの米価の操作で揺れる大江戸を舞台に、将軍吉宗のご落胤と称する青年も現れ、陰謀がうごめく。そんななか、役には自分自身がにじみ出るという内山演じるお千代の凛とした美しさが際立つ。そこには内山自身の持つ人間力が透けているのだろう。「自分は自分でしかない」と語る内山理名の、新たなる20年に期待大だ。

  • 内山理名 撮影:宮田浩史

    内山理名 撮影:宮田浩史

性別が変わる変化も

――シリーズものというのは、役者さんにとっても特別なものかと思います。

そうですね。シーズン2までで、池波正太郎さんの原作部分が終了だったので、もう次はないと思っていたんです。お千代ともお別れだなと。そうしたら、3があって、今度こそ本当に最後だと思っていたら、シリーズ4があると(笑)。嬉しい驚きです。またあのチームに戻れるのだなと。作品や役への愛着が湧いていますし、中井さん演じる雲霧仁左衛門のリーダー像にとても魅力を感じています。

――同じ役を何年にもわたって演じるというのは、どんな感覚なのでしょうか。

私の演じている七化けのお千代というのはすごく演じがいのある役で、ひとつのシリーズの中でもいろんな役に化けるんです。スタッフの方も楽しんでくださっていて、見ている方を飽きさせないように、今度はどう化けようと、アイデアを出し合っています。毎回、新たな発見がたくさんあります。だからとても楽しいです。今回は、なんと顔ごと変えてしまうシーンもあります。

――顔ごとですか!?

はい。実は性別も変わります(笑)。終盤に出てくるので、楽しみにしていただきたいです。私自身も出来上がりの映像はまだ見ていないので、とても楽しみです。

――内山さんは、お千代のどんなところが好きですか?

仁左衛門のためなら、自分の身を削ってでもどこまでもやるところです。そうした思いって、なかなかないですよね。単純にすごいなと。お千代の強さだと思います。誰かを守りたいとそこまで思える強さ。自分はそうはなれないと思うからこそ、好きな部分ですし、憧れです。

――お千代と仁左衛門の関係性にも、今シーズンでは変化があるとか。

最後はお千代の回だよと、監督にも言われていまして。仁左衛門が、お千代にある言葉を初めてかけるんです。それをお千代がどう受け止めるのか。私自身、すごくドキドキしながら撮影を迎えていました。ずっとこの役をやってきて、やっとこうした思いを描けると。嬉しいです。

――お千代は化けるキャラクターということで、女優業にも通じます。内山さんは、女優デビューから20周年ですね。

ねえ。人に言われて、そうなんだぁという感覚です(苦笑)。

――これまでに、女優を辞めたいと悩むことはありましたか?

うーん、そこまでのことはないですね。目の前のことにぶつかるのはいつものことですし。舞台などの新しいことや、新しい役柄に挑むたびに、いろいろ悩みます。でもそうしたぶつかって悩む思いも、役に反映されている気がします。

――悩みや葛藤が。

はい。そのとき辛かったとしても、そうした気持ちもいつか何かの役に立つだろうと感じます。私生活も含めて、何も悩まずに来た人生よりも、いろんなことを経験して、ぶつかって悩んできたものが糧になっている。私はいま、ヨガインストラクターとしても活動しているのですが、ヨガを始めて気づくことも多いですね。悩み事や辛かった経験を、自分のなかでどう受け止めるのか。どう向き合うのか。その辺の対応はヨガを始めて変わったかもしれません。