職場で「トップダウン」「ボトムアップ」という言葉を時折耳にするものの、はっきりとした意味までは分からない、という人も多いのでは!? そこで本稿では、知っているようで知らないビジネス用語、「トップダウン」と「ボトムアップ」について解説します。
■「トップダウン」「ボトムアップ」の意味
「トップダウン」とは、企業経営などで、組織の上層部が意思決定をし、その実行を下部組織に指示する管理方式のことです。日本語では「上意下達(じょういかたつ)」と言います。上からの指示通りに従業員が動くことで、業務を円滑に遂行していく手法です。
一方「ボトムアップ」は、企業経営などで、下位から上位への発議で意思決定がなされる管理方式のことを指します。日本語では、「下意上達(かいじょうたつ)」と言います。最終決定は経営側が下すものの、現場の声を積極的に拾い上げ、意思決定に反映する手法です。
■トップダウン経営、ボトムアップ経営のポイント
トップダウン経営のポイント
「上層部の指示に基づいて従業員が働く」トップダウン方式ですが、これが、「上層部の命令に従って働かされる」ようになっては、経営はうまくいかなくなってしまいます。一見うまくいっているように思えるかもしれませんが、それは、従業員の我慢の上に成り立っている成果でしかありません。そんな状況が続けば、いずれは反発を招くことになるでしょう。もちろん、適宜命令を出すことも必要ですが、命令を下してばかりの経営者にならぬよう注意しましょう。
ボトムアップ経営のポイント
一方、ボトムアップのポイントは、いかに現場の声をスムーズに拾い上げるかにあります。そのため、経営側と従業員との間で、しっかりとしたコミュニケーションが取れていなければなりません。現場で働く従業員にしか見えないこと、分からないことをしっかりと拾い上げ、いかに意思決定に反映させるかが重要です。下からの声を、組織を持ち上げる力(ボトムアップ)とすることが出来れば、文字通り、大きな成果を生み出すことに繋がるでしょう。
両者に共通して
それぞれの経営を成功させるには、「信頼関係」と「明確なビジョン」が不可欠です。
会社の方向性も分からないままに働かされては、従業員のモチベーションは上がりません。どんなサービスを提供したいのか、どんなニーズに応えたいのか、どんな会社にしたいのか、経営側は明確なビジョンを打ち出すことが重要です。それも、ただ打ち出せばいいというものではなく、経営者の信念が伝わるような力強い言葉でもって伝えることが肝要です。
また、経営陣の言動が信頼に値するものでなければ、従業員はついてきません。経営者は従業員を信頼し、現場の声に耳を傾ける。従業員は経営者を信頼し、その指示に基づいて業務を遂行する。このように、経営側と従業員が互いに信頼し合い、同じベクトルに向かって注力することこそ、成功への近道と言えるのではないでしょうか。
トップダウンとボトムアップ、どちらが正しい手法とは一概には言えません。会社が置かれている状況から、今必要とするものは明確な指示か、現場の声か。しっかりと見極めて、常に正しい方向へ舵を取っていきたいものですね。