先日、部下の出張報告書を見ていたら、「新入社員の○○を同行して」と書いてあるのを見て、がっかりしてしまった。それを言うなら、「帯同」なのになぁ……。というわけで今回は、「帯同」と「同行」の正しい使い分けについて解説します。
■「帯同」「同行」の意味
それぞれの意味を辞書で調べてみると、「帯同」は、一緒に連れて行くことと記載されており、一方「同行」は、一緒に連れたって行くこととあります。
■「帯同」「同行」の違い
同じ意味であるように思える「帯同」と「同行」ですが、実は、明確な違いがあります。誰をメインとして目的地に向かうのかによって違ってくるのです。自分がメインで誰かを連れて行く場合は「帯同」を、相手がメインで自分は付いて行く立場であれば「同行」になります。また、お互い対等の立場である時も「同行」を用います。
例えば、社長が秘書を連れて祝賀会に出席するとします。この場合、祝賀会に出席するメインは社長ですから、社長は「秘書を帯同して祝賀会に出席する」という表現になります。これを、秘書の立場から言う場合には、「社長に同行して祝賀会に出席する」が正解になります。
- 誰かを連れて行くときは「帯同」
- 誰かに付いて行くときは「同行」
- 誰かと対等の立場で一緒に行くときは「同行」
■「帯同」「同行」の例文
本社での会議に、課長とともに出席する(メインは課長)
課長:「部下を帯同して会議に出席する」
自分:「課長に同行して会議に出席する」
A社でのプレゼンに先輩と一緒に行く(メインは先輩)
先輩:「後輩を帯同してA社へプレゼンに行く」
自分:「先輩に同行してA社へプレゼンに行く」
大会出場のため、トレーナーとしてチームに付いて行く(メインはチーム)
チーム:「大会にトレーナーを帯同する」
自分:「トレーナーとしてチームに同行する」
同僚と一緒に、B社に営業に行く(対等)
自分、同僚ともに・「B社への営業に同行する」
部下のセールスに付いて行く(メインは部下)
部下:「上司に帯同してもらって、セールスに行く」
自分:「部下のセールスに同行する」
「帯同」と「同行」のどちらを使用するかは、一緒に行く人との上下関係で判断するのではなく、あくまでも誰が主役なのかで決まります。どんな仕事で一緒に行くのか、誰がメインなのか、その時の状況にあわせて正しく使い分けましょう。