住宅を購入するときに、物件選びと同じくらい悩むのが住宅ローン選びです。「変動がいいの? やっぱり固定?」「借入額はどのくらい?」などなど気になることばかりでしょう。そこで、今回はデータをもとにどのような住宅ローンが選ばれているのかを解説しましょう。

意外!? 変動型を選ぶ人が半数を超え56%にも!

今回は住宅金融支援機構が発表している「2017年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」という調査データをもとに、最新の住宅ローンの利用動向について紹介していきます。

まず、気になるのが住宅ローンの金利タイプです。住宅ローンには、金利が景気動向にあわせて動く「変動型」と、借入期間ずっと変わらない「固定型」、一定期間は金利が変わらない「固定期間選択型」の3つがありますが、最新の調査では、なんと56%と半数以上が変動金利を選んでいるという結果に。これには「意外!」という人も多いのではないでしょうか。

それもそのはず、変動金利を利用している人は2015年には35%だったものの、2016年には49%と年々増え、2017年に半数を超えたのです。近年、かつてない低金利が続いていますが、特に変動金利は適用金利が0.5%を切るところも! 昨今、新築マンションの物件価格は高騰していますが、この超低金利を利用することで住宅が購入できるというケースもあるようです。

次いで選ばれているのが固定期間選択型で30%、固定は13.3%という結果になっています。少数派のように見えますが、両者をあわせると40%を超えるという点は見逃せません。変動と比べて金利は高くなるものの、景気と金利の動向に一喜一憂したくないという人が、一定程度いることがわかります。

住宅ローン、選ぶ決め手はやはり「金利の低さ」

では、住宅ローンを選ぶうえで、何が決め手になっているのでしょうか。

圧倒的な上位となっているのが、やはり「金利が低いこと」で69.7%。約7割もの人が、「金利の低さ」に惹かれて住宅ローンを選んでいます。これは、変動金利を選んでいる人が増えていることと無関係ではないでしょう。「将来の返済総額はわからなくとも、この超低金利が利用できるのは今だけ」「この低金利を利用しない手はない」と、「変動金利」が選ばれているのかもしれません。

その次に「住宅販売事業者(営業マン)に勧められたから」で24.1%、3位には「諸費用(融資手数料、団体信用生命保険料など)が安かったこと」が14.5%と続きます。住宅ローン選びをするうえでも、営業マンがオススメしてくれることが「決め手」になっている様子が伺えます。また、金利だけでなく、諸費用まで含めて「本当に安いかどうか」を比較検討しているのもわかります。

一方で、4位には「将来、金利が上昇する可能性があるので、将来の返済額をあらかじめ確定しておきたかった」という人もいて、「変動金利のリスクを回避したい!」「将来にわたって、住居費を見通せる」ことを条件に住宅ローンを選ぶ人もいるよう。また、上位4位にランクインするあたり、「固定金利」の安心感が一定の支持を集めていることがわかります。

変動金利を選ぶうえでの注意点は? どこを確認すればいい?

超低金利が魅力の変動金利ですが、アンケート結果では気になる点もあります。

住宅ローンの適用金利や返済額の見直しルールについて、理解しているかどうかを訪ねたところ、変動金利を利用している人のうち、33%が「理解しているか不安」、10.3%が「よく理解していない」、2.2%が「まったく理解していない」と回答している点です。

また、将来、どれくらい返済額が増えるのかについても同程度の回答となっていることから、変動金利の特性について十分に理解していない人も、利用していることが見受けられます。

変動金利は、金利上昇にともなって月額返済額が増えます。(金利が変動するのは半年に一度。毎月返済額は5年間一定ですが、見直し後は最大125%上昇)。景気動向によって返済総額がいくらになるのか、それは誰にもわかりません。もちろん、金利が上昇し毎月返済額が増えても家計に余裕があり、対応できれば問題ありませんが、困るのはこうした住宅ローンの特性を「理解していないこと」「備えていないこと」です。

変動金利を選ぶ場合は家計にもある程度、余裕を持つほか、しくみを十分に理解したうえで、利用するようにしましょう。

  • 回遊舎

嘉屋恭子

フリーライター。編集プロダクションなどを経て、2007年よりフリーランスで活動。主に住まいや暮らしに関わる分野で取材・執筆を続ける。FP技能士2級取得。