東京急行電鉄、伊豆急行、首都高速道路、首都高技術は19日、鉄道施設の保守点検および管理作業の精度向上と効率化を目的として、首都高グループが開発した道路構造物の維持管理システム(インフラドクター)を活用した、鉄道保守新技術(鉄道版インフラドクター)の共同開発を行うと発表した。道路維持管理システムを鉄道に適用した事例としては、日本初の取組みとなる。
インフラドクターは、レーザースキャンで得られる3次元点群データとGIS(地理情報システム)を連携させることで、異常箇所の早期発見、構造物の3次元図面作成、個別台帳で管理してきた図面や各種の点検・補修データの一元管理ができ、構造物点検の作業や維持補修計画の立案などの効率が大幅に向上するシステム。
鉄道版インフラドクターの共同開発に向けて、今週から伊豆急行線全線(伊東~伊豆急下田駅45.7km)を対象に、3次元点群データ計測車両を鉄道台車に積載して実証実験を開始する。鉄道台車にレーザスキャナやカメラを搭載した移動計測車両「MMS(モービル マッピングシステム)」を載せ、レール上からのレーザ計測で「レールの形状」「トンネルの内面形状」「橋梁の上部形状」「レール周辺の斜面」「プラットフォームの形状」などの計測を行う。今年度中に東急線内での実証実験も行う予定としている。
東急電鉄は今年3月に発表した新中期3カ年経営計画の重点施策として、AIやIoTなどの先端技術を活用した新事業の検討を進めている。今般、鉄道版インフラドクターが、同経営計画の重点施策にも盛り込んだ鉄道設備の保守点検方法、頻度の見直し、予兆検知力の強化につながると考え、技術開発に取り組むことにしたという。
首都高速道路の中期経営計画においても、「安全」「安心」「快適」を提供するためのインフラ整備における維持管理の効率化・高度化・省力化を重点施策として位置づけており、両社の取組み・意向が合致し、今回の共同開発が実現した。今回の実証実験を機に、計測・運用方法や精度をさらに向上させ、鉄道の新しい技術として事業化するほか、空港など他分野の技術開発も行う。