大阪モノレールを運行する大阪高速鉄道は18日、新型車両3000系の報道向けお披露目会を開催した。鉄道旅行が趣味の「乗り鉄」として知られる斉藤雪乃さんもお披露目会に参加。新型車両3000系が10月21日から営業運転を開始することも発表された。
同社にとって17年ぶりとされる新型車両3000系は、「やさしさ・おもてなし」「清潔感・開放感」「楽しさ」「チャレンジ」などをキーワードに、利用者の視点で考え、誰もが使いやすいユーティリティ性を持たせた設計とし、こどもも大人も楽しめる「モノレールの魅力」を磨き上げた車両とされた。新型車両の設計にあたり、車両担当者、運転士、駅係員、事務員らによる男女混成のデザインワーキングチームを結成。色・機能など利用者に見える部分はすべてチームで議論し、選定したという。
車体は日立製作所「A-train」シリーズをベースとしたダブルスキン・アルミ構体を採用。最大寸法は長さ14,800mm、幅2,980mm、高さ5,190mm。なめらかなカーブの先頭形状、4両編成の全体にわたって大きな円弧を描くカラーライン配置などにより、これまでの直線的でシャープなイメージを一新した。外観カラーは従来車両でも使用された「アザレアパープル」とコーポレートカラー「ウルトラマリンブルー」の2色を受け継ぎつつ、車体前面は「ウルトラマリンブルー」で大きく彩ったデザインとしている。
1編成あたりの座席数は124席、定員は400名。先頭車の運転台後方には、前面展望が可能なクロスシートに加え、こどもたちも楽しめるようにエンターテイメントゾーン「キッズスペース」を設けた。床を1段高くし、横の窓も下げるなど眺望を考慮している。ロングシートは通勤電車最大級という座席幅48cmの個別シートとし、大人の男性が座っても窮屈さを感じないサイズを確保。背もたれを少し高くし、走行中でも姿勢が安定する自然な曲面で快適な移動空間を提供する。立ち座りの支えとなる縦手すりも配置した。
車内は白を基調に、木目調も採用した上品な配色に。連結部や座席の袖仕切り、荷棚などにガラスを用い、明るく開放的な車内空間を演出している。モノレールでは初というパナソニック「ナノイー」搭載の空気清浄機を導入し、さらに冷暖房機能の改善、高機能の紫外線カットガラスの採用、半自動ドア機能など快適性向上のための気配りに徹底してこだわり、「乗ることが楽しくなる清潔で開放的な車内空間」としている。
報道向けお披露目会では、ゲストの斉藤雪乃さんが制服を着用して登壇。大阪高速鉄道代表取締役社長、吉村庄平氏とともに「お披露目スイッチ」を押し、姿を現した新型車両3000系を祝福した。斉藤さんは新車両に期待することとして、「快適さと座り心地、あと大阪モノレールは眺めが良いので、窓から見える景色も楽しみ。運転台のすぐ後ろにあった展望席もちゃんと残ってて、それもうれしいです」とコメント。車両床下機器や車内設備などを見学した際も、社員らの説明に興味深く耳を傾けている様子だった。
新型車両3000系のデビューに向けた今後のスケジュールも発表され、10月13日に一般向け試乗会を行った後、10月21日から営業運転を開始することが決まった。今年度は1編成を追加導入(増備)し、大阪モノレール全線(本線・彩都線)で運行される予定。2019年度以降、開業当初から運行している車両1000系の代替として順次製造を進め、大阪モノレールの新たな主力車両として、2021年度までに計9編成を導入する予定となっている。