ある日突然送られてきた訃報メールに、戸惑った経験はありませんか? どんな言葉を返したらいいのか分からず、なかなか返信できずにいる人も多いのではないでしょうか。

そこで本稿では、訃報に対する正しい返信の仕方についてご紹介します。

  • 取引先からの訃報メールにどう返信する? NGワードや例文も【ビジネス用語】

    取引先からの突然の訃報……でもどう返せばいいのか分からない

■訃報メールを受けたら

パソコンや携帯電話の普及に伴い、今では、メールやSNSによる訃報の連絡も珍しくない時代となりました。とくにビジネスの場においては、取り急ぎの連絡として送られてくる場合がほとんどであり、メールの送信先もあなただけではないはずです。

先方もさまざまな手配などに追われ多忙なことは明らかであるため、よほど親しい間柄ではない限り、直接電話するのは避け、メールでお悔やみの言葉を返した方が良いでしょう。

では、どのような文面が望ましいのでしょうか。

■使ってはいけないNGワード

日本には古くから、宗教上の理由や縁起をかつぐために避けるべきとされている「忌み(いみ)言葉」というものがあります。結婚式のスピーチなどでは、「切れる」「戻る」「壊れる」といった「別れ」を連想させる表現はNGとされていますが、不幸の場でも同様に、避けるべき言葉があるのです。具体的にどのようなものがあるのか、見ていきましょう。

不幸が重なることを連想させてしまう言葉
「重ね重ね」 「重々」 「次々」 「再三」 「くれぐれも」 「いよいよ」 「ますます」 「たびたび」 「ますます」 「かえすがえすも」 「またまた」

繰り返すことを連想させてしまう言葉
「再び」 「これからも」 「追って」 「引き続き」 「相次いで」 「次に」 「また」

縁起の悪い数字
死を連想させる「四・4」、苦しみを連想させる「九・9」

不吉な言葉
「消える」「大変なことになる」

生死に対する直接的な表現
生死に対する直接的な表現は避け、差し支えのない言葉に置き換えます。

・死ぬ、死亡、死去 →「ご逝去」「旅立つ」「他界」「永眠」
・生きていたころ →「ご生前」「お元気でいらしたころ」

敬称
お悔やみを述べる際には、敬称を用いるのがマナーです。

・父 → 「お父様」「ご尊父様」
・母 → 「お母様」「ご母堂様」
・祖父・祖母 → 「お祖父様」「お祖母様」
・夫 → 「ご主人様」
・妻 → 「ご令室様」
・息子 → 「ご子息様」「ご令息様」
・娘 → 「ご息女様」「ご令嬢様」

宗教別NGワード
仏教では、成仏できないことを連想させるような言葉を使ってはいけません。

例) 「浮かばれない」「迷う」

一方、神式では仏教用語は使わないのがマナーです。よく用いられる「ご冥福をお祈りいたします」という定型句も、神式では使えませんので注意が必要です。

例) 「成仏」「冥福」「供養」「往生」

■お悔やみメールの例文

お悔やみのメールを出す場合には、避けるべき言葉に注意するほか、相手に余計な時間を取らせることのないよう配慮する必要があります。

たとえば、件名は一目でお悔やみメールだと分かるようなものにし、自分の名前も添えます。また、時候の挨拶を省略するなど、簡潔かつ分かりやすい文面を心がけましょう。

例文1 「取引先の方が亡くなられた場合」
件名「哀悼の意を表します【株式会社○○ ○○より】」

○○株式会社  ○○様
○○様の突然の訃報に、大変驚いております。
都合によりご葬儀に伺うことができず、申し訳ありません。
略儀ながらメールにてお悔やみ申し上げます。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

例文2 「取引先の方がお母様を亡くされた場合」
件名「〇〇より お悔やみ申し上げます」

○○株式会社 △△様
このたびは△△様のお身内にご不幸があったと伺い、大変驚いております。
ここに謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご母堂様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
直接お目にかかり、お悔やみを申し上げたいところではございますが、略儀ながらメールで失礼いたします。


突然の訃報に慌ててしまうのは仕方のないことですが、不幸の場における失言はあってはならないことです。お悔やみメールの定型文を用意しておくなど、急な訃報にも失礼のない対応ができるよう心がけましょう。