JR東海は16日、浜松工場にて「新幹線なるほど発見デー」を開催した。今年は新型車両のN700S確認試験車を一般公開したほか、「ドクターイエロー」の撮影会と車内見学、先頭車研ぎロボットの実演、保守用車両の展示・実演など好評のイベントも行われた。

  • 「新幹線なるほど発見デー」の会場に展示されたN700S確認試験車

新幹線の検査・整備などを行うJR東海浜松工場を一般公開する「新幹線なるほど発見デー」。今年は9月に1日のみの開催となったが、N700S確認試験車の一般公開をはじめ、東海道新幹線を親しんでもらうためのイベントが多数用意された。列車に乗車したまま浜松工場に入れる団体専用臨時列車も運行され、イベント開始前の9時10分頃、営業列車では通ることのできない工場線を走行。「東海道新幹線唯一の踏切」も通過した。

浜松工場内では初の一般公開というN700S確認試験車をはじめ、N700Aタイプや700系、「ドクターイエロー」といった車両を展示。N700S確認試験車は2020年度に予定される新型車両の営業投入に向け、今年3月の報道公開を経て走行試験がスタート。6月から日中時間帯にも走行試験を行い、東京駅への乗入れも実現している。今後はバッテリー自走システムによる走行試験や、「標準車両」の特徴を生かし、16両編成を8両編成に変更しての走行試験を実施予定とされている。

  • N700S確認試験車は今年3月の報道公開を経て走行試験も始まっているが、一般公開は今回の「新幹線なるほど発見デー」が初だという

  • イベント開始前には、N700Aの団体専用臨時列車が浜松工場へ。多くの来場者らが見守る中、「東海道新幹線唯一の踏切」を通過

黄色い新幹線「ドクターイエロー」(新幹線電気軌道総合試験車923形)も人気の高い車両。今回のイベントでは、東海道新幹線の現役保守係員がツアー形式で車内を案内する「ドクターイエローの車内見学【ガイド編】」、「観測ドーム」と呼ばれる架線を確認するための設備を見学する「ドクターイエローの車内見学【観測ドーム編】」が行われた。「ドクターイエロー」をはじめ、会場に展示された新幹線車両の記念撮影会も実施。N700Aタイプおよび700系の運転台見学も行われた。

浜松工場では昨年から新しい検修ラインでの全般検査を開始しており、大規模リニューアルに合わせて最新の機器も導入。車両先頭部の研ぎ作業において、新幹線初というロボットを導入し、これにより作業が機械化され、より安全な作業環境を実現したとのこと。今年の「新幹線なるほど発見デー」でも、ロボットによる先頭車研ぎ作業を見学できた。

  • ロボットによる先頭車研ぎ作業を公開

  • 工場内にボンネットを外された車両の姿も

  • N700Aの運転台見学も行われた

700系の車内で行われた「早ワザ! ピカピカ! 新幹線車内清掃体験」(小学生以下対象)では、東海道新幹線の清掃スタッフが「魔法のホウキ」など専用の器具を用いて車内清掃を実演。こどもたちも車内清掃を体験し、わずかな水分も検知する「魔法のホウキ」に興味を示した様子だった。N700Aのグリーン車で「パーサーお仕事体験 ~ワゴンとグリーン車サービスのヒミツ~」(小中学生対象)も行われ、ワゴン販売やおしぼり配布を体験していた。

その他、東海道新幹線の安全を縁の下で支える保守用車両(道床振動安定作業車、装柱車、マルチプルタイタンパ、延線車、高所作業車など)の展示、マルチプルタイタンパによるバラスト突き固め作業や高所作業車による作業台の昇降の実演、新幹線車両の運搬に使用するトラバーサの乗車体験など、さまざまなイベントを実施。新たなイベントとして、超電導リニアのしくみや新幹線乗務員の仕事について紹介する課外授業も行われた。アニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』に登場する「シンカリオン N700A のぞみ」との記念撮影会も。3連休の中日、前日と打って変わって快晴となったこともあり、会場は多数の来場者でにぎわい、どのイベントも長い列ができるなど盛況だった。

  • 展示された車両の中でもとくに人気だった「ドクターイエロー」。撮影会と車内見学が行われた

  • 700系の車内で新幹線車内清掃体験が行われ、「魔法のホウキ」も登場。N700Aのグリーン車でパーサーのお仕事体験も

  • 東海道新幹線の安全を縁の下で支える保守用車両も展示

  • 保守の現場で活躍するアルミカート乗車体験

  • 車両の運搬に使用するトラバーサ乗車体験

  • N700Aのミニ新幹線もこどもたちに人気

  • 「シンカリオン N700A のぞみ」記念撮影会