ディズニーの人気キャラクター「くまのプーさん」を実写映画化した映画『プーと大人になった僕』(公開中)は、くまのプーさんと、大人になった親友クリストファー・ロビンの奇跡の再会から始まる感動の物語でありながら、観る者誰もが大人になって忘れかけていた“大切なモノ”を思い出す普遍的なテーマも扱った、近年まれにみる良作だった。
今回、クリストファー・ロビンを演じたユアン・マクレガーが、意外にも初来日で本作をPR。自身と境目がないという主人公像をはじめ、日本人には大人気の「スター・ウォーズ」シリーズのオビ=ワン・ケノービが主人公のスピンオフ情報など本人に聞いた!
――なんでも今回の主人公、クリストファー・ロビンというキャラクターに共感を覚えてしまったそうですね。
僕はクリストファー・ロビンが本当に好きになってね。彼を演じることが本当に好きだったし、彼を演じたいと心から思ったよ。僕が彼そのものとは言わないけれど、彼の性格については僕自身のなかに長い間ずっとあったもののように感じているよ。
――それはキャラクターを演じる上で、重要なポイントでしたか?
僕にとってはキャラクターを演じる時に、役柄と自分のどういうところが似ているかなどを見つける必要はまったくないと思っているタイプでね。それは重要なことではない、とさえ思っているからね。役柄と出会った時、自分に響くものがあるかないか、それだけだと思う。
――クリストファー・ロビンは、ベストマッチしたわけですね。
クリストファー・ロビンは初めて出会った時から、彼がどういう人間で、人生のどういう地点にいて、どういう風に自分が演じたいのかが、その場ですぐわかったキャラクターだ。僕は、いつもそういうわけではなくて、いろいろリサーチして考え、こういう風に演じようというプロセスが必要な時も多分にあるけれども、クリストファー・ロビンの場合は、最初からそういうことを考える必要もないキャラクターだったよ。
役作りという意味で言えば、僕の作業は、最初に響いたかどうかで終わりで、それ以上はただ演じるだけだった。自分の人生のこれに似ているとか、キャラクターの経験と比較する必要なども、まるでないと思ったね。
――では、クリストファー・ロビンにとってのプーのように、自分を原点に立ち戻らせてくれる存在はありますか?
実はいま、シドという犬を飼っていてね。彼との関係は、クリストファー・ロビンと、プーの関係に近いものがあると思っている。撮影していてもプーの目がシドに見えてしまったり、もちろん僕は犬に語りかけたり、犬が言葉で語りかけてくることを想像したりはしないけれども、間違いなく目を通してコミュニケーションは取っていて、よく似ているよ。
子どもの頃、ビーグル犬のジュノという女の子犬を飼っていて、森の中にもいつも一緒にいた。その関係もすごく近かったね。無条件の愛のようなものを、プーや飼っていた犬からすごく感じる。クリストファー・ロビンはプーにひどいことを言ってすぐ謝るけれど、プーは傷ついているわけだよね。でもプーは無条件の愛でクリストファー・ロビンを愛することを止めはしない。それと同じような愛情、関係性を感じている。
――ところで日本人のファンには、『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノービ役としてのカムバックも待ち遠しいところです。本作のジャパン・プレミアでも堺雅人さんとお話していたようですが、戻ってはいただけないでしょうか(笑)
それは、待ってのお楽しみかな(笑)
――というと、嫌ではないです?
もう何年も、取材をするたびによく聞かれる質問でね。「スピンオフに興味はあるか?」「戻ってきてほしい!」とね。それを聞かれ続け、インタビューでは、「もちろんやりたい!」と。「そういう風に声をかけてもらったらイエス!と言う」と、繰り返し答えている。
――ファンにはうれしいお言葉です! 最近『美女と野獣』、『プーと大人になった僕』と、ディズニー作品への出演が続いていますので(笑)
これってつまり、僕がいまディズニーに「またオビ=ワン・ケノービをやらせてください」とお願いしているように見えているかもしれないけれど、そういうわけじゃないから(笑)。ただ、声をかけてくれたら、喜んで演じるけれどね!
ユアン・マクレガー
1971年生まれ。イギリス、スコットランド出身。1994年、ダニー・ボイルの初監督映画『シャロウ・グレイブ』に出演、1996年にもボイル監督の『トレインスポッティング』で映画初主演を飾り、日本でも人気スターに。1999年には、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』でオビ=ワン・ケノービという大人気キャラクターを射止め、アート系から超大作系まで幅広くこなす演技派としての地位を確立する。今回のクリストファー・ロビンの直前にはエマ・ワトソン主演の『美女と野獣』にてルミエール役を演じており、ディズニー映画への出演が続いている。
鴇田崇
映画&ディズニー・パークスを追うフリーライター。年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートをひたすら取材しまくる。ジョン・ラセター、アラン・メンケン、キャスリーン・ケネディ、バイロン・ハワード、ティム・バートンなど、ディズニー映画関連人物のインタビュー経験も豊富。世界のディズニー・パークスでは東京だけでなく、アナハイムも偏愛している。instagram→@takashi.tokita_tokyo