ある人は初音ミクのコスプレをし、ある人は八九寺真宵で噛みました。僕と契約をして魔法少女のコスプレをする人もいれば、水着ニトクリスだと布をかぶる人もいるだろう。ポプ子とピピ美になって中指を立てる人もいるかもしれない。
近年、アニメやマンガ、ゲームなどのキャラクターに扮する「コスプレ」は、1つの文化として定着しつつある。アニメ関連のイベントなどでは、必ずと言っていいほど会場を歩くコスプレイヤーの姿を見かけるようになった。なかには、趣味の枠を越え「プロ」として活躍する人まで出てきている。
そんなプロコスプレイヤーに謁見するチャンスがあると聞いて、北電子のパチスロ新機種『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(ダンまち)』の発表イベントに駆けつけた。ゲストはプロコスプレイヤーのえなこさん。ダンまちのキャラクターである女神・ヘスティアさまのコスプレで登場だ。
ダンまちは、原作小説がシリーズ累計発行部数900万部を超える作品。2015年4月にテレビアニメが放送されると、ヘスティアさまのトレードマークである“例の紐”がアニメショップで販売されるほど、大きな話題を呼んだ。もちろん、えなこさんも例の紐はバッチリ再現。紐がなければヘスティアじゃないと言わんばかりの存在感を出していた。
趣味のコスプレが気づいたら仕事に
今回の新機種発表会のように、プロコスプレイヤーとして多方面から引っ張りだこのえなこさん。ヘスティアの姿でイベントに華を添えるだけでなく、アニメの魅力を語り、パチスロの新機種をPRする。なるほど、プロモーションとしてはこれ以上ないくらい頼もしい存在かもしれない。しかし、本来趣味というイメージが強いコスプレで、どうすればプロと呼ばれるようになるのか。直接えなこさんに聞いてみた。
「明確な定義があるわけではないのであくまでも個人の意見ですが、言葉通り、コスプレをするお仕事をもらえるようになれば、それはプロコスプレイヤーと呼んでいいと思います」
仕事としてコスプレをする人がプロコスプレイヤー。まぁ当然のことと言えば当然だ。えなこさんレベルになれば、さまざまなイベントに呼ばれることもわかる。しかし、その域に到達するのは簡単ではないはず。実際えなこさんは、どのようにしてプロになったのだろう。
「私の場合、ずっと趣味でコスプレをしていて、いろいろなご縁があった結果、今の事務所に所属することになりました。気がついたら仕事になっていたという感じですね。なので、プロになりたいとか、コスプレを仕事にしようとか、そういうことを考えていたわけではありません。自分でもびっくりしています」
もちろん人知れず努力や苦労もしただろう。しかし、何よりも「好き」という気持ちが原動力になり、コスプレを続けたことで、いつのまにかえなこさんはプロコスプレイヤーとして活動するようになったのだ。
自由に楽しむプライベートとより気合の入る仕事
プロコスプレイヤーでありながらも、えなこさんはプライベートでも一般のコスプレイヤーとしてイベントなどに参加している。まさにコスプレ漬けの日々だが、趣味と仕事では何かが違うものなのだろうか。
「趣味でコスプレをする際は自由にやっています。徹夜で衣装を作ったり、前日までウィッグがセットできていなかったりしても、自己満足の部分もあるのであまり問題ないでしょう。ただし、仕事のコスプレはそうはいきません。やはりいっそう気合が入りますよね。中途半端なものは、作品の公式さんはもちろん、ファンの方にも失礼です。そのため念を入れて準備しますよ」
仕事では気合の入り方が違うというえなこさん。コンテンツを楽しむ側から楽しさを伝える側になることで意識も変わるようだ。
「お仕事によっては公式さんに衣装を作ってもらうこともあるのですが、フィッティングをする際に『ここはこうしたほうがいい』『このキャラっぽさを出すためにはこうしよう』という意見も出します。また、コスプレイヤーは、キャラが作中でやらないようなポーズは取らないので、キャラの研究も怠りません」
40代になっても好きなコスプレを軸に仕事をしていきたい
コスプレだけにとどまらず、ゲーム『フォートナイト』をプレイしたり、テレビ番組の「逃走中」に出演したり、CD「OOps!!」を発売したりと、多方面での活躍が光るえなこさん。最近の仕事について次のように話す。
「最近は、今までやったことのないようなお仕事をする機会が増えましたね。これまで苦手だと思っていたことにもチャレンジするようになりました」
たしかに、テレビや雑誌などで、えなこさんを見かける機会が増えたという人も多いのではないだろうか。それほどまでマルチに活動しているのであれば、慣れない仕事があるのも当然だ。ちなみに、苦手なこととはどのようなジャンルの仕事なのだろう。
「演技ですね。セリフを覚えるのが苦手で、これまで演技の勉強をしたこともなかったので、いままで演技は無理だと思っていました。でも、ありがたいことにお仕事をいただいたので挑戦してみることにしたのです」
コスプレをきっかけに、えなこさんは新たな領域にも踏み出した。苦手なことにも臆さず挑戦していく姿勢。それもまたプロ意識の1つといえよう。これからも新たな領域を開拓していくのだろうか。
「う~ん、そうですねぇ。でもやっぱり、コスプレをするのが好きなので、今後もアニメやゲームのお仕事に携われたらいいなと思います。それこそ40代になっても!」
えなこさんはまだまだコスプレイヤーとして、コスプレをメインに仕事していくことを力強く宣言した。話を聞いていても、本当にコスプレが好きなんだということが伝わってくる。
「また、今後はたくさんのコスプレイヤーさんが増えればいいなと思っています。そのなかで、お仕事としてコスプレをやっていきたいと思う人が増えて、プロコスプレイヤーが増えていけばいいなと。そのためにも、私自身がテレビや雑誌などのメディアに出て、コスプレの世界をもっと多くの人に知ってもらいたいと思っています」
今までなかった「プロコスプレイヤー」という概念を生み出したえなこさん。次に目指すのは「コスプレの魅力をもっと多くの人に知ってもらうこと」だという。多方面で活躍しながらも、えなこさんがコスプレイヤーであり続けることは、コスプレはもちろん、アニメやゲームなどさまざまなジャンルの発展に大きな影響を与えそうだ。