9月13日、チェコスロバキアのセキュリティベンダーESETと、日本総販売代理店・キヤノンITソリューションズは記者発表会を開き、合弁会社としてイーセットジャパン株式会社の設立を発表しました。
新会社は2018年9月1日から業務を開始していますが、すべての製品は今までと同じく、今後もキヤノンITソリューションズから販売されます。
ようやく実現したESET日本法人
セキュリティソフト「ESET」は、日本市場に参入して15年が経ちますが、意外にも初の日本法人設立となります。イーセットジャパン カントリーマネージャーの黒田 宏也氏は、この日本法人設立に、「顧客のセキュリティーニーズに応える」意義があると、設立の理由を紹介しました。
ESETが手掛けているエンドポイント(一般消費者向け)セキュリティソフト市場は、モバイル端末の出荷が年間5,000万台を超えており、日本では働き方改革からモバイル端末の伸びがあると言います。また、1,100億円を超える市場規模があり、その中でESETは業界平均よりも大きく成長しており、2017年は市場シェア7%で業界4位になったとのこと。同社は、ここに潜在的な成長余地を見出しました。
個人向け/大企業市場での存在感を上げる
製品自身の持つ品質に加え、キヤノンITソリューションズのサポートによって、中堅企業(従業員数100-999名)でのシェアは10%を超えました。今後着目している市場は、大企業(従業員1,000名以上)と、個人向け市場だといいます。
個人向け/大企業市場に向けた具体的な活動は、顧客ニーズを製品開発に反映する体制、大企業向けの新ソリューション、セキュリティ情報発信とブランドマーケティング強化の4つの柱。現在、そのためのスタッフを集めているとのことです。
現時点では十数名のスタッフがおり、その半分が技術系です。本社が持つセキュリティ情報を、セミナーやブログを通じて情報発信するほか、日本固有の脅威動向の分析、ニーズの吸い上げを行う一方で、ブランドマーケティングの推進も計画しています。
2019年までに大企業向け製品を拡充
キヤノンITソリューションズ 執行役員 ITインフラセキュリティ事業部 事業部長の近藤伸也氏は、エンタープライズ向けの戦略を説明しました。
大企業にとって、脅威は侵入するという前提で情報セキュリティを考えなければならない時代になっているといいます。そこでESETのソリューションに、キヤノンITソリューションズのプロフェッショナルサービスを組み合わせることで、専門的な支援を行っていく予定です。また、従来の防御に加え、検知、対応、予測に対応したESETの新製品を来年までに展開するとのこと。
個人向け「ESET」は新製品を投入
では、個人向け市場は今後どうなるのでしょうか? こちらは近々に新製品が登場するということですが、それとは別に日本法人の役割として、本社とのパイプが太くなる事で、日本の意見やフィードバックが提供しやすくなるという、長期的な取り組みになりそうな印象を受けました。他ベンダーは小売店での面積を多く確保したり、メーカー製PCへのプリインストールなどの取り組みを進めていますが、この辺も「具体的な方策は検討中」(黒田氏)との事です。
スタッフの増員に関しても「内部で話している最中で具体的には決まっていない(黒田氏)」と言う事ですが、ESET社CEOのマルコ氏に同じ質問をぶつけてみたところ「展開次第では20名」という返答がありました。