アップルが米国で開催したスペシャルイベントで、3種類の新しいiPhoneが発表されました。発表会場に展示されていた実機を手にした印象を中心に、新iPhoneの魅力をおさらいしたいと思います。

  • 発表会の会場では、チーフ・デザイン・オフィサー(最高デザイン責任者)を務めるジョナサン・アイブ氏(左)と新しいiPhoneについて語り合うティム・クック氏(右)の姿があった

画面の迫力と意外な持ちやすさに驚いたiPhone XS Max

まずは、有機ELパネルを搭載した「iPhone XS」と「iPhone XS Max」です。2017年に登場した「iPhone X」を受け継ぐ高性能モデルですが、何より注目なのがiPhoneでは最大サイズとなる6.5インチの大型パネルを搭載するiPhone XS Maxです。

  • 6.5インチの大型有機ELパネルを搭載する「iPhone XS Max」。画面の大きさに圧倒されるが、同時に意外なほどの軽さや持ちやすさにも驚かされる

  • 新たに加わったゴールドモデルの背面。色合いはiPhone 8/8 Plusのゴールドとはやや異なり、見る角度や光の状態によって濃厚な印象に変わる

  • 5.8インチのiPhone X(右)と比べると、6.5インチのiPhone XS Max(右)はひとまわりパネルが大きいのが分かる。1画面で確認できる情報量も増えている

動画や写真を画面いっぱいに拡大して再生すると、鮮やかな表示の有機ELパネルの効果もあって、かなりのインパクトがありました。数字的には、6.2インチのNintendo Switchを上回るサイズになり、ゲームもより大迫力で楽しめそうです。

解像度がiPhone Xの2,436×1125ドットから2,688×1242ドットに高まったことで、1画面に表示できる情報量が増えたのも見逃せません。メッセージアプリでは過去のメッセージ履歴をより多くでき、メールアプリでは本文を一画面で確認しやすくなります。LINEなどサードパーティー製のアプリはベンダー側の対応が必要となりますが、日々の利便性が高まるのは間違いありません。

  • 大画面化にともない、1画面に表示できる情報量が増えた。サードパーティー製のアプリも、順次対応していくとみられる

iPhone XS Maxを手にして驚かされたのが、大画面の割に持ちやすいと感じたこと。重さや本体サイズをiPhone 8 Plusなどの5.5インチ液晶モデルとほとんど同じ水準に抑えたことで、「これほどの大画面なのに小さく軽い!」という印象を与えるのだと感じます。5.5インチ液晶モデルを使っている人ならば、これまでと同じ感覚でさらなる大画面のメリットが享受できるでしょう。

  • 本体サイズはiPhone 6s Plus(奥)などの5.5インチ液晶搭載モデルとほとんど同じ

  • TrueDepthカメラなどを搭載するノッチ部分の比率は従来のiPhone Xと同じ

  • デュアルカメラを縦に配置するデザインも従来通り。撮像素子やTrueToneフラッシュは改良が加えられた

  • ゴールドモデル

  • シルバーモデル

  • スペースグレイモデル

  • ゴールドモデルとスペースグレイモデルは、側面のステンレスも本体色に合わせてカラーリングされた。ゴールドモデルは品のある重厚な仕上げとなっている

ボケの表現を自在に変えられる機能が加わった

カメラ機能では、新たに加わった深度コントロール機能が注目といえます。これは、ポートレートモードで撮影した写真の被写界深度を自由に変更し、背景のボケの表現を変えられる機能です。スライダーを動かせばF1.4~F16の間で調整でき、リアルタイムに反映されます。いかにも画像処理でボケを大きくしたという不自然さはあまり感じられず、実際に絞りを変えて撮影したような描写が得られました。

  • 新たに加わった深度コントロール機能では、ポートレートモードで撮影した写真の被写界深度をスライダーで変更できる。F1.4~F16の間で細かく調整が可能

  • F1.4の状態。背景が大きくきれいにボケている

  • F2.8にすると、背景のボケ具合がいくぶん小さくなった

  • F5.6まで絞った状態。玉ボケの描写がかなり小さくなったのが分かる

撮像素子のデータの読み出し速度が向上したことを受け、新たにスマートHDR機能を搭載したのも注目できます。これは、1回のシャッターで露出を変えた複数の写真を撮影し、それらを自動で合成することでダイナミックレンジの広い写真を生成する機能。撮影は一瞬で済むため、動きのある被写体でも対応できるのが従来にはないポイントです。

ちなみに、iPhone XSとiPhone XS Maxでは動画撮影用のマイクがステレオに改良され、自分で撮影する動画の音声もステレオで収録できるようになりました。内蔵スピーカーでの再生でも臨場感が高まったのが確認でき、動画のクオリティがワンランク高められるのはうれしいポイントといえます。