フジテレビが運営する動画配信サービスFODで配信、地上波でも放送され話題を呼んでいるドラマ『ポルノグラファー』(毎週水曜25:25〜 ※12日深夜最終回)。男性同士の恋愛を描いた、いわゆる「ボーイズラブ(BL)」マンガを実写化したことで、注目を受けている。
竹財輝之助と猪塚健太がW主演を務め、放送されると毎回SNSではトレンド入り。これまでに実写映画化はされていたものの、なかなか地上波でドラマ化されることはなかった「BLマンガ」をなぜ今回ドラマ化したのか、清水一幸プロデューサーに話を聞いた。
若い年齢層の女性に、いろいろなパターンを
――BLマンガ『ポルノグラファー』(丸木戸マキ/祥伝社)が実写ドラマとなって、FODで配信中ということで、腐女子として話を聞きに来ました。清水さんはこれまで『のだめカンタービレ』や『最高の離婚』『問題のあるレストラン』など、人気ドラマ作品を多数手がけられています。なぜ今回はBLマンガ原作を選ばれたんでしょうか?
最初からBLの実写化をやろうという企画で動いていたわけではないんです。FODの利用者は若い年齢層の女性が多く、そこに向けていろんなパターンのラブストーリーを制作している中で、何か新しい形のものはないだろうか、と探していました。そのなかで、知人に丸木戸マキさんの『ポルノグラファー』を紹介してもらって読んで、映像化できる内容だと思ったのがいちばん大きいですね。僕がBLに詳しいわけではないんですが、男性同士だからどうということではなくて、これはラブストーリーのドラマとしてつくれる、と。
――BLマンガ原作ですが、FODの配信や、地上波での放送時にも特に「ボーイズラブ」「BL」という単語は使われていないですよね。
「『おっさんずラブ』(テレ朝)が当たったからつくってるんだろう」と思われるのが嫌だったというのが理由です(笑)。それと、逆に聞きたいんですが、「BL」って気軽に言葉を使っていいんですかね? そこがわからなかったんですよ。BL作品なんだと表立ってうたうことが「よくやってくれた」なのか、隠語のように注意して使うような単語なのか。僕としては、ひたすらラブストーリーであって、丸木戸さんに映像化の相談をした際にも「ラブストーリーの主人公たちが、たまたま男同士でした」という形で描きたい、とお伝えしました。
――今や「BL」も一般名詞になってますから、普通に使って大丈夫かとは思いますが……。それくらいBLについては手探りな状態からスタートされたんですね。
この作品をやろうかどうしようか考えていた時期に、渋谷のTSUTAYAに行ったんですよ。
――渋谷のTSUTAYAに! あそこは確かに、BLコーナーが相当充実しています。
そう、びっくりするくらいいっぱい並んでました。シュリンクされているから中身は読めないけど、試し読みできるものを手にとったり表紙を眺めたりして、2時間くらい売り場をうろうろしました。女性がすごくいっぱいいて、好奇の目で見られましたね(笑)。そのときにあらためて、「これだけニーズがあるんだ」と思ったんです。
昔、渋谷に「渋谷ビデオスタジオ」というスタジオがあって、1990年代以降、2007年くらいまでのフジテレビのドラマは、ほとんどそこで作っていたんですよ。その頃フジのドラマがヒットしていたのは、渋谷に来て渋谷で作って渋谷から帰るスタッフが作っていて、そんなところも流行に敏感だったからじゃないかなだと思います。でも今はお台場に移って、敏感じゃなくなってるところがあると思う。やっぱり都心部で今の人たちが何を求めているかを感じることはすごく重要なんだと思います。