今回のテーマは「インプット」と「アウトプット」です。英単語としての意味なら分かる人も多いと思いますが、ビジネスシーンでも頻繁に使われています。本稿では、ビジネスにおける両者の意味について解説します。
「インプット」「アウトプット」の意味
「インプット」とは、「入力」という意味です。特に、コンピューターの内部に情報を取り込むことを指します。一方、アウトプットは「出力」を意味します。インプットに対し、アウトプットはコンピューターにある情報を外部に取り出すことを指します。
ビジネスにおける「インプット」「アウトプット」の使い方
「入力」「出力」という意味を持つ「インプット」「アウトプット」ですが、ビジネスシーンでは、どのような意味で使われているのでしょうか。
学生の頃は、授業で様々なことを学習し、部活動では技術を身に付け、その成果を受験や就職、コンテストや大会などで発揮します。人は常に何かを学び、経験を積みながら成長していくものではないでしょうか。それは、社会人になってからも変わりません。
先輩から接客や営業のノウハウを学んだり、はじめての出張やプレゼンを経験したり、専門的な技術を習得したり……。そうして得た知識や経験を、成果や実績に結び付けながら一人前の社会人となり、その後も、後輩や部下を指導したり、大きなプロジェクトに携わったりしながらスキルアップしていくものです。
ビジネスでは、このように、知識や経験を自分自身に吸収することを「インプット」と言い、インプットしたものを仕事に発揮することを「アウトプット」と言います。
「インプット」「アウトプット」の関係性
結果を確実に出すには、インプットとアウトプットの関係性を知っておくことが大切です。
多くの知識をもって受験に臨んでも、人の何倍もの練習を積んで大会に挑んでも、本番で力を発揮できなければ満足のいく結果は得られないでしょう。実は、どれだけ多くの知識や経験をインプットしていても、それを上手にアウトプットできなければ、成果や実績に結び付けることはできないのです。
そう言われると、アウトプットの方が大事なのかと思うかもしれませんが、受験に合格する人に知識が乏しい人はいませんし、大会で優勝する人に下手な人はいません。つまり、良い結果に結びつくようなアウトプットができる人は、必ず良いインプットができているのです。
インプットとアウトプット、どちらか一方が欠けていては、仕事で成功を収めることは難しいと言えるでしょう。仕事が上手くいかないな?と思ったときには、一方がおろそかになっていないか、客観的に見直してみるといいかもしれませんね。
アウトプットを英語でいうと
アウトプットを英語で表記すると「output」になります。インプットは「input」です。v
8つのアウトプット方法
アウトプットの形態は時代とともに多様化していて、実践方法のバリエーションは豊富です。すぐに実践できる簡単なものから少しハードルが高いものまで、アウトプットの方法を8つ紹介します。
方法1 : 声に出して読む
声に出して読むという方法は、一人でできる簡単なアウトプット法です。「単に音読するだけでよいのか」と思うかもしれませんが、音読には黙読より脳を活発に働かせる効果があります。
「文字を目で見る」「言葉を理解する」「自分の声を聞く」などの行為によって脳のさまざまな部位を活発に使うことで知識の定着率が向上すると考えられています。
方法2 : メモしながら聞く
講演や講義を聴きながらメモを取ることもアウトプットのひとつです。この方法は手軽なうえにインプットとアウトプットを即座に行えるという特徴があります。
メモを取るときに聞いた情報を整理して書くことが重要です。このときにただ聞くだけよりも脳が活発に働くのです。何かをインプットしたいときはメモを取りましょう。
方法3 : 配信して共有する
情報を他の人に向けて配信することで共有するというアウトプット方法もあります。
おすすめの配信法はSNSの利用です。自分が知りたかったことはほかの人にとっても知りたいことである可能性が高く、その情報をインプットする前の自分に向けて配信するつもりで行うと、読者にとっても役に立つ情報になるでしょう。
方法4 : 人に教える
人に教えるというアウトプット方法を実践することで、本当に自分が理解できているかどうかを確認できます。
教える相手によって、持っている知識や理解力はそれぞれなため、教えて理解してもらうには、言い回しを変える必要もあります。まずは家族や身近な友達に、何かを教えてみるとよいでしょう。
方法5 : 行動に移す
得た情報を人に伝えたり言葉にしたりすることだけでなく、行動に移すことも立派なアウトプットと言えるでしょう。行動に移すことで実体験を伴うので知識が定着しやすく、インプットした情報が自分にあっているかどうかを知ることもできます。
英単語や英文法などを勉強している人は、勉強方法について情報を得たときに、実際にその勉強方法を試してみると、自分にあっているかどうか体験できるでしょう。
方法6 : 具体的な目標に変換する
インプットしたときに何かやりたいと思ったら、目標を具体的に設定するといいでしょう。英語を話せるようになるために勉強したいと思ったら、TOEICで900点取るなどといった具体的な目標を設定すると、より実践することがはっきりするでしょう。
方法7 : 反復練習をする
アウトプットは一度だけでなく反復することで効果が高まります。スポーツと同じで知識も反復練習することで定着し、不足している部分を次の反復で少しずつ補っていけるでしょう。
人は覚えたことをすぐに忘れてしまう生き物です。忘れないためには、繰り返し学習することが有効なことがわかっています。新しい英単語を覚えたいときは、体で覚えるまで何度も反復しましょう。
方法8 : 記録を付ける
その日に学んだことなどを日記にして記録すると、アウトプットの効率が上がります。その日を振り返ることで頭の中で復習したり情報を整理したりできるため、記録は情報の定着率を高めてくれます。
客観的な情報を記録するのも効果的ですが、自分の感情を記録していくことも有効です。アウトプットしてよかったと思うところや、楽しかったことを書いてみるのもよいでしょう。
アウトプットのメリット6つ
いろいろなアウトプット方法がありますが、アウトプットすることで得られるメリットもいろいろなものがあります。アウトプット自体がアウトプットの質を高めたり、インプットを効率化したりしてくれるので、いい循環が生まれます。アウトプットを続けることは、ビジネスや勉強にも役立ちます。
ここからはアウトプットで得られる具体的なメリットを6つ紹介します。
メリット1 : 記憶が定着する
アウトプットすることは、記憶の定着の助けになります。アウトプットには情報の整理や理解を深める反復練習をすることが含まれるので、単純にインプットするだけに比べて、記憶の定着率が高くなるのです。
メリット2 : 人に物事を伝えるのがうまくなる
アウトプットは人に物事を伝える訓練にもなるので、伝えるのがうまくなります。インプットした情報をアウトプットするためには、理解して言語化する必要があります。
なんとなく感覚的な理解を言語化するということは、人に伝えられる情報に変換するということと同じです。伝えるのがうまくなることで、さらにアウトプットの質も向上するので、アウトプットや人に伝えること自体が楽しくなってくるでしょう。
メリット3 : 思考が整理される
言語化した情報をアウトプットして人に伝えるようにするには、情報を順序立てたり、階層ごとに分けて考えたりする必要があります。これはつまり、得た情報を言語化し、さらに整理するということです。
情報を整理することは思考を整理することと同じです。普段から思考を整理する訓練ができ、頭の中をクリアに保てます。
メリット4 : 自分に自信がつく
アウトプットを繰り返していくことで、知識が定着しやすくなったり、思考が整理されたりとさまざまな効果が実感でき、自分に自信がつきます。もともと情報を発信することが苦手な人でも、自分に自信がつけば楽しみながらどんどん情報を発信していけるようになります。
アウトプットを習慣化して記録をつけていれば、振り返ったときに過去の自分と比較して成長を実感できるでしょう。
メリット5 : 人脈が広くなる可能性がある
アウトプットを続けていると、自然と人脈が広くなります。勉強会やSNS、ブログなどの相手がいる場で相手にとって有益な情報を発信することで、人が集まる環境が生まれます。
うまくいくと自分のファンになってくれるような人も現れるでしょう。自分のファンができるとさらに情報発信のモチベーションが上がって好循環が生まれます。
メリット6 : 仕事が速くなる
アウトプットが上手になれば仕事も速くなります。目標設定やメモなど、仕事で必要とされるスキルとアウトプットで生きてくるスキルには共通している部分があります。
資料をまとめたり会議でプレゼンをしたりするときも、アウトプットで磨かれた「人に物事を伝える」という能力が生きてきます。仕事が速くなることでさらに、インプットとアウトプットをする時間や余裕が生まれるので、さらなる好循環が生まれます。
今回は、ビジネス用語としての「インプット」「アウトプット」についてお話ししました。良いインプットがあってこそのアウトプット、アウトプットのためのインプットであることを忘れずに、上手にスキルアップしていきましょう。