JR東日本は4日、オープンイノベーションによりモビリティ変革を創出する場として、2017年9月5日に設立した「モビリティ変革コンソーシアム」による実証実験の開始について発表した。
「モビリティ変革コンソーシアム」には交通事業者・国内外メーカー・大学・研究機関など120を超える企業・団体が参加し、3つのワーキンググループ「Door to Door 推進 WG」「Smart City WG」「ロボット活用 WG」においてサブワーキンググループを形成し、活動を進めているという。
「Door to Door 推進 WG」では、鉄道ネットワークを中心としたモビリティ・リンケージ・プラットフォームを構築し、出発地から目的地までの「シームレスな移動」の実現をめざしている。具体的な実証内容としては、新たなスマートフォンアプリ「Ringo Pass」にSuicaID番号とクレジットカード情報を登録することで複数の交通手段(シェアサイクル・タクシー)の利用を可能にするシステム、SuicaID番号を登録することで鉄道と連携したデマンド交通(AI運行バス)が利用できるシステム、JR東日本管内のBRT(バス高速輸送システム)におけるバス自動運転の技術実証が挙げられている。
「Smart City WG」では、街の特性に応じた利用者の移動機会・移動目的の創出と、駅および駅周辺の魅力度・快適性を向上することで、駅を核とした新しいまちづくりをめざす。具体的な実証内容としては、スポーツイベント時にサイネージやスマートフォンへ多様なコンテンツを配信し、駅とスタジアムの往復を超えたまち歩きを楽しんでもらえるようにするシステム、多くの人が利用する空間で温度・湿度センサや画像解析技術を活用することで利用者が快適と感じる環境づくりとエネルギー管理のあり方の検討が挙げられている。
「ロボット活用 WG」では、サービスの品質向上や同社ならびにグループ会社社員の作業安全性向上・作業効率化、メンテナンス業務革新をめざしたロボット活用を進めていく。具体的な実証内容としては、河川橋梁の橋脚近辺の河床状況の調査においてドローンと測深装置(音波を水中に放射して反射波を受信する装置)を組み合わせた実験、高架橋等の改修の際に塗装を行う面(素地)を研磨して塗装の仕上がりを良くする処理を対象としたセンサ技術を活用する自動素地調整ロボットの開発、ドローンの活用によって線路内作業時の安全確認や架線や送電線等の電気設備のメンテナンス作業の効率化が挙げられている。