JR東日本は4日、新幹線のセキュリティ向上に向けて、車内警備の強化やすべての新幹線車両(廃車予定の一部車両を除く)への車内防犯カメラの整備に加え、犯罪防止およびさらなる安全確保のため、新たに「防犯・護身用具の配備」「医療器具の配備拡充」「緊急時における情報共有手段の整備」「新幹線車両の座面脱着容易化」を進めると発表した。
「防犯・護身用具の配備」では、乗務員や駅係員、警備員による不審者対応を想定し、車両(新幹線全編成1編成あたり3カ所)に防護盾(中・小型)・防刃(ぼうじん)ベスト・防刃手袋・警戒杖(けいかいじょう)を搭載。新幹線乗務員(運転士・車掌)にフラッシュライトと催涙スプレーを携行させ、新幹線停車駅全駅と在来線主要駅に刺又(さすまた)・防刃ベスト・催涙スプレーを配備する。配備完了時期は12月末を予定している。
「医療器具の配備拡充」では、新幹線全編成について医師支援器具を1編成あたり1カ所から3カ所に増備するとともに、新たに応急救護品を1編成あたり3カ所に配備する。増備される医師支援器具は聴診器・血圧計・ペンライト・パルスオキシメーター・アルコールシート・舌圧子(ぜつあつし)・ゴム手袋。新規配備される応急救護品は大判ガーゼ・油紙・包帯・三角巾・医療用テープ(プラスティック)・救急絆・救急用ハサミ・人工呼吸用マウスシートとなる。配備完了時期は12月末を予定している。
「緊急時における情報共有手段の整備」では、乗務員・アテンダント・指令員の情報連携を強化して新幹線車内の安全確保を図るため、スマートフォンなどを用いたグループ通話システムを新たに導入し、10月から順次、使用開始する。乗務員とアテンダント(「グランクラス」担当・車内販売担当)はスマートフォン、指令員はタブレット端末を用いてグループ同時通話を行うことで、迅速かつ正確な情報共有と関係者の連携強化を図る。
また、さらなる情報連携強化を目的として、車内防犯カメラ画像の地上送信機能(車両から指令へ)について検討を開始するとともに、9月から乗務員用タブレット端末を用いた画像伝送の取扱いを開始する。
「新幹線車両の座面脱着容易化」では、同社の新幹線車両(普通車)に座面スライド機構等によって座面の取外しを行いにくい構造のものがあるため、その固定方法を見直して脱着可能な構造への変更を進める。対象編成は約120編成で、対象部位は普通車車端部の座席1列。改修完了時期は2019年3月末を予定している。