ディスカヴァー・トゥエンティワンは8月26日、『超訳 カーネギー 人を動かす』(税別1,700円)を発売した。著者のデール・カーネギー(1888年~1955年)は、数々の名著を世に送り出した世界的に有名な自己啓発の大家だ。
本書は、カーネギーの数ある著作の中の代表作であり、自己啓発の金字塔とされている『人を動かす』を超訳したもの。「未読の人はもちろん、すでに読んだ人にとっても、新たな刺激が得られる一冊」と同社。
内容は、「人の扱い方に関する基本的なテクニック」「人に好かれる方法」「自分の考えを相手に受けてもらう方法」「反感を抱かせずに相手を変える方法」「敵を味方に変える方法」「円満な家庭生活をおくる方法」。本書の一部を以下に紹介しよう。
他人の欠点より先に自分の欠点を直す
あなたは他人の欠点を直して、その人がよりよい人物になれるように変えてあげたいと思うかもしれない。たしかにそれは結構なことだ。
しかし、まず自分の欠点を直してより良い人物になることから始めたらどうだろうか。あなたにとってそのほうがずっと特になるはずだ。しかも、相手のプライドを傷つけないから、反感を買うおそれもない。
自分がよりよい人物になるには、今日から始めても次のクリスマスまでかかるかもしれない。そうしたら、年末までしばらく休暇を楽しみ、相手の欠点を直すのは来年になってすればいい。
たえず自分がよりよい人物になるために努力しよう。
人前でも一対一でも相手を褒める
アンドリュー・カーネギーはスコットランド出身の貧しい移民で、最初は工場労働者として働いていたが、やがて実業家として製鉄業に進出し、しだいに成功を収めて巨万の富を築き、晩年は慈善活動家としても知られるようになった。
無一文だったカーネギーが驚異的な成功を収めた秘訣はなんだったのか?
人前でも一対一でも、とにかく他人を褒めたのである。カーネギーは死んでからも他人を褒めるつもりだったようだ。生前、彼は自分でこんな墓碑銘を書いている。
「自分より利口な人たちに恵まれし者、ここに眠る」
相手の立場に立って考える
人間関係の技術について、実業家ヘンリー・フォードはこう言っている。
「もし成功の秘訣がひとつだけあるとすれば、相手の考え方をよく理解し、自分の立場だけでなく相手の立場に立って考える能力を身につけることだ」 これはあまりにも単純明快だから、誰でもすぐにそれが真実だとわかるはずだが、世の中の九割の人が九割の確率でそれを無視している。
自分の正しさを過信しない
セオドア・ルーズベルト大統領は、自分は75%の確率で正しければ上出来だと周囲の人に打ち明けた。 これほど傑出した人物が75%で上出来だと言っているとすれば、あなたや私はどうだろうか。 私たちが正しいのは、いくら高く見積もっても、せいぜい55%ぐらいではないか。この程度の確率で相手が間違っていると主張してもいいのだろうか。
人の上に立つということ
老子は紀元前五世紀に生きた中国の賢者だが、謙虚さの重要性を説く彼の英知は今でも役立てることができるかもしれない。
川や海に無数の渓流が注ぎ込んでくるのは、渓流よりも身を低くしているからだ。だからこそ、川や海は無数の渓流に君臨できるのである。それと同様に、人の上に立とうとするなら、賢者は人の下に身を置かなければならない。賢者は人の上に立っているが、人はその重みを感じないので、それを不当だとは思わない。