ソニーが、高性能ノイズキャンセリング機能を搭載したBluetoothワイヤレスヘッドホン、1000Xシリーズの最新モデル「WH-1000XM3」をIFAで発表しました。カラーバリエーションはブラックとプラチナシルバーの2色を用意。ヨーロッパでの想定売価は380ユーロとのことなので、日本では約48,000円での販売が見込まれます。欧州各国では9月から順次出荷を予定しています。
1000Xシリーズといえば、2016年に発売された「MDR-1000X」を原点として、昨年にはヘッドホンの「WH-1000XM2」、ネックバンドタイプのイヤホン「WI-1000X」、完全ワイヤレスイヤホンの「WF-1000X」に広がって話題を呼びました。それぞれの機種は、“業界最高クラス”を誇るソニー独自のアクティブノイズキャンセリング機能を特徴としていますが、今回のヘッドホンはノイズキャンセリングの効果がまたさらにグレードアップしています。
背景には、新開発のノイズキャンセリング用プロセッサー「QN1」を内蔵したことがあります。従来のヘッドホンにも同様のプロセッサーは搭載されていましたが、新製品ではその処理能力が4倍にも高められ、新たにQN1という名前も付けられました。
本機を担当するソニービデオ&サウンドプロダクツの大庭寛氏は、「継続的に響くような低域のロードノイズや甲高い飛行機のエンジン音のようなノイズだけでなく、人の話し声や日常の生活ノイズの消音効果を大きく向上させた」と、性能向上を果たしたノイズキャンセリング機能の効果を説明しています。
ノイズキャンセリング用のマイクは、左右イヤーカップの表側と内側に1つずつ、合計4つ搭載。いわゆるフィードフォワードとフィードバックの両方式を併用する「デュアルノイズセンサーテクノロジー」によって、交通ノイズや周囲の喧噪をシャットアウト。心地よい静寂に包まれながら音楽リスニングを楽しむことができます。昨年発売のWH-1000XM2から、スマホアプリを使って個人の装着感や周囲の大気圧に合わせてノイズキャンセリング機能オン時のリスニング感を最適化する「NCオプティマイザー」が採用されていますが、こちらは新モデルにも継続して搭載されます。
ノイズキャンセリング用のマイクを使ってリスニング環境の周囲の音をモニタリングする「アンビエントサウンドモード」は、アプリからノーマルとボイスの各モードを選択可能。右側イヤーカップ表面のタッチセンサーコントローラーに触れている間、外の音に注意を向けられる「クイックアテンション」も継続して搭載されます。
なお、内蔵マイクについては、今回の新製品から通話用とノイズキャンセリング用を別々に持たせたことで、ハンズフリー通話時の声のピックアップがクリアにできることも魅力のひとつになります。
ワイヤレス再生時にも高品位なハイレゾ相当の音質を実現するため、BluetoothのオーディオコーデックはLDACとaptX HDに対応。QN1のチップ内には、本機のノイズキャンセリング性能にも合わせこみながら、心地よいサウンドを再現する専用のDACとアンプが組み込まれました。クリアな音質と同時に、駆動時の消費電力を下げる効果をもたらしています。
なお、SpotifyやApple Musicなどで配信されているハイレゾ音質ではない音源をBluetoothで聴く場合も、独自のアップスケーリング機能「DSEE HX」によってハイレゾ相当の高品位なリスニングを楽しむことができます。もちろん、付属のケーブルを使ってハイレゾ対応のプレーヤー機器につなげば、ピュアなハイレゾ再生も可能です。
Android/iOS対応のアプリ「Sony Headphones Connect」では、イコライザーやサラウンド効果を設定したり、音の聞こえる方向に変化を付ける「サウンドポジションコントロール」が設定可能。ペアリングしたスマホの加速度センサーを使って、ユーザーのリスニングシーンを「止まっている時」「歩いている時」「乗り物に乗っている時」の各シーンに分類し、ノイズキャンセリングや外音取り込みの効果をプリセットできる「アダプティブサウンドコントロール」も引き続き採用されています。
本体に内蔵するバッテリーは、フル充電から最大約30時間のリスニングに対応する点は前モデルと同じですが、1.5A以上の充電電流容量を持つ充電器を使うと、約10分の充電で約5時間ぶんのクイック充電が可能になります。充電ケーブルは、本機からUSB Type-Cに切り替わりました。
なお、Googleアシスタントについては、現行モデルのWH-1000XM2と同様に、9月からソフトウェアアップデートにより順次対応が開始される見込みです。音声操作でWeb情報を検索したり、SpotifyやGoogle Playミュージックからの楽曲検索・再生が楽しめるようになる予定です。
新モデルからは、スマホとのペアリングがますます簡単になります。スマホにあらかじめSony Headphones Connectアプリを導入しておいた状態でヘッドホンの電源を入れると、アプリがヘッドホンのBLEビーコン情報を認識。スマホの画面に表示されるヘッドホンのイメージをタップすれば、ペアリングが自動的に完了するという仕組みです。
イヤーパッドは、耳に当たる箇所にかかる圧が分散するように、内部の低反発ウレタンの素材に微調整を加えてフィット感を向上。耳に当たる部分の面積も20%増やして、パッシブなノイズキャンセリング効果も高めています。さらに、装着した際にヘッドバンドのアーチが頭のラインとスリムにフィットするよう、シルエットに変更を加えました。ヘッドバンドの金属部分もより細身にしたり、内部のパーツを計量化したことで、本体の重さが1000XM2の275gから255gへと、約20gの減量に成功しています。ドライバーユニットは、耳の角度に沿わせて斜めに配置する「イヤーコンシャスデザイン」を採用したことで、イヤーカップ内の空間が広がり、快適な装着感が得られます。
音質、ノイズキャンセリング精度、そして装着感も含め、全方位からグレードアップを図ったWH-1000XM3は、日本での発売も予定されています。今回もまた間違いなくヒットモデルになることでしょう。