セイコーエプソンは8月30日、年末商戦向けインクジェット複合機の新製品を発表した。売れ筋モデル「カラリオ」を主力に据えつつ、数分の1の低コストで印刷できる「エコタンク搭載プリンター」のラインアップを強化する。購入検討者から要望の多かったホワイトモデルを追加し、一般家庭のリビングにも違和感なく設置できるようにしたのが注目だ。装備と価格のバランスがよいエコタンク搭載プリンターの中堅モデルも新たに投入し、「インク代を気にせずプリントしたい」と考える従来モデルのユーザーの買い換えを狙う。

  • 圧倒的な低コストで印刷できる「エコタンク搭載プリンター」に待望のホワイトモデルが加わったのが、今年の年末商戦向けモデルの大きなポイントだ

新製品のラインアップや予想実売価格は以下の通り。

機種名 予想実売価格(税別) 発売日
エコタンク搭載プリンター
EW-M770TW 5万円台後半 10月25日
EW-M670FTW 5万円台中盤 10月25日
EW-M630TB、EW-M630TW 4万円台前半 10月25日
EW-M571TW 3万円台中盤 10月25日
PX-S170T 2万円台中盤 10月5日
PX-S170UT 2万円台前半 10月5日
カラリオプリンター
EP-881A 3万円台前半 9月13日
EP-811A 2万円台中盤 9月13日
EP-711A 1万円台後半 9月13日
PF-81-2019 5万円台中盤 9月13日
ビジネスインクジェットプリンター
PX-S5010 2万円台後半 10月5日

エコタンクは待望のホワイトを追加、家庭にも向く新機種も

2016年1月に登場したエコタンク搭載プリンターは、A4カラー文書の印刷コストが1枚1円未満で済むなど、圧倒的な低コストでプリントできることが注目された。しかし、これまで登場した製品は無塗装のブラック色しかなく、「カラーバリエーションが欲しい」といった意見が寄せられていたという。

そこで、既存モデルのカラーバリエーションとして、新たにホワイトモデルを追加した。家庭向けのインクジェット複合機では、さまざまなカラーバリエーションのなかでホワイトが一番人気であることから、ホワイトの追加で一般家庭への普及を狙う。エプソン販売の担当者によると、「エコタンク搭載プリンターは150カ国以上で展開しているが、ホワイトモデルを投入するのは日本市場が初めて」ということだ。販売価格は、ブラックモデルと同等の見込み。

  • EW-M770Tのホワイトモデル「EW-M770TW」

  • EW-M670FTのホワイトモデル「EW-M670FTW」

  • EW-M571Tのホワイトモデル「EW-M571TW」

合わせて、一般家庭への導入に向いた新機種「EW-M630T」も追加する。ADF(自動用紙送り装置)やファックスなど、家庭ではニーズの低い装備や機能を省略して本体をコンパクトな設計にしつつ、前面給紙カセットを搭載したのが特徴。インクは顔料ブラック+染料3色で、普通紙でも文字がにじみにくい。予想実売価格は税別4万円台前半に抑えた。

  • 過不足のないまとまりのよさが魅力のエコタンク搭載複合機「EW-M630T」。印刷コストは、A4カラー文書が約0.9円、A4モノクロ文書が約0.4円、L判写真が約5.9円(用紙込み)と低コストで済む

  • ブラックモデルも用意する

  • 用紙にホコリが付着する心配の少ない前面給紙カセットを搭載するのがポイント

  • インクボトルからインクをドボドボと注いで補充できる構造を採用する

カラリオ複合機はスマホ接続の利便性を向上

売れ筋のインクジェット複合機「カラリオ」は、昨年モデルからの小変更にとどめた。目立つ改良点といえるのが、スマホとのWi-Fi Direct接続を簡単にしたこと。iPhoneなどのiOS端末の場合、プリンターの画面に表示されたQRコードをカメラ機能で撮影するだけで接続できるようにした。

  • カラリオ複合機の主力モデル「EP-881A」

  • 画面に表示されたQRコードを撮影すればWi-Fi Directで接続できるように改良した

  • EP-881Aのカラーバリエーションは全4色。ブラックモデルとレッドモデルのみ、前面や側面を光沢処理に変更し、高級感を高めた

  • 細部のデザインを改良した「EP-811A」

  • 「EP-711A」も細かなデザインの変更を施した

  • キーボード付きの簡単年賀状作成モデル「PF-81」は、付属の最新素材集を2019年版に一新した。元号の編集機能を追加したのもポイント

A4モノクロレーザー対抗のエコタンク機も投入

ビジネス向けのインクジェットプリンターは、コンパクトな設計のA4対応モデル「PX-S170UT」「PX-S170T」を投入する。エコタンクを搭載した低コストモデルで、インクタンクをヘッド部に搭載することで本体の小型化を図った。A4モノクロ文書の印刷コストが1枚約0.4円と安いことや、消耗品は省スペースで保管できるインクボトルだけで済むことを売りに、モノクロレーザープリンターからの置き換えを狙う。PX-S170UTはUSB接続モデル、PX-S170TはWi-Fi接続モデルとなる。

  • A4モノクロレーザープリンターの対抗となるエコタンク搭載のモノクロプリンター「PX-S170UT」「PX-S170T」

  • エコタンク搭載プリンターでは初めて、インクヘッドの上部にインクタンクを搭載する

A3ノビ対応のインクジェットプリンター「PX-S5010」も投入する。従来よりも本体を大幅に小型化したのが特徴。さまざまな用紙を給紙できる背面のオートシートフィーダーに加え、A4普通紙がセットできる前面給紙カセットを装備しており、用紙交換の手間を削減できる。インクはインクカートリッジ式となる。

  • 大幅な小型化を図ったA3ノビ対応プリンター「PX-S5010」

  • 背面のオートシートフィーダーに加え、前面給紙カセットを用意する