ソフトバンクは8月29日、新たな料金プランを発表しました。AbemaTVやYouTubeなどの人気動画サービス、FacebookやLINEなどのSNSをいくら閲覧しても月のデータ容量にカウントされない「ウルトラギガモンスター+(プラス)」が9月6日からスタートします。
ウルトラギガモンスター+とは
ウルトラギガモンスター+は、音声通話と50GBの高速データ通信容量に加えて、対象の8サービス(AbemaTV、Instagram、GYAO!、TVer、Hulu、Facebook、YouTube、LINE)で消費するパケット容量をカウントしない「ギガノーカウント」が適用される料金プラン。Wi-Fiのない場所でも、動画やSNSを思う存分に楽しめる、というのは大きな魅力ですね。たとえば、毎日の通勤・通学で映画やドラマが見放題になったら? ユーザーの生活スタイルまで変えてしまうことが予想されます。
気になる料金設定ですが、音声通話にあたる「通話基本プラン」が毎月1,500円(2年契約時、ウェブ使用料込。以下すべて税別)で、「データ定額 50GB プラス」が毎月5,980円。つまり月額7,480円となりますが、ここに「1年おトク割(1年間)」「おうち割 光セット」、「みんな家族割+」(後述)といった割り引きを適用させることで、個人なら月額5,480円から、4人家族であれば1人あたり月額3,480円から利用できます(1年目)。
ウルトラギガモンスター+に加入している家族の人数に応じて、個々の月額料金を割り引く「みんな家族割+」も用意。みんな家族割+の割り引き額は、2人なら500円、3人なら1,500円、4人以上なら2,000円です。
「みんなに家族割+を適用させたいけれど、家族にあまりパケットを使用しない人がいる」といったケースを想定して、データ使用量(~1GB、~2GB、~5GB、~50GB)に応じて4段階の定額料が自動的に適用される月額1,980円からの「ミニモンスター」も発表されました。
小容量プランのミニモンスター契約者は、みんな家族割+の頭数に入ります。ですが、当人のプランに割り引きは適用されません。たとえば同じ世帯にウルトラギガモンスター+の契約者が2人、ミニモンスターの契約者が1人いる場合、みんな家族割+の加入人数は3人。割り引きが適用されるのはウルトラギガモンスター+の契約者で、それぞれの利用料金からひと月1,500円が割り引かれます。
ウルトラギガモンスター+、ミニモンスターともに、申し込み開始日は9月6日。対象となる機種は、iPhone 5以降のiPhone、および4Gスマートフォンとなっています。機種変更を伴わないウルトラギガモンスター+へのプラン変更は2018年11月1日以降に対応する予定です。
ちなみにソフトバンクでは、メール、ゲーム、ストリーミング、ブラウジング、アプリなど、ネットを利用したすべてのデータ通信が使い放題となる「ギガ使い放題キャンペーン」を2018年9月6日から2019年4月7日まで実施します。適用条件は、期間中にウルトラギガモンスター+を契約すること。こちらも驚きの内容です。
注意すべき点は?
今回の発表に関連して注意すべき点をいくつかまとめておきましょう。まず、ウルトラギガモンスター+の対象サービスであっても、パケットを消費するケースがあります。GYAO!では広告の視聴時、LINEであれば音声通話やビデオ通話時、FacebookやInstagramでは動画音声の再生時にデータ量が消費されます。
また、ウルトラギガモンスター+、ギガ使い放題キャンペーンともに、但し書きには「一定期間内に著しく大量の通信を継続的に行い、機械的な通信と当社が判断した場合は、通信速度を制限することがあります」との記載がありました。
このほか、ウルトラギガモンスター+、ミニモンスターの通話基本プランで月額1,500円の2年契約(自動更新)か、月額1,800円の2年契約(フリープラン、契約満了後はいつでも解除料なしで解約できる)を選ぶと、月月割が適用されません(月額3,900円の2年契約なしプランでは適用されます)。
月月割とは、新しくスマートフォンを購入すると、毎月の通信料金から機種に応じて一定額を割り引きするサービスのこと。機種に応じて、利用者の支払い総額から一定額を割り引きするサービスは、携帯キャリアの施策として広く利用されており、実質的に端末の割り引きとして機能していました。しかしこの2プランでは、業界全体で「端末代金」と「通信料金」を分離する、いわゆる「分離料金プラン」に移行するという、最近の流れに沿った形が採用されました。
今回の発表にともないソフトバンクは、新規契約時において、通話とデータ定額プランを組み合わせた「通話定額プラン」や「通話定額ライトプラン」、データ量変動型プラン「おてがるプラン」などの申し込み受け付けを2018年9月5日以降に順次終了していく予定であることも付け加えておきましょう。
あと4割、安くなるの?
今回発表のあったウルトラギガモンスター+、データをたくさん使うユーザーにとってはどのくらい安くなるのでしょうか。記者団からあがった質問に、ソフトバンク 代表取締役 副社長の榛葉淳氏が答えています。
榛葉氏によれば、ソフトバンクでは「月月割」か「ウルトラギガモンスター+」のどちらかを選択できる形にしたいとのこと。実際にユーザーが支払う料金については「従来の月月割と比較して、今回のウルトラギガモンスター+は同等か、よりお得になるよう提供していく」と説明します。
お得なプランを提供することで、ソフトバンクグループでワイモバイルやLINEモバイルの提供するサービスと内容が被ってしまうのでは、という質問もあがります。榛葉氏は、「社内でも議論を重ねてきました、さまざまなユーザーにフィットするサービスを用意しつつも、ユーザーが迷わずにブランドを選べるよう、利用シーンに基づいたプログラムを立案させていただいています」と回答。
分離料金プランを提供するに至った背景について、市場で機種変更の機会が減っているからか、と記者が尋ねると、「ユーザーの声を反映して、こういうプランがあるべきと判断しました。利用できるプランの選択肢を広げるという意味で、従前の月月割も残しています」と話します。
ところで政府が27日に行った定例会見において、菅義偉官房長官は「携帯電話の料金は、あと4割ほど引き下げられる」という発言をしたのが話題になりました。これについて榛葉氏が個人の考えを聞かれると、「この業界に参入した10数年前から、ソフトバンクは業界のプライスリーダーであると自負しています。最近では、割安な料金で利用できるワイモバイルというブランドも育てました。ウルトラギガモンスターといった大容量プランも、当社が先進的につくってきたもの。そういった意味では、同じ方向を向いているのではないでしょうか」と苦笑い。
また「Apple to Apple(同じ条件下という意味)での議論が大事です。同じ土俵で議論しないと、おかしなことになります。キャリア事業は、価格と品質が重要。日本のネットワークのクオリティは、海外に比べてとても高い」と自信をあらわし、日本の通信料金を海外の安さと単純比較した菅長官の発言を揶揄します。
しかしその上で、「政府としては、国民のことを考えての発言だと思う。我々もユーザーの声で判断しています。最終的には同じゴールを目指しているのではないか、ということ。ソフトバンクでは今後も、ユーザーの声を真摯に受け止めて、できることからやっていきます」と説明していました。