東京・ベルサール秋葉原で開催されている「平成仮面ライダー20作品記念フェスティバル」にて25日、『仮面ライダービルド』キャストによるスペシャルトークショーが行われた。この日は主演の犬飼貴丈、赤楚衛二、東映の大森敬仁プロデューサーが登壇。作品の思い出を語り合った。
『仮面ライダービルド』は、26日の放送でTVシリーズ最終回を迎える。その率直な感想を尋ねられた犬飼は、「TVシリーズは終わってしまっても『ビルド』という作品はずっと残り続けますし、12月22日公開の映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』もある。『ビルド』としてはまだまだ続いていくので、一つの"区切り"にしかすぎないのかなという気持ちではあります」と回答。赤楚も犬飼に同意しつつ、「とはいえ僕たちは平和のために戦ってきたので、終わってくれないと幸せにならないなと(笑)」と物語の結末への期待をのぞかせつつ、「でも気持ちとしては"終わった"というのはないですね」とコメントした。会場にヒーローたちの姿をひと目見ようと集まった子どもたちにとっても、最終回がきたとしてもヒーローはヒーローであり続ける。客席の子どもたちに向けて赤楚は、「ずっと万丈龍我だぞ!」と頼もしく宣言した。
そして大森プロデューサーは、「作り手としては少しでも早くみなさんに最終回を見ていただきたいと思っています。ここ最近、消滅している仮面ライダーが多いと思うので、消滅しているからこそ、最終回が意味をもつみたいなところがあったりするので、ぜひ最終回を見てもらいたいという気持ちが強い」と、最終回に向けてハードさを増していったストーリーが迎える結末への期待をあおった。
これまでの撮影で印象的だったことを尋ねられると、赤楚は「万丈がまだ変身していない10話のアクション。東都の制服を着て戦うのですが、(JAE所属の俳優で、『ビルド』では仮面ライダークローズのアクションを担当した)永徳さんがアクションをつけてくださって、すごくカッコよく撮ってくださったので印象的でした。しかも今までで一番大変なアクションでした」と振り返った。
一方の犬飼は、「初変身のシーン」を挙げ、「これから仮面ライダーを1年間やっていくんだなという気持ちがそこで強くなったので、すごく印象に残っています」と感慨深く語っていた。続く大森氏は、「3話は大きい回だなと思っています。桐生戦兎がどうして記憶がないのかということについてはワンクールを通して描いてきたんですけど、3話は戦兎の見返りを求めない純粋な正義を見せるところ。誰にも気づかれないのに戦っているのが桐生戦兎、仮面ライダーであるというところを表現できたのかなと思ったのがこのエピソードでした。あとはあのクシャっとした笑顔も印象に残っています」と、シリーズ序盤に手ごたえを感じた回に思いをはせていた。
1年の撮影をとおして成長したことについて犬飼は、「朝の撮影が仮面ライダー名物で早いんです。僕は学生時代、低血圧なこともあって毎朝母とケンカしながら起きていたくらい朝が苦手だったんですけど、1年がたって朝もしっかり起きれるようになったのは成長したのかな」と意外なコメント。赤楚も生活面の成長が大きかったそうで、日々行われるハードな撮影のため、「食べないと動けないので、食生活が健康的になった」ことを挙げた。
そんな二人の姿を見てきた大森氏は、「犬飼くんを中心にチームワークが強くなって番組を盛り上げてくれました。武藤(将吾)さんのお書きになる脚本は、会話劇で笑わせたりするというハードルの高いお芝居が要求されます。犬飼くんも赤楚くんも、そういったお芝居ができるということで選ばせていただいた部分も大きかったのですが、1年間という長丁場でハードな現場なので、この1年間を乗り越えられるのかという心配もありました。犬飼くんは飄々としてるんですけどすごく頑張り屋で、そのタフな現場を引っ張ってくれた。犬飼くんを中心にキャスト一同のチームワークがすごく強くなって、番組もそれに引っ張られたというところがあると思います」と、その姿勢を称賛した。
逆に大森氏から受けたアドバイスを尋ねられると、犬飼は「エボルトに憑依された戦兎を演じるときに、赤楚はエボルトに忠実に演じてくれていたので、僕は少し遊びを入れようと思って、大森さんに相談したんです。それもあって、エボル戦兎はのびのびとできました」とコメント。赤楚は、「最初のころの万丈は、『仮面ライダーアマゾンズ』で演じた役(長瀬裕樹)とすごく似ていまして。似ているというか、そういう芝居しかできなかったのもあると思うんですけど、その"似ている"ことをどうやって変えていこうかと悩んでいた時に、大森さんがインタビューで『何も考えずに万丈龍我をまっとうして生きてくれればちゃんと万丈龍我になる』と答えているのを見て、ありがたいお言葉だなと。間接的にアドバイスをいただきました(笑)」と、大森氏の言葉が演技のカギになっていたことを明かした。
おなじみの「変身ポーズ」の話題になると、犬飼は「変身のポーズや言い方は、わりと役者にも自由にやらせていただきました。でも中盤からはほとんど立ちっぱなしで変身しているんですけど(笑)」とコメント。逆に赤楚は「最後までポーズしてやろう!と思っていました」という。会場では、赤楚のお気に入りというクローズチャージの変身ポーズのポイントが披露され、「バッとクロスする手の左手は盾、右手は剣という意味です」と説明がなされた。
9月2日からスタートする新番組『仮面ライダージオウ』への出演も発表済みの犬飼と赤楚。犬飼は、「朝から夜まで『ジオウ』を撮って、そこから朝まで幻さん(氷室幻徳)が消滅するところを撮っていたので、常に変な感覚に苛まれながら撮影していました」と振り返った。
また現在公開中の映画『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』について犬飼は、「テレビは23分くらいで物語を展開させるので、詰めている部分があるのですが、映画ではぜいたくに時間を使えた」と語り、赤楚は「迫力もそうですが、間ですよね。間にも意味があることを感じていただけたら」と見どころを語っていた。
そして犬飼からは、映画に登場するフォーム「クローズビルドフォーム」に変身するアイテムがなぜ缶(クローズビルド缶)なのか?という疑問が大森氏に投げかけられた。大森氏によると、「二つのボトルがジーニアスフルボトルに吸収されたから。大人の事情とかではないです。ジーニアスフルボトルが起こした奇跡です!」と説明。最終回を前に、ずっと気になっていたという犬飼の疑問に結論が出ることとなった。
『仮面ライダービルド』最終話「ビルドが創る明日」は、8月26日あさ9時よりテレビ朝日系にて放送。
なお、「平成仮面ライダー20作品記念フェスティバル」は8月26日も、ベルサール秋葉原で開催(入場料:無料)。14:30から『仮面ライダービルド』キャストによるスペシャルトークショーを実施し、犬飼貴丈、赤楚衛二、武田航平が登壇する。また、ジオウとビルドが活躍するヒーローショー(約10分)や、子どもを対象にしたハイタッチ会なども実施される。歴代ライダーの変身ベルトや『ジオウ』関連商品をはじめとする展示コーナーや、平成20作品を記念したTシャツ、タオルなどの物販コーナーも人気となっている。