前回は、MacでWindowsを動かすには仮想環境(VM)がお勧めだと紹介した。ではMacで使える仮想環境にはどのようなものがあるだろうか。
MacでWindowsを動作させるための仮想環境としては、市販、フリーソフト含めて3つの選択肢がある。性能・機能や互換性、さらにはインストールの難易度などに差があるので、値段ばかり見ず、できるだけ簡単に使えて性能が高いものを選ぶといいだろう。ちなみに古いMacでメジャーだった「Virtual PC」や「SoftWindows」といった仮想環境はすでに販売を終了している。
Parallels Desktop for Mac
米Parallels社が開発・販売しており、OS Xに真っ先に対応した仮想環境。Intel Macの販売と同時に登場したので、OS X 10.5(Leopard)の登場とほぼ同時。およそ12年の歴史がある。最新版はバージョン13だ。
Parallelsのメリットは、仮想環境での性能の高さだ。発売当初からゲームを含めた互換性と性能の高さをウリにしており、比較的性能の低い、CPU統合グラフィックでも低負荷なゲームであれば設定次第でそこそこ遊べる。
また、Macとの親和性の高さにもこだわっている。WindowsアプリをMacのアプリのように、Windowsデスクトップを表示せず単独ウィンドウで表示する「コヒーレンスモード」や、クリップボードを共有化してMac上でコピーした内容をWindowsアプリにペースト(またはその逆)、MacとWindowsのデスクトップを共通化するなど、Windowsであることを意識せず使えるようにこだわっている。インストール時にWindowsのプロダクトキーを入力しておけば、セットアップまで勝手に行ってくれるなど、とにかく手間がかからない。
買い切りのパッケージに加え、常に最新版が保証されるサブスクリプション版もある。とりあえず手軽に使いたいというユーザーから、企業での利用まで幅広く対応しており、さすがはシェアNo.1といったところだろう。
VMware Fusion
x86用の商用仮想OSとして世界トップシェアを誇る「VMware」が開発・販売している製品。同社のデスクトップ向け製品としてはWindows向けの「VMware Workstation Pro」などがあるが、「Fusion」はそれらとは独立した製品として登場した。
Intel Mac向けの仮想環境としてはParallelsとほぼ同時に登場し、ライバルとして切磋琢磨してきたが、バージョン8の登場以来、一時期バージョンアップが滞っていた(メンテナンスは行われていた)。昨年、バージョン9を飛ばしてバージョン10が登場し、再びParallelsのライバルとして復活、Windowsアプリを単独ウィンドウで表示する「ユニティ」モードなど、機能面でもライバルであるParallelsと同等の機能・性能を実現している。セットアップの容易さなども、ほぼParallelsと同等だ。
ちょっと意外なところでは、一部のMac Proがサポート対象外になっていることがあるが、平均的なユーザーにはあまり関係がないだろう。いずれにしてもParallelsとどちらを選ぶかは、なかなか悩ましいところだ。
Oracle VM VirtualBox
オープンソースで開発されている仮想環境で、現在はオラクルが開発元となっている。多くのOS向けに提供されているが、何より「無料」で入手できるのが最大の特徴だ。
無料で入手できるため、「とりあえず仮想マシンというものでほかのOSを動かしてみたい」という需要を満たすにはベストな選択肢と言える。一方、性能面ではParallelsやFusionといった商用仮想環境よりもだいぶ劣る。また、商用仮想環境で提供されているようなインストール補助機能や、アプリを単独のウィンドウで表示するモードなども用意されていない(ただし、ドラッグ&ドロップでファイルをやり取りするなどの機能は準備されている)。