ミラーレスや一眼レフでなめらかな動画を撮影するための「カメラスタビライザー」、これまでは大きくて扱いづらく、しかも高価な製品しか存在しませんでした。そのような状況のなか、意欲的な価格とサイズのカメラスタビライザー「MOZA AirCross」が登場。どれほどの実力を持っているのか、さっそく実機でチェックしてみました。
片手でも扱え、価格が安いのが画期的
昨今、4K画質の動画撮影に対応するミラーレスやデジタル一眼レフが増えてきました。プロ用のムービーカムと同等か、それ迫るクオリティの精細な動画撮影が楽しめるようになっています。
ただし、4K画質の動画が撮影できるといっても、満足するクオリティの動画が容易に撮れるとは限りません。カメラを手持ちして4K動画を撮影すると、高精細だけにブレや揺れがより気になってしまうからです。ボディやレンズに手ぶれ補正機構を搭載していても、歩きながらの撮影で見られる大きな揺れまでは補正できないのです。ブレや揺れを抑えるには、カメラをしっかりとした三脚に固定するのが一番。しかし、撮影の自由度が極端に低下してしまうので、動き回る被写体を撮影するのはほぼ不可能になってしまいます。
手持ちでもブレや揺れの少ない動画を撮影するための味方となるのが、カメラ用の「スタビライザー」です。歩きながらの撮影でブレや揺れ、傾きが発生しても、それを打ち消すようにカメラを固定する部分が電動で細かく動くことで、安定感のある動画に仕上がる仕組みになっています。
この手のスタビライザーは、ドローンメーカーとして有名な中国DJIの「Osmo Mobile 2」など、スマートフォン用の製品が普及しています。ただ、重量のあるミラーレスや一眼レフに対応したカメラスタビライザーは安いものでも十数万円と高価なうえ、両手でしっかり保持する必要がある製品がほとんどで、普通の人が手軽に扱えるとはいえませんでした。
ところが、リンクスインターナショナルが5月末に発売した中国Gudsen Technologyの「MOZA AirCross」は、大口径レンズを搭載したフルサイズミラーレスが装着できる性能を持ちながら片手でも扱え、しかも実売価格は税込65,000円前後とお手ごろ。これまでのプロ向けカメラスタビライザーとは一線を画す価格とサイズ、使いやすさに仕上げたことで注目されています。
使用前にバランスを取るのがやや面倒
MOZA AirCrossは、ミラーレスなどのデジタル一眼に対応する3軸ジンバルを採用した、片手持ちが可能なカメラスタビライザーです。本体の主要部分はアルミニウム合金が用いられており、重量は896gに抑えられています。ペイロード(耐荷重)は1.8kgで、ボディとレンズを合わせて1.8kgまでのカメラが装着できます。
MOZA AirCrossを使用するにあたって、まずカメラを実際に乗せてバランスを取る必要があります。手順としては、最初にカメラの前後のバランスを調整し、その後チルト軸、ロール軸、ヨー軸とバランスを取っていきます。慣れないと手間と時間がかかり、面倒に感じるかもしれません。しかし、この調整ができていないと本来の補正効果が出ませんので、あきらめずに落ち着いて調整してください。慣れてくれば、調整は3分もかからずできるかと思います。
なお、レンズを交換したり、光学フィルターやレンズフードを着脱した場合はバランスが変わってくるので、その都度調整を実施する必要があります。デジタル一眼に対応したカメラスタビライザーは、そのような繊細さがあることは覚えておきましょう。