日本では、毎年6月1日が「写真の日」に定められていますが、世界的には8月19日が「World Photo Day」として広く知られています。そのWorld Photo Dayを前に、世界中のiPhone写真家たちがお祝いのコメントを寄せるとともに、iPhoneで撮影した美しい作品やふだんの撮影スタイルを続々と公開しています。iPhoneのカメラ性能を高く評価し、撮影はiPhoneでなければダメ、という写真家も少なからずいました。
ポートレートモードの出番は人物撮影だけにあらず
カナダのトロントを拠点に活動するのが、写真家のKael Rebick(ケール・レビック)さん。姪のロジーさんをiPhone Xのポートレートモードで写した写真を「彼女の美しさを見事に表現してくれた」と評価します。作品は、ロジーさんを鮮明にキャッチしつつ、別のソフトクリームを持つ手前のレビックさんの手と背景を自然に柔らかくぼかしているのが分かります。
iPhone Xで撮影した写真は、パソコン上ではなくiPhone X上で少しばかりレタッチや編集を行うぐらいだそう。その際は、無料のレタッチアプリ「Snapseed」が欠かせない存在だといいます。
タイ在住のJirasak Panpiansinさんは、「私は日々iPhoneだけで撮影している」と豪語するほどのiPhone写真家です。iPhone Xのポートレートモードで撮影した作品が、彼の一番の友達だという犬の写真。撮影者の存在をメガネにうまく写し込みつつ、犬の表情をシャープに切り取っているのがお見事です。しかも、犬の顔以外の部分は溶けるように美しくぼけており、ポートレートモードが活躍するのは人物撮影だけではない、と改めて確認させられます。
撮影や編集には、iPhone写真家に愛用者が多い基本無料アプリ「VSCO」を用いています。
インド在住の写真家であるAshish Parmarさんの作品は、水族館で撮影したクラゲの写真です。真っ暗な水中で幻想的な輝きを見せるクラゲの姿は、とてもスマートフォンで撮影したとは思えません。「とても暗い状況でしたが、仕上がりは私が期待した通りでした。私は、iPhoneがもたらす色、ディテール、ダイナミックレンジをとても気に入っています」と評価しています。
Parmarさんは、撮影はiPhone Xで行っていますが、編集やレタッチは有料の写真編集アプリ「Affinity Pro」(2,400円)を使うためにiPad Proを用いるそう。iPad ProはiPhoneよりも画面が大きく、しかもApple Pencilが使えることを評価していました。
台湾出身でサンフランシスコの芸術学校を卒業したErica Wu(エリカ・ウー)さんの作品は、中国・桂林で撮影した鵜飼いの漁師をiPhone Xでとらえた写真です。桂林の象徴といえる奇岩が雲に煙る様子が、まるで水墨画のように表現できています。露出を抑えてローキーに仕上げたことで、空や雲の階調をしっかり残しつつ、船上の炎のグラデーションもリアルに描けています。
米国の写真家であるOmar Cruz(オマール・クルス)さんの作品は、ミラノで撮影したというモノクロのスナップです。ちょうど日が当たる部分に歩行者を配し、まるでスポットライトが当たるステージのような趣を醸し出しています。シャドウになった部分はつぶれることなく、日が当たっている場所も白飛びせず、粘り強い描写になっているのが見て取れます。
Cruzさんは「iPhoneのカメラは露出やホワイトバランスの制御、カラープリセットが完璧だと感じており、作品作りのためにいろいろなアプリに頼る必要がない」と評価しています。唯一、RAWで撮影したいと思った時は、有料のカメラアプリ「ProCam 5」(720円)と無料アプリ「Adobe Lightroom CC」を用いるそうです。
香港在住のVivien Liu(ヴィヴィアン・リュウ)さんの作品は、香港で人気のある植物公園で撮影したというポートレートです。人物や植物のしっとりとした表現は、光が柔らかくなるようにしっかりライティングを施したうえで撮影したような印象ですが、来園者で混雑するなか人がいない場所を目ざとく見つけてiPhone Xでサッと撮影したのだといいます。
Vivienさんは「自然な色合い、ほどよいシャープネス、誇張しすぎない色調など、iPhone Xが生み出す写真にはいつも感銘を受けています。プロ向けのカメラで撮影し、雑誌に掲載された写真と見まごうほどです」と、iPhone Xのカメラ性能を高く評価します。