NVIDIAはこのほど、新GPUアーキテクチャ「Turing」と、それを採用したリアルタイムレイトレーシング向けのGPU「Quadro RTX」シリーズを発表した。
「Turing」は、NVIDIAが「CUDAを開発して以来の大きな飛躍」と表現する新アーキテクチャ。シェーダプロセッサのCUDAコアに加えて、AIにおける推論に使うTensorコア、そして新たにレイトレーシング向けのRTコアを実装した。これらを組み合わせたハイブリッドレンダリングによって、リアルタイムでのレイトレーシングを実現するという。
ダイサイズは754平方㎜で、露光装置の製造限界ギリギリのサイズといわれたVoltaの815平方㎜よりも小型になったが、それでもPascalの471平方㎜と比べると十分に大きい。
CUDAコア数は最大で4,608基。複数のCUDAコアをまとめたSM(ストリーミングマルチプロセッサ)にも手を加え、浮動小数点演算ユニットと整数演算ユニットを並列に動作できるようになったという。そのため、演算性能は16FLOPSかつ、16TIPS(Tera Integer operations Per Second:以前はTIOPSと呼んでいたが変わったようだ)と表現されている。
Tensorコアは、FP16/INT 8/INT 4などをサポート。最大で1秒間に500兆回の推論を実行可能だ。「Turing」では、このTensorコアでノイズ除去や画面解像度のスケーリング、リタイミングなどを行うDLAAで活用する。
今回の目玉となるRTコアはレイトレーシング専用のプロセッサで。10G Ray/sの処理能力で、3D環境における光と音を演算する。これはPascalと比べて25倍の性能向上だという。
また、2018年3月に披露したリアルタイムレイトレーシングのデモ「Reflections」を実行する場合、Voltaでは4基必要だったが、Turingではシングルカードで実現できるとアピールした。
Turing採用の「Quadro RTX」シリーズ
MVIDIAはこのTuringベースのプロ向けGPU「Quadro RTX」シリーズを発表した。NVIDIA Quadro RTX 8000、Quadro RTX 6000、Quadro RTX 5000の3製品をラインナップ。グラフィックスメモリにGDDR6を採用。最上位のNVIDIA Quadro RTX 8000では、48GBの大容量を実装する。
また、プロセッサ間のインターコネクト技術「NVLink」によって、2枚のカードによるマルチGPU環境を構築できる。USB Type-CでVRデバイスと接続し、映像伝送やセンサー感知、電力供給などをまかなう「VirtualLink」をサポートする。
価格はQuadro RTX 8000が10,000ドル、Quadro RTX 6000が6,300ドル、Quadro RTX 5000が2,300ドル。日本ではELSAや菱洋エレクトロからの提供も予定されている。
製品名 | CUDAコア | *Tensorコア | メモリ | レイトレーシング性能 |
---|---|---|---|---|
RTX 8000 | 4,608 | 576 | 48GB | 10G Ray/s |
RTX 6000 | 4,608 | 576 | 24GB | 10G Ray/s |
RTX 5000 | 3,072 | 384 | 16GB | 6G Ray/s |