きょう16日(19:57~21:54)に放送されるフジテレビ系番組『直撃!シンソウ坂上 2時間SP ~日航123便からのメッセージ・33年目の真相~』。1985年に起きた世界最悪の単独機による航空事故「日本航空123便墜落事故」は、これまでも多くのドキュメンタリー、ドラマ、映画、書籍などで取り上げられてきたが、520人というあまりにも多すぎる犠牲者の分だけ、まだまだ知られざる悲劇があった。
番組では、4組の遺族を独自取材し、事故以前の暮らしぶりから事故当日の様子、さらには事故から33年を経た現在までをドキュメンタリードラマ化。描かれるのは、当時9歳の息子・健くんを甲子園で行われている高校野球観戦の1人旅に送り出した美谷島家。上司が急逝して急きょ東京に行くことになった谷口正勝さんの谷口家。夏休みに「つくば科学万博」「東京ディズニーランド」に出かけ、その帰りに3人の娘が事故に遭った田淵家。そして、急きょ大阪での仕事が入り、空席待ちで搭乗した村上良平さんの村上家だ。
番組冒頭から流れる事故前の様子は、常に笑顔があふれ、その後の運命を知る立場からすると、幸せそうな姿を見るだけで胸が苦しい。そして、機体に異変が発生してからの客室でのパニックの様子は、ボイスレコーダーに記録されていた実際の音声とともに描かれる。この音声は、機関士がつぶやいた「もうだめかもわからんね」など、操縦室内でのやり取りがよく知られているが、客室乗務員が乗客に向けて、「ベルトはしてますか? テーブルは戻してありますか?」と信じられないほど冷静にアナウンスする声も再現ドラマに重なり合わさるため、これ以上ないリアルさが伝わってくる。
また、最初は他人事だと思っていた事故機に、父親や子供たち、夫が乗っていたことを知った瞬間の家族の反応、表情も。事故から33年を経た今だからこそ初めて明かされたその後の壮絶な人生では、さまざまなエピソードが映し出され、「つらい」「かわいそう」という感情を抱くのは当然だが、精神的に弱りきった遺族につけこもうとする詐欺師のシーンでは、心からの「怒り」も覚えるだろう。
父親の遺体に対面して崩れ落ちそうな幼い息子が、大人に両脇を支えられながら涙で歩く当時の実際の映像も登場するが、今回の番組では取材に基づいてその背景を知ることができ、ドキュメンタリードラマ化の意義を感じる場面の1つだ。財前直見、鶴見辰吾、富田靖子、谷花音、岡田浩暉、松井玲奈といった豪華キャストに遜色ない力作に注目してほしい。
今夜の番組では、MCの坂上忍が、墜落現場の御巣鷹の尾根を訪れた模様も放送される。坂上が出会うのは、ドキュメンタリードラマで描かれる、9歳の息子を失った美谷島邦子さん。最愛の人を亡くした悲しみが凝縮されているはずの現場で坂上を迎えた美谷島さんの表情は、とても穏やかな笑顔だ。2011年の東日本大震災では、津波被害で犠牲者を出した建物を遺構として残すことに対し、つらい過去を思い出すと反対の声があったことも記憶に新しいが、事故の爪痕が残る現場に、どんな思いで通うのだろうか…。
坂上のインタビューでは、遺族らで結成された「8・12連絡会」を立ち上げた知られざる経緯、その名称に隠された秘話、そして連絡会の今などが語られる。御巣鷹の尾根を最初から最後まで案内しながら取材に応じたのは、33年間で初めての経験だったという美谷島さんの証言にも、ぜひ耳を傾けてほしい。
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