日常会話で使うことの多い「~と思います」という言葉。上司やお客さまに対しても、そのまま使用していい表現なのでしょうか。そこで今回は、ビジネスシーンにふさわしい「~と思います」の表現方法をご紹介します。

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「思います」の敬語表現

「~と思います」の敬語表現についてですが、「思います」は「思う」の丁寧語です。「思う」の尊敬語は「お思いになる、おぼし召す」、謙譲語は「存じる、存ずる」になります。

「~と思います」も敬語ですから、ビジネスシーンで使用しても問題ありません。しかしながら、より丁寧に接したい相手や、かしこまるような場面では、自分を下げることで相手を立てる謙譲語を用いた方が良いでしょう。

「~と思います」の言い換え「存じます」

上司や取引先、お客さまに対して自分の考えを述べる場合には、「~と思います」よりも、謙譲語の「~と存じます」という表現を用いるのが適切です。

・きっと、お気に召していただけると存じます。
・この件は、もっと慎重に対応した方が良いかと存じます。
・ご期待に添えるよう、精一杯努力してまいりたいと存じます。

また、相手に何かを頼みたいときにも「存じます」を使います。

・変更がございましたら、前日までに申し出ていただきたく存じます。
・他のプランもございますので、ご覧いただけましたら幸いに存じます。

さらに、感謝の気持ちを伝えたい場合にも使うことができます。

・このプロジェクトの一員になれたことを、大変光栄に存じます。
・弊社のプランを採用していただき、大変ありがたく存じます。

「存じます」と「存じ上げます」の違い

「存じます」は、「思います」の謙譲表現であるとお話ししましたが、実は「知っています」の謙譲語でもあり、「存じております」と使われるのが一般的です。

また、「知っています」の謙譲表現には「存じ上げております」という表現もありますが、「存じております」と「存じ上げております」の使い方には注意が必要です。まずは、例文を見てみましょう。

・御社の製品の良さは、よく存じております。
・タイに支店ができるのをご存じですか? はい、存じております。

・御社の○○様のことは、昔からよく存じ上げております。
・社長が退任することをご存じですか? はい、存じ上げております。

両者の違いが何か、お気づきでしょうか?

前者の「存じております」は、対象が人物以外であり、「存じ上げております」は、対象が人物に関する場合に用いられています。両者の使い方にはこのようなルールがありますので、覚えておきましょう。


今回は、「~と思います」の言い換えについてお話ししました。敬語は、使い方を間違えると相手に失礼なだけでなく、自身の評価を下げてしまうことになりかねません。自分の敬語表現が正しく使えているかどうか、これを機に見直してみてはいかがでしょうか。