説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『サマータイムが導入されたらiPhoneはどうなるの?』という質問に答えます。
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2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えてか、暑さ対策として「サマータイム」の導入を政府が検討しているとの報道が注目を集めています。導入が決定となった場合には、夏の時間を2時間繰り上げる作業をあらゆるシステムで実施せねばならず、改修が間に合わないのでは? 莫大な費用がかかるのでは? などといった不安の声も聞こえてきます。
ただし、すべてのシステムで大きな作業負担と改修コストが発生するわけではありません。ワールドワイドな販売を前提に設計されたシステムの多くは、世界各地域の標準時(時間帯)にあわせて現在時刻を設定できるしくみを採用しており、iOSも例外ではありません。
iOSを含むUNIXやLinuxなどのオペレーションシステム(UNIX系OS)は、「tz database(zoneinfo database)」という世界中の時間帯や時差、サマータイムの運用情報を網羅したデータベースを利用しています。これを参照すれば、デバイスが存在する地域に応じた時間帯を自動設定でき、サマータイムにも対応できるというわけです。
日本でサマータイムが実施される場合、このtz databaseに(日本標準時の時間帯として)サマータイムを考慮した情報をくわえれば、iPhoneもただちに対応できます。情報はAppleから提供されることになりますが、Appleは国や地域、政府から時間に関する変更が発表された場合の対応方法を明示しているため(リンク)、心配はなさそうです。
ただし、すべてのアプリで(日本の)サマータイムを考慮した動作が保証されているわけではありません。特にスケジュール管理アプリなど時刻と深い関連のあるアプリは、思わぬ不具合が残されている可能性を否定できず、その点ではiPhoneもサマータイム実施の影響を受けます。注意深く経緯を見守りましょう。