「裏返しになった衣類・靴下をひっくり返す」「脱ぎ放しになった靴を靴箱にしまう」「ゴミ箱にゴミ袋をセットしておくなど、1つ1つは小さくとも、誰かがやらないといけないといけない家事、いわゆる「名もなき家事」をご存じでしょうか。

「料理」「洗濯」「掃除」のようにはっきりした名前がないものの、生活していく上で日々、発生するこの家事、どうすれば負担感を減らすことができるのか、「家事シェアハウス」でその解決法を探ってきた。

  • 「名もなき家事」を自然となくす。家事シェアハウスに潜入してきた(画像はイメージ)

名もなき家事は、「自分のことは自分で」「参加しやすい」仕組みがあるとうまくいく

夫婦共働きが増えた昨今、家事をどのように分担するかは家族の一大事だ。多くの家庭で一見、うまく分担しているように見えても、実は妻に負担が集中していることが多いもの。

「お願いしたことしか、やってくれない」「ゴミ捨てといっても、ゴミを出すだけ」というケースも多く、妻の側は「私だって仕事をしているのに、どうして(怒)」とイライラを募らせ、時に爆発することも。

こうした妻の不平・不満の理由としてあげられているのが、「名もなき家事」の存在だ。

例えば、「ダイレクトメールを仕分けする」「通販で届いたダンボールを解体して紐でしばっておく」「トイレットペーパーや洗剤の在庫を確認し、補充しておく」などは、その典型。

1つ1つは小さな仕事ではあるものの、気がついた人がやる方式だと、結局、妻ばかりとなってしまい、一方に負担が偏ってしまうのだ。しかも、相手は「やってもらっていることすら気がついていない状態」のため、「こっちがやって当たり前なの!?」と感情的になりがちだ。

こうした名もなき家事を解消しようと、昨今、提案されているのが、家事を家族全員で行う「家事シェアハウス」。「自分のことは自分でする」「家事に参加しやすい」仕組みを家に取り込むことで、自然と「名もなき家事」の負担が解消できるという。今回は、今すぐに自宅でも取り入れやすいポイント3つを紹介していこう。

自分のことは自分でする。家事の進捗は共有できるようにする

「家事シェアハウス」の工夫として、まず取り入れたいのが「玄関まわり」だ。ここでマネしたいのが、(1)各自のモノは各自でしまう、(2)リビングに不要なモノを持ち込ませないという工夫だ。

例えば、(1)の各自のモノは各自でしまうという点では、仕事用カバンや子供のランドセルは、玄関まわりに各自の専用ロッカーをつくって、すぐにしまえるようにする。ロッカーはカラーボックスなどでも簡易につくれる。また、男性は外出時に身につけている腕時計や名刺入れ、鍵など細々としたモノをおけるカゴ(100円ショップなどでも購入可能)をおいておくのがオススメだ。

(2)のリビングに不要なモノを持ち込ませないという点では、郵便物やダイレクトメールはすぐに分別し、必要ないものはその場で捨てられるように玄関に小さなゴミ箱を置いてみよう。個人情報が気になるなら小型のシュレッダーでもよさそうだ。

また、リビングで取り入れたいのは、(3)情報共有のための「シェアボード」の導入だ。例えば「ティッシュを買い足してほしい」「洗濯物をとりこんで」といった伝言を書いておき、「現在の家事の進捗状況」がひと目でわかるようにしておくと、家族で分担できて便利。

最近では、マグネットボード・ホワイトボードでもインテリア性が高いものも出ており、手書きでのコミュニケーションによってあたたかな気持ちに。

また、学校からのお手紙なども各人専用トレイにおいておき、「家族の情報はココにある」状態にしておくと、ストレスが軽減できる。

また、リビングでもカゴを家族の人数分だけ用意し、名前をいれて、各自のものを自分のボックスにいれておけるようにすると、子供が小さくても「自分のことは自分でできる」ようになる。

こうした小さな取り組みは即効性がないかもしれないが、1つ1つ重ねていくことで、少しずつ不平や不満が減っていくはずだ。また、家族や夫婦で話し合うことで「アイデア」が出やすくなり、より快適な住環境が維持できるようになる。

家事シェアの方法は1つではないはず。それぞれの家族にあったベストな方法を模索していくといいだろう。

  • 回遊舎

嘉屋恭子

フリーライター。編集プロダクションなどを経て、2007年よりフリーランスで活動。主に住まいや暮らしに関わる分野で取材・執筆を続ける。FP技能士2級取得