ドライブレコーダーといえば、クルマのフロントガラスに取り付けて前方の状況を撮影するもの、という印象が強いと思います。しかし、最近は追突事故の記録やあおり運転を抑制する目的などから、前方に加えて後方にも取り付ける人が増えてきました。そのニーズに応えてか、前後の映像を同時に記録できるドライブレコーダーが続々と登場しています。

PAPAGO JAPAN(パパゴジャパン)の「GoSafe S36GS1」(実売価格は税込2万8000円前後)は、前方用カメラと後方用カメラの2台がセットになった新趣向のドライブレコーダーです。前後ともにフルHDの高解像度で撮影できるうえ、双方のカメラが搭載するレンズは画角が広く、十分に広い範囲を撮影できます。レンズは明るめなので、夜間撮影にも強いのが特徴。上位機種らしく、安全運転を支援する機能も豊富に用意します。注目の多機能モデルの実力を見ていきましょう。

  • PAPAGO JAPANの「GoSafe S36GS1」は、前方用カメラ(写真左)と後方用カメラ(写真右)がセットになった製品。フルHDの高精細な映像を、前後同時に記録できる。実売価格は税込2万8000円前後。後方カメラが付属しない兄弟モデル「GoSafe S36G」(実売価格は税込2万2500円前後)もある

ソニー製CMOSセンサーの搭載で高画質をうたう

前方用カメラのサイズは幅97×奥行き23×高さ56mmで、カメラ型のドライブレコーダーとしては一般的な大きさです。後方用カメラは幅50×奥行き21×高さ28mmで、かなりコンパクト。後方用カメラはIPX7の防水仕様となっており、車内だけでなく車外にも設置できます。

  • 前方用カメラは、付属の取り付け器具に高さがある。取り付ける場所によっては視界の妨げになりそうだ

  • 後方カメラはかなり小型なので、設置しやすい

カメラの画質を追求しているのも本機のポイントです。本体にプリントされた「Exmor」のロゴが示すとおり、前後のカメラとも撮像素子はソニー製のCMOSセンサーを搭載しています。さらに、前方用カメラのレンズはF1.8の明るいタイプとなっているのもポイント。高感度センサーと明るいレンズの組み合わせで、夜間の画質の高さを売りにしています。

前方用カメラのレンズは画角が140度と広めで、交差点の左右や、付近を歩く歩行者などを切らさず撮影できます。後方用カメラの画角は180度で、ほぼ真横に近い位置まで撮影できるため、斜め後ろから当てられたりあおられたりしても、しっかりと記録できるでしょう。

  • 前方用カメラは、F1.8の明るいレンズを搭載する。レンズの素材はすべてガラスを利用しているという。プリントされた「Exmor」のロゴが誇らしげだ

前方カメラの背面には、2.7型の液晶パネルを搭載しています。解像度は不明ですが、映像を表示させると精細に見え、他車のナンバープレートや道路標示の文字、建物などの輪郭といった細かい部分もはっきりと確認できます。

設定画面は、すべて本体下部に配置されている4つの物理ボタンで操作します。ボタンが突起していることもあり、運転中に手探りでも押しやすいと感じました。

  • 2.7型液晶の表示はとてもきれい。さまざまな操作は、画面下部にある4つのボタンを利用する

画面表示は、一番右側の「OK」ボタンを押すと切り替えられます。前方の映像と後方の映像を切り替えて表示するほか、ワイプ(小窓)で後方の映像を表示したり、GPSが取得した速度や走行距離なども表示できます、もちろん、画面表示なしも選択できます。状況や好みに応じて画面表示を簡単に切り替えられるのはよいと感じました。

後方用カメラの配線にはバックギヤ連動用の配線が用意されており、バックカメラ用の配線に接続すればバックギヤを入れたと同時に画面がバックカメラに切り替わります。クルマにバックカメラを搭載していない人にとっては、便利だと感じました。

  • 後方用カメラの接続ケーブルは約7mと長い。ケーブルが細いため、車内の配線もしやすい。手前のむき出しのケーブルはバックギヤ連動用の配線だ

撮影した映像の記録にはmicroSDカードを使います。製品には32GBの大容量microSDHCカードが付属し、別途用意する必要がないのはうれしいポイントといえます。前方用カメラだけでなく、後方用カメラが撮影した映像も1枚のmicroSDカードに同時に保存されるので、2枚のカードを用意する必要はありません。

前後ともにフルHD画質にした場合、32GBのカードに約3時間20分記録できるので、ひとまず付属のmicroSDHCカードだけでも問題ないでしょう。最大128GBのmicroSDカードに対応しており、前後フルHDだと13時間30分の記録ができます。撮影解像度は、前後ともに1280×720ドット(30fps、60fps)にも変更できます。

  • 「ドライブレコーダー搭載」をアピールするステッカーが付属しているのが面白い。ステッカーは幅126×高さ50mmと大きいので、かなり目立つ。32GBのmicroSDHCカードも標準で付属する

初期設定の場合、動画ファイルは5分間ごとに1つのMP4ファイルが作成されます。録画モードは、エンジンの始動と連動して録画を開始する「常時録画」モード、加速度センサーによって衝撃を検知した場合に5分間か10分間の映像を上書きされない緊急録画フォルダーへ保存する「衝撃録画」モード、録画ボタンを押したときに上書きされないフォルダーに残す「手動録画」の3種類が用意されています。オプションの「スマート常時直結電源コード」(実売価格は税込1,980円前後)を使うと、動体検知によるによる駐車場録画やタイムラプス撮影にも対応します。

  • オプションの「スマート常時直結電源コード」。付属の電源コードと交換して取り付ける。バッテリーから常時電源を取れるようになり、エンジンが停止している駐車時にも撮影できる。駐車場録画やタイムラプス撮影を使うには必須

  • 側面には、電源用と後方カメラ接続用のMini USB端子の2個を備える。直射日光で熱を帯びる過酷な環境下を配慮し、側面に排熱口を大きく開けて熱を逃がせるようにしている

前方用カメラ、後方用カメラともに両面テープで取り付けます。前方用カメラの固定器具は可動式で、カメラを設置したあとでも向きを自由に動かせるので、画角の調節は容易です。一方、後方カメラは前後の傾きのみ調整できる構造なので、画面を見て写る範囲を確認しながら取り付けたほうがよさそうです。後方カメラ用の接続ケーブルは約7mもあり、大型のワゴン車でも長さに困ることはないでしょう。

電源は付属のケーブルを用い、シガーソケットから給電する仕組みです。カメラ側の端子はMini USB端子で、コネクターがL字型なので接続しても邪魔になりません。

  • 前方カメラを取り付けたところ。ドライブレコーダーの存在が比較的目立つので、トラブルの抑止にも役立ちそうだ

  • 後方カメラは小型なので、取り付けても視界をあまり遮らずに済む

  • 後方用カメラはIPX7対応の防水機能があり、車外にも取り付けられる。ただ、配線を車内に引っ張るためには既存の穴を利用するか、穴を開ける必要があるため、取り付けはかなり困難だ