公開初日を迎えた『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)/快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film(アン フィルム)』の舞台挨拶が8月4日、東京・丸の内TOEIにて開催された。『仮面ライダービルド』主要キャスト、そして映画ゲストの松井玲奈が登壇し、最終回まであと数回に迫ったテレビシリーズ全体を振り返っての感想や、映画の注目ポイントを熱く語った。
テレビシリーズ第45話と第46話の中間に位置するエピソードである劇場版では、東都、西都、北都に置かれた3人の知事が桐生戦兎/仮面ライダービルドを抹殺する「ビルド殲滅計画」を始動。戦兎は突然、街の人々から命を狙われる身となって困惑しつつ、暴徒化した群衆から逃げ回るしかない。最高の仲間たちをも失い、孤独に突き落とされた戦兎の運命は? そして、3知事の正体である「ブラッド族」の目的とは……?
天才物理学者として数々のアイテムを開発し、愛と平和のために邪悪な敵と戦う仮面ライダービルド/桐生戦兎を演じる犬飼貴丈は、公開が初日を迎えたことについて「この日を楽しみにしていました。1人でも多くの方に映画を観てもらいたいという気持ちです」と、率直な感想を述べた。映画を観た直後の観客を前にして、どんな心境か?と聞かれた際には「恥ずかしいですね! 大画面で僕の顔を見られていたなんて(笑)」と笑顔を浮かべつつ「映画よかったですか?」と客席に問いかけ、大きな拍手をもらって満足気な顔を見せた。
映画の撮影で特に思い出に残った出来事については「北九州で3,000人もの方々にエキストラで来ていただいて、ものすごく迫力のある画面を作ることができました」と、圧巻の3,000人エキストラと一緒に撮影を行ったことを挙げ、映画の出来栄えに十分な手ごたえを感じていた模様。ただ、屋外の撮影は5月に行われたにのも関わらずかなりの暑さで、その苦労を聞かれた犬飼は「5月とは思えないくらいキツい日差しの中で撮影していましたが、去年の僕は真夏にコートを着ていたくらいなので、暑さには慣れていて、わりと大丈夫でした」と、文字通り涼しい顔で答えて周囲を驚かせた。
ただ、暴徒化した群衆に戦兎が狙われるシーンでは「3,000人もの人たちに、間近で敵意を向けられることは、なかなかないことだと思いますので、"喜び"と"恐怖"を同時に体験できました」と、撮影時の苦労として語っていた。一般エキストラとの交流は犬飼にとっても撮影のモチベーションを高める効果を果たしたようで「仮面ライダーが多くの人からものすごく愛されていることを実感しました」と、撮影時を振り返っていた。
「この映画は、負ける気がしねえ!」と得意のセリフを決めながら挨拶したのは、仮面ライダークローズ/万丈龍我役の赤楚衛二。赤楚は「スタッフさん、キャストさん、そしてエキストラのみなさんの血と汗と涙の結晶だと思います」と、映画を作り上げた大勢の人たちの苦労をねぎらうと共に、映画の公開を心から喜んでいた。
犬飼と同じく、映画を観た観客を前にしての感想は?という質問には「俺も怖いですね。肌荒れとか気になりますから(笑)」と答えて、周囲の笑いを誘った。映画撮影時の思い出を尋ねられると「北九州ロケのとき、帰りの飛行機で勝村さんと、勝村さんが変身する仮面ライダーブラッド役の今井靖彦さんとご一緒させていただいて、そのときにご飯をごちそうしていただき、サッカーの話を熱く語りました」と、先輩俳優と共に楽しい時間を過ごしたことを振り返った。
戦兎を精神面で支えるヒロインであり、ネットアイドル「みーたん」としても愛らしさをふりまいた石動美空役・高田夏帆は、観客に向かって「みんなのアイドル!」「みーたんだよー!」というコール&レスポンスを見事に決めて、得意気な顔を浮かべた。仮面ライダーグリス/猿渡一海を演じる武田航平は「猿渡一海29歳独身、心火を燃やして楽しんでいきます!」と、劇中での一海の得意なセリフを飛ばしながら挨拶し、さわやかな笑顔を見せた。仮面ライダーローグ/氷室幻徳を演じる水上剣星は「朝なので、あのセリフは言わないようにします!」と、舞台挨拶での"定番"となった「朝まで語り明かそうか」をあえて封印しながら、いたずらっぽい笑顔で挨拶した。
東都知事・伊能賢剛(演:勝村政信)、西都知事・郷原光臣(演:藤井隆)の仲間で、西都の知事を務める才賀涼香を演じる松井玲奈は、「悪役を演じること自体初めてだったので、どういう悪役がいいんだろうと思っていたのですけれど、私たちブラッド族のテーマが"悪い奴だけれど、カッコよくて好きになれる"というものだったので、私もカッコいい悪女を演じるよう努めた」と語り、セクシーさを打ち出したロストフルボトルの"振り方"について強い思いを込めたことを明かした。
涼香はロストフルボトルの力でシザーズロストスマッシュに変身するが、そこで「ヤワい奴は嫌いなのよ」と、いかにもな悪役のセリフをしゃべるのが印象的だった。これについて松井は「あのセリフは台本になくて、監督から"言っちゃえ!"って、どんどん演出をつけてくださった結果、出てきたセリフです。その結果、もともとの台本にあった才賀涼香という役から、映像になった段階でどんどん膨らんでいった気がして、楽しかった」と、演出段階でどんどんキャラクターがふくらんでいく様子を体感できたうれしさを語った。
今後『仮面ライダー』シリーズでどんな役をやりたいか?という質問については「悪役を演じて楽しかったので、これから先は悪女を演じてみたい。今度はテレビのレギュラーでもいいな~。ライダーのガジェットを開発する博士の役か何かで!」と強い意欲をのぞかせると、武田がすかさず「客席の奥のほうに(東映の)偉い人がいっぱいいるから、言うと実現するかもしれないよ」と実に的確なアドバイスが入り、松井はにこやかに微笑ながら「今度はレギュラーを!」と客席奥に向かって手を振った。
美空の父・石動惣一と、彼の姿に擬態している地球外生命体エボルトの2役を演じる前川泰之は「みなさん、チャオ~」とエボルトの決めゼリフで挨拶。映画では、自分(エボルト)と同じ「ブラッド族」が3人の知事として登場するが、これに対して「エボルトもカッコよくて、どこか気に入られるブラッド族の1人です」と、松井の発言を生かしつつ、的確な自己アピールを行った。
テレビシリーズの第1話からずっと出演している前川に、この1年間での犬飼や赤楚の"成長ぶり"がどうだったかという質問が寄せられると「映画でもテレビでも、画面を通じて2人の表情を見てもらえれば、1年で成長したのがすぐわかっていただける」と、若いキャストが経験を積んで大きく成長している様子が画面にそのまま映し出されていると語り「この役は自分にしかできない、という彼らの自信が感じられて、すごくたくましくなった」と犬飼はじめ、レギュラーキャストの面々をほめたたえていた。
そして、現場で一緒のシーンを撮影する機会が多かった"娘"役の高田については「感情を爆発させなければならないシーンがたくさんあったりして、夏帆ちゃんは当初、悩んだり苦労したりしていたと思います。ドラマの最後のほうで、彼女の大事なシーンがあったんですが、とても印象的ないい芝居をして、監督から一発でOKをもらったとき『前川さん、できたよー!』とうれしそうな顔で僕に報告してくれたのがうれしくて、ちょっとジーンときました」と語り、一瞬"優しいパパ"の顔を見せていた。
続いて、映画のタイトル『Be The One』にちなんで、今後「ナンバーワン」を目指したいこととは何か?というお題でトークが進められることになった。前川は「ナンバーワンねえ~、若いころは『俺が事務所を背負って立つんだ』なんて考えたりしましたけれど」と話しはじめると、武田が絶妙なタイミングで「でも身長はいちばん高いんですよね」と長身の前川を称え、前川が「ありがとう!」と礼を言うやりとりが見られた。これを受けながら「この間、人間ドックに行ったら身長が1cm伸びていた」と意外な事実を明かした前川は、改めて本題に戻り「自分は3人の子どもを持つ父親なのですが、やはりパパの存在というのは子どもにとってナンバーワンでなきゃいけないかな」と、子どもにとって父親が一番楽しんだり、輝いている瞬間を見せていきたいと熱く語った。
前川と同じく"パパ"俳優の水上は、前川と同様に「パパの可能性は無限大」と言いながら革ジャンの下に着ていた「無限大」Tシャツを見せるという、テレビの劇中でも強いインパクトを残した「Tシャツ芸」をここでも披露。しかし、武田から「無理やりですよ! 何ですか、可能性無限大って! Tシャツ出したかっただけ(笑)」と強烈なツッコミが入って、会場全体が爆笑に包まれた。
美人ジャーナリスト・滝川紗羽を演じる滝裕可里は、どんなナンバーワンを目指すかを問われて「それは知らないほうがいいと思う」と、テレビ劇中でのミステリアスな情報収集能力の高さを思わせるセリフで笑いを取った後、「私は自然が好きなので、家庭菜園とかやってみたいです。猿渡ファームを超えた"滝川ファーム"を作りたい!」と力強い口調で今後の希望を述べた。
仮面ライダーマッドローグ/内海成彰を演じる越智友己は「10年前、サッカーのネイマール選手と対戦をした」という貴重な経験を話し、「キーパーを務めていましたが、ネイマール選手ひとりに10点くらい決められて完敗し、初めて挫折を味わいました。ネイマール選手は今や世界のビッグスター。僕もそれくらいの俳優になりたい」と、芸能界というフィールドでビッグスターになるという野望を、まぶしい笑顔と共に明かしていた。
武田のナンバーワンへの挑戦は「僕は仮面ライダーには二度目の出演で、たぶん変身ベルトを巻いた本数や、変身したライダーのキャラクターの数は、今のところ歴代で一番多いと思います。なので、そのナンバーワン記録をさらに伸ばそうと思って、10年後かに前川さんのようなポジションでふたたび『仮面ライダー』に戻ってきたいと思います。ナンバーワン仮面ライダーアイドル俳優を目指します!」と、『仮面ライダーキバ』(2008年)での紅音也がイクサナックルやキバットバット2世を使って仮面ライダーイクサ、仮面ライダーダークキバへと変身した上に、『ビルド』のグリスとしてもスクラッシュドライバーに加えてビルドドライバーを巻いた実績をアピール。今後もこの記録を伸ばして未来の仮面ライダーに"変身"したいと強く要望した。
高田は「私は"忍者"としてすでにナンバーワンになっていますけれど、女の子なので、花火大会に浴衣で行ったり、免許を取ってドライブデートに行ったり、この夏を満喫する"夏女"のナンバーワンになりたい!」と、まぶしい笑顔で語った。すると、前川が「パパは心配です」と"親心"のコメントを放って周囲を笑わせていた。
赤楚は「今までナンバーワンになったことがなくて、1番を取ったのは出席番号くらい」と語ってウケを取りつつ「梅干しが大好きなので、梅干しを漬けるのが一番うまい俳優になりたい!」と熱く語り、将来的には「梅干しイベント」をやりたいと夢を大きく広げていた。
松井は「私はかき氷が大好きで、日本中のかき氷を食べてみたい」と、目を輝かせながらコメント。自分のSNSではプライベートで食べ歩いた美味しいかき氷の情報が載っていると自慢していた。あまりにもかき氷に対する愛情を噴出させすぎている松井に対して、武田が思わず「映画の話してよ!」と横からツッコむ場面も見られた。それでも松井は少しもひるまず「この映画館の近くにも、おいしいかき氷屋さんがあります!」とにこやかに話し続けていた。
最後に、犬飼が「この映画のお客様満足度、および動員数がナンバーワンになれればと思います!」と元気よくコメントし、観客に大いなる応援を呼びかけていた。そして「『ビルド』の集大成となる映画です。この映画を見なければ、本当に夏は終らないと思います! 自信をもって、この夏一番の映画だと言えます。ぜひ、一度といわず何度も観に来ていただければと思っています!」と熱く映画をアピールした犬飼は、観客と一緒に「ビルド最高!!」と叫び、舞台挨拶をしめくくった。
『劇場版 仮面ライダービルド Be The One/快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film』は、丸の内TOEIをはじめとする全国323館で8月4日よりロードショー公開されている。