"実物とそっくりな精密造形"と"自由自在にポーズが決められるアクションフィギュア"の両立を徹底的に追求したバンダイスピリッツの「S.H.Figuarts ウルトラマン」シリーズでは、2018年10月に『ウルトラマンX』よりウルトラマンエックス&ゴモラアーマーセット、12月には現在好評放送中の『ウルトラマンR/B(ルーブ)』よりウルトラマンロッソ、ウルトラマンブルが発売される。彼らは、ウルトラマンシリーズの新たなる流れを切り拓いた存在として「ニュージェネレーションヒーローズ」と呼ばれているが、その第一歩となったのは、2013年7月から12月まで全11話を放映した『ウルトラマンギンガ』であった。
8月1日には、「ウルトラマンフェスティバル2018」のイベントとして、「TAMASHI NATIONS presents ニュージェネレーションヒーローズ スペシャルナイト」が開催された。ニュージェネレーションヒーローズから『ウルトラマンギンガ』『ウルトラマンギンガS』(2014年)で主人公・礼堂ヒカルを演じた根岸拓哉、『ウルトラマンX』(2015年)で主人公・大空大地を演じた高橋健介、そしてそれぞれのメイン監督を務めた坂本浩一監督(ギンガS)、田口清隆監督(X)が登壇し、両作の思い出を振り返るとともに、バンダイスピリッツ コレクターズ事業部の岡崎聖氏、光岡祐希氏と共に「S.H.Figuarts」および「S.H.MonsterArts」シリーズの魅力についてぞんぶんに語りあった。
「S.H.figuarts」シリーズは対象年齢「15歳以上」の、大人のファンに向けたこだわりの玩具商品ゆえ、会場につめかけたファンたちはみな「大人」ばかり。ファンの呼び声に応えてステージに現れた根岸と高橋は、本放送当時のちびっ子たちの声援と比べて「ずいぶん声が野太いですね」と率直すぎる感想を述べつつも、根強いファンの拍手と歓声に感謝の気持ちを表しながら挨拶した。
岡崎氏が「この2人が隊員服を着て揃っているのは、けっこう久しぶり」としみじみ語るように、根岸が『ギンガS』の特捜チーム「UPG」、高橋が特殊防衛チーム「Xio(ジオ)」のユニフォームを着て共演するのは、『X』の第14話「光る大空、繋がる大地」以来ひさびさのことで、これもファンの興奮を誘う要素だったことは間違いない。
さらに、2人はいきなりそれぞれの上着の交換を始め、テレビでも映画でも観られなかった非常にレアな「Xio隊員服のヒカル」「UPG隊員服の大地」というビジュアルを実現させた。根岸はXioのユニフォームを着て、「田舎の中学生のジャージみたいだな~。胸に"DAICHI"と名前が書いてある(笑)」と、まさかのXioデザインをディスる発言で笑いを誘った。そしてUPGのユニフォームに袖を通した高橋は「(根岸の)腕、長いな!」と、根岸のリーチの長さに驚いていた。
ここで、ステージ上のスクリーンに『ウルトラマンX総集編2 限界を超えた勝利の光』(Bパート)が上映され、出演者がコメントを入れるコーナーへと突入。この総集編は、『新ウルトラマン列伝』の一編として放送されたもので、現在は映像ソフト化されておらず非常にレアな作品といえる。ウルトラマンエックスとXioが遭遇した怪獣・宇宙人事件を大地が振り返るという内容のため、随所に高橋によるナレーションが入っているので、根岸がコメントしようとした瞬間に高橋の声が被る形になり、「ナレーション邪魔だな」「いつ話していいかわかんないよ」と根岸が毒舌攻撃をする場面が見られた。
ギナ・スペクターが登場する第12話「虹の行く先」第13話「勝利への剣」の映像を観ながら、岡崎氏は「『X』中盤にひとつの盛り上がりを与えるべく、坂本監督と一緒に構想を練りまして、ウルトラマンギンガ、ウルトラマンビクトリーとエックスが共演するイベント編を作りました。3人のウルトラマンが共演すると、敵もものすごい強敵でないといけないだろうということで、ギナ・スペクター、モルド・スペクターが登場しました」と、かつてウルトラマンシリーズの「外伝」として人気を集めた『アンドロメロス』(1983年)の強敵・ギナとモルドを招いたと語った。坂本監督にとっては、以前に監督を務めた『ウルトラファイトビクトリー』でジュダ・スペクターを登場させた実績があり、『アンドロメロス』のジュダ、ギナ、モルド三兄弟(グア軍団)がここで網羅されたかたちになる。
続いて画面には、ウルトラマンビクトリーに変身するショウ役・宇治清高の姿が映し出された。根岸は「今日も宇治に『来ないか?』と声をかけたんだけれど、彼は今カナダへいるらしいんで無理でした(笑)」と、スケジュールの都合で本日の登壇が叶わず、残念そうな顔を見せた。また、第13話ではまだヒカルが登場せず、ショウと大地のダブル変身が観客の歓声を呼んだのだが、これを見た根岸が「僕はいつ出てくるの?」とあわてる発言をして、周囲からの笑いを誘った。
そして待望の第14話、ギンガ、ビクトリー、エックスの3大ウルトラマンがそろい踏みし、モルド・スペクターを相手にするアクションシーンになり、根岸と高橋は大喜び。やがて、エックスがエクシードエックスにチェンジし、ギンガとビクトリーが合体してウルトラマンギンガビクトリーとなり、モルドを圧倒すると、岡崎氏は「みんな、もっとモルドを応援して!」と、押され気味のモルドに同情するそぶりを見せた。最後は、坂本監督が得意とする"ナパーム"の大爆発をバックにして、ポーズを決めるギンガビクトリーとエクシードエックスに惜しみない拍手が贈られた。
『X』第12~14話を振り返って坂本監督は「とても楽しかった。新旧ウルトラマン共演という、劇場版でしかやらないような豪華な回をテレビで監督できたことに満足」と、力を込めてこれらのエピソードを演出できたことに喜びを見せた。この中盤の盛り上がりを受けて、後半に挑んだ田口監督は「プレッシャーがあった」と語ったものの、「それでいながらけっこう好きな話として『激撮! Xio密着24時』(第16話)とか作っちゃいましたけど(笑)」と、田口監督が好みとする警察の24時間密着取材をメインにしたドキュメント番組のパロディ的作品である第16話について語った。このエピソードは、テレビ朝日系のトーク番組『日曜もアメトーーク!/ウルトラマン芸人』でも触れられ、芸人・新井義久の口から田口監督の演出センスのすばらしさについて言及されるなど、大いに話題となった。
そして、第15話から第22(最終)話をまとめた『ウルトラマンX総集編2 絆でひとつになる世界』のBパートも上映。『X』では、テーマを「怪獣と人間との共存」にしてしまったため、最後に倒すべき敵をどうするか考えぬいた田口監督は、「意識も何もない"無"、放っておいたらすべてが消されてしまうから、倒すしかないという敵を考えた」と話し、形態をさまざまに変えながら強化していく強敵・グリーザを創造したことを明かした。また、アスナ隊員が涙を流すシーン(最終回)は『X』の最終日の撮影となっていて、アスナ役の坂ノ上茜が本気の涙をこぼすまで粘りに粘って撮影を行ったという。田口監督は「当時、(坂ノ上は)未成年だったので、22時までには終わらせて帰してあげなくちゃいけないと、ギリギリまで頑張った」と述懐している。それを受けて高橋は「その影響で、僕はその日深夜3時くらいまで撮影頑張りましたよ!」と元気にアピール。しかし田口監督から「お前は深夜1時ごろ、ベータスパークソードを壊しちゃっただろ!」と、撮影がすべて終わろうとする寸前に、高橋が大事な小道具を過って壊したことを明かされてしまった。怒涛の最終決戦まで一気に観終えた岡崎氏は「改めて観ると、濃密な作品だった」と『X』を振り返っていた。
上映コーナーに続いて、ステージ中央に置かれた「ソフビ魂 ウルトラマンギンガ、ウルトラマンビクトリー」そして「S.H.figuarts ウルトラマンエックス&ゴモラアーマーセット」の解説コーナーへと突入した。
2018年7月20日より発売が開始されている「ソフビ魂」ウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーは、現在の玩具売り場で展開されている全高14cmの「ウルトラ怪獣シリーズ」よりもひとまわり大きな、全高約16cmという大きさの商品である。このサイズは、1983年から2013年まで30年もの間子どもたちに愛されてきた、かつてのスタンダードソフビと同じ大きさで、円谷プロダクション造形部門LSSスタッフの綿密なる監修のもと、実物のスーツやマスクを忠実再現。これまでの商品ではオミットされがちだった「背面」にも細かな彩色が施された決定版となっている。ギンガとビクトリーは全身に発光するクリヤパーツが入っているのが特徴であるが、もちろんこのクリア部分もばっちり再現されている。
新商品発売を喜ぶものの、エックスのように全身可動の「S.H.figuarts」になっていないことを残念がる坂本監督と根岸は、岡崎氏に「もうすぐなりますよね!?」と大きな期待を寄せた。すかさず高橋が「ニュージェネレーションが勢ぞろいする映画を作ってくれたらいいんですよ」とナイスな提案をすると、会場のファンは拍手と歓声で大盛り上がりに。根岸もテンションが高まって「平成も終ることだし、今日から撮りましょう! いまなら監督が2人もいますしね(笑)」と、ふたたびウルトラヒーローを演じる意欲に満ちたコメントを残した。
続いて、「S.H.figuarts ウルトラマンエックス&ゴモラアーマーセット」の解説が始まった。商品担当を務める光岡氏は「満を持して、ついに商品化となりました」と、エックスのS.H.figuarts化について多くのファンから反響があったことを明かし、こだわりのファンも納得する高クオリティの商品についての紹介を行った。
こちらも円谷プロダクションLSSの厳しい監修により、ウルトラマンエックスのマスク造形やスーツのプロポーションを忠実に再現している上に、今回初の試みとして、通常のエックスのボディに「ゴモラアーマー」を取り付けるギミックが加えられた。ステージではCCDカメラを用意して、ウルトラマンエックスやゴモラアーマーのディテールをアップでスクリーンに映し出す趣向が見られたが、ウルトラマンエックスに惚れこんでいる高橋は、特にエックスの尻の筋肉の美しさを強調。「ほら! いいお尻」とファンに強くアピールした。高橋は「ちょっと(価格が)高いかな、と思いましたけれど、この出来栄えなら、同じくらいの値段でも"夢の国"へ行かずにこれを買いますね!」と、商品のクオリティを絶賛。岡崎氏も「ゴモラアーマーに続いて、最終回で見せてくれたハイブリッドアーマーなども商品化したい」と強い意欲をのぞかせた。
ここで、根岸と高橋に「変身ポーズ」をやってほしいというリクエストが。根岸はギンガスパーク、高橋はエクスデバイザーをかかげて「ギンガー!」「エックスー!」と叫んだ直後、ステージ上にさっそうとウルトラマンギンガ、ウルトラマンエックス、そしてウルトラマンビクトリーが登場した。ファンの興奮もものすごいものだったが、高橋はひさびさのエックスとの再会に盛り上がりすぎ、ステージの上であるにもかかわらず携帯でツーショットを自撮りしていた。しかも、ギンガと根岸、ビクトリー、坂本監督のフォーショットを写真撮影するなど、自由すぎる行動で客席から大ウケの拍手を浴びていた。
また、撮影当時より身長が伸びた根岸は「今はオレのほうがデカい」と、ギンガと並んで笑顔でコメントした。
3大ウルトラマンに続いて、現在テレビシリーズが好評放送中の『ウルトラマンR/B(ルーブ)』より、ウルトラマンロッソ フレイムとウルトラマンブル アクアもかけつけた。赤と青の兄弟ウルトラマンがさっそうとポーズを決める姿をしみじみと見つめていた岡崎氏は「この兄弟そろい踏みを商品で再現するべく、ウルトラマンロッソとウルトラマンブルのS.H.figuartsが本日(8月1日)より受注開始されます(12月発売)」と発表した。これに会場全体が沸く中で、高橋は「ちょっと待ってくださいよ! エックスは3年もかかったのに、彼らはこんなに早く出るんですか」と、思ったことをそのまま口に出していた。すると坂本監督が「ギンガはまだ出てないんだから!」と高橋をなだめ、根岸は「俺たち(ギンガとビクトリー)のことも考えろよ! けっこう前からウルトラマンだぞ」と、将来的にギンガやビクトリーもS.H.figuartsのラインナップに入ってほしい、と期待を込めていた。
スクリーン上の映像では、ロッソとブルの新形態「ロッソ ウインド」と「ブル グランド」の姿も初公開され、ひときわ大きな歓声が上がった。そして、2018年10月26日~28日に開催される大型イベント「TAMASHI NATION2018」の開催記念商品として発売されることが決定した「ウルトラマンオーブダーク」の姿も初公開となった。スクリーンに映し出されたオーブダークは、テレビ放送のタイミングではまだロッソとブルが遭遇していない存在であるため、ロッソ、ブルが両手で目を覆って画面を観ないようにしていたのが非常に律儀で、印象的だった。
最後に光岡氏は「10月にエックス、12月にロッソ、ブルが発売され、S.H.figuartsの"ニュージェネレーションヒーロー"が続々集まってまいります。引き続き全力で頑張りますので、ウルトラマンシリーズの応援をよろしくお願いします!」とファンに感謝の言葉を述べた。岡崎氏は「キャストとファンがつながって、どんどん大きくなっていく"ニュージェネレーション"のパワーを商品、映像作品ともども、より高めていきたい」と、今後の商品展開や作品製作への強い意欲を伝えた。
根岸は「ギンガ5周年ということで、ひさびさにUPGの制服を着ましたが、もう5年も経ったのか?と驚いています。ギンガから"ニュージェレネーション"が始まり、今もなお続いているというのは、当たり前のようでいて凄いことだと思っていますし、すごい絆で結ばれているなあと実感します。また、この制服を着るときが来るのかどうか……それはニュージェネの『映画』しかないでしょう(笑)!」と、ふたたびヒカルとしてファンの前に姿を見せたいと希望を語った。
高橋は「ファンみなさんの"声"が高まれば『X』の続編は出来ると思っていたんですけれど、最近になって"売上"も大事なんだなあって思いました(笑)。ぜひ、『ウルトラマンX』をもう一度やってほしいという声と共に、商品を買ってくださるとうれしいです!」と、同じく"ニュージェネレーション"としてふたたび活躍する日が来ることを夢想しながら、ファンに応援を呼びかけた。
坂本監督は「S.H.figuartsでギンガシリーズ(ギンガ、ビクトリー、ギンガビクトリー)がまだ出ていませんので、これら全部出していただくまで、ぜひともみなさんの応援をよろしくお願いします!」と、エックスに続いてギンガやビクトリーもS.H.figuarts化し、ニュージェネレーションヒーローを勢ぞろいさせたいという希望を笑顔で語った。
田口監督は「僕は『ギンガS』から参加して、気づいたら"ニュージェネレーション"のすべてのウルトラマンに携わっていました。これだけのヒーローがズラリとそろって、年々仲間も増えていって、という状態が楽しくて、うれしくて。これがまたどんどん続いていって、こういうイベントが開催されるようになればいいと思います。そして『平成ニュージェネレーションヒーロー』の劇場版を作ることができれば……坂本監督と、どっちが(監督を)やるかジャンケンで決めないと(笑)」と、新世代ウルトラヒーローが勢ぞろいする映画にも強い食いつきを見せて、ファンからの大きな歓声を浴びた。
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