NTTドコモは2日、2019年3月期 第1四半期決算を発表しました。営業利益は3,099億円で、対前年同期比で増収増益。登壇した同社 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、契約期間を延長させることでユーザーの流出を抑止する、いわゆる「2年縛り」「4年縛り」問題について、考えを説明しました。
「iD」「d払い」はどうなる?
モバイル市場で金融決済サービスが活性化する中、ドコモでは「iD」や「d払い」をどのように展開していくのか、と聞かれると吉澤社長は「決済手段は、ひとつでは完結できません。そこで決済手段に多様性を持たせておくことが、お客様に選択肢を提供する側としては良いのかなと思っています。お客様の環境や場面に応じて、特徴のある決済手段を選んでもらえるようにしていきたい」と説明。その上で、例えば同じバーコード決済でも事業者によって利用方法が異なっては混乱が生じるので、ある程度の標準化の動きは必要になる、との考えを述べました。
LINE Payなど、決済手数料を0円にする競合他社のサービスも出てきています。d払いもこれに追随するのか、といった質問には「手数料が発生すると、たしかに加盟を躊躇される販売店さんもあります。他社さんの無料化の動きも知っている。でも対応は検討段階です。0円にすれば、ほかに収益を得る手段を考えなければいけません」と答えるにとどまりました。
dポイント事業は想定以上の伸び
dポイントクラブの会員数が増えているが、利用動向や伸び率は計画通りか、といった質問には「beyond宣言では、2020年までにポイント事業を日本最大級のサービスに育てていきたいと申し上げました。第1四半期の利用額は413億ポイント。かなりの額になり、各サービスの利用にもつながっています。これは想定を少し上回るくらい。また、提携先での利用が182億ポイントあります。ローソン、マツモトキヨシ、マクドナルドなどに送客できているということです」と評価しました。
2年縛りの解約金は消える? 続く?
2年縛りについて総務省から指摘があったことについて、ドコモの方針を聞かれると「解約金を支払わなくても契約を解除できる期間(=更新月)を1か月増やし、24か月目~26か月目にしたいと、総務省に6月末に申し上げました(現在は25か月目~26か月目の2か月間)。しかし3社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)で対応が異なると、また総務省に同じことで注意されます。対応を揃えないといけない」と説明。ドコモとしては、年度内に実行していくと明言しました。
これに関連し、解約金(9,500円)を減額する、あるいはなくすことは考えられないのか、という問いには「解約金が高いのではないか、といった議論があるのは承知しています。ドコモでは、ずっと使っていただくことでメリットを享受いただいている。解約金を減額する、なくす、ということは現時点では考えていません」(吉澤社長)。
この件は、有識者会議でも長期に渡って議論されてきました。日割りにしてはどうか、という声もあることを紹介した上で、吉澤社長は「日割りは難しい」と説明します。例えば更新月でない月に2日間だけ使って解約した場合、2日分の請求で済ませられるか、という話ですが、2日間で月間のパケット容量を使い果たしているケースも考えられます。「それでも、お客様の有利になることを考えなければいけない。そこで、更新月を伸ばしました」と説明していました。
ドコモショップで中古スマホを販売?
総務省では中古スマホを市場に流通させたい思惑があるが、大手通信キャリアが回収しているから出回っていないのではないか、といった見方があることについては「機種変更をする際に、それまで使っていたスマートフォンを下取りに出すプログラムを提供しており、現在は中古業者に買い取ってもらっています。今後、中古の端末がもっと流通に出回る方策については考えていきたい。ただドコモショップで中古を取り扱うことについては、難しいと考えています」と吉澤社長。ドコモショップでは機種変更のときに、新型スマホの新機能、新しいデサイン、より使い勝手が良くなった点を訴求しているために、中古スマホをオススメはできない、と話していました。
ドコモは「4年縛り」はやらない
KDDI、ソフトバンクでは「4年縛り」と言われるプログラムについて、条件を一部緩和する考えを示しています。これについて意見を問われると「もともと4年間の割賦契約でスマートフォンを購入するプログラムは、ドコモでは採用するつもりはありませんでした。一度、契約してしまうと抜けられないから。違約金も取られてしまう。お客様をあまりに拘束しすぎるため、ドコモでは選択しなかった。いま現在、すでに解約がしにくくなっているお客様もいらっしゃるのではないでしょうか」。ドコモとしては、今後とも「4年縛り」のようなプログラムは採用しないと繰り返して説明します。
その上で、「お客様に長く使っていただくためにdocomo withを導入しました。端末は正価で買っていただき、通信料金は1,500円の割り引きが続く。拘束することなく、長くお使いいただけるプランを世の中に積極的に出してきた」と強調していました。