ワイモバイルから8月1日、新端末「かんたんスマホ」が発表されました。ソフトバンクのサブブランドとして若者から人気を集めるワイモバイルですが、今回の新端末をフックにシニア層の取り込みも強化していく方針です。またワイモバイルでは、新規・既存のユーザーを対象に9月1日から、データ容量を2倍に拡大します。
かんたんスマホとは?
ワイモバイルは「かんたんスマホ」(京セラ製)を8月9日に発売します。端末価格は、24カ月払いを選んだ場合、新規・MNPでひと月あたり実質800円、機種変更でひと月あたり実質1,300円。記載の価格はすべて税別です。
また同日より、「かんたんスマホ」を購入した60歳以上のユーザーを対象に、他社も含めたすべてのスマートフォン、ケータイ、固定電話への国内通話を無料で制限なくかけられる「60歳以上 通話ずーっと無料キャンペーン」も開始します。
登壇したソフトバンク 常務執行役員の寺尾洋幸氏は「ワイモバイル利用者の2割ほどが60歳以上。しかし、まだシニアには”スマホは難しい”という認識があります。そこで、かんたんスマホの投入に至りました。シニアにも寄り添うサービスを目指していきたい」と説明します。その言葉の通り、かんたんスマホにはシニアが使いやすい、いくつかの特徴的な機能が搭載されていました。
そのひとつが、ホーム画面の中央に設置された「押すだけサポート」(特許出願済み)アプリ。かんたんスマホを使用していて、不具合や不都合があったとき、これを押すとアプリが問題を分析し、解決策を提示してくれる仕様です。
例えば、スマホをいじっているうちに、意図せずマナーモードにしてしまうことがあります。シニアの利用者は「何もしていないのに突然、音が鳴らなくなった」と感じるかもしれません。そんなときに押すだけサポートを押せば、「現在、こちらの症状でお困りではありませんか?」という文言の下に、「着信音が鳴らない」という選択肢が出てきて、それを選ぶとマナーモードが解除される、といった具合です。同じ画面から、ワンタップで無料のサポートセンターに電話をかけられるようにもなっていました。
かんたんスマホを製造する京セラは、「押すだけサポート」により、60歳以上からのスマホに関する問い合わせのうち27%は自己解決できると分析しています。このほかディスプレイ下には、電話、ホーム、メール画面に移る3つの物理ボタンを配置。サイドには音声検索ボタンを設置しており、音声でアラームを設定したり、天気予報を調べたりできます。
若者に向けた端末とサービスに絞ったほうが、コストを下げられるのではないか、といった質問に寺尾氏は「シニアが増えるとサポートにかかるコストが増えてしまうのは事実。そこで今回、問い合わせが少ない端末をつくればいいのではないか、という結論に至りました。そもそもシニアは、難しいことで悩んでいるというよりは、基本的なことに疑問を持ち、サポートセンターに質問されている。そこがクリアできればいい」と回答。かんたんスマホであればある程度、電話でサポートに質問する前に問題を解決できるため、コストもおさえられるという考えを示しました。
寺尾氏は、「シニアはインターネットでショッピングができず、そのため屋外の店舗を何軒もがんばって周っている。”買い物難民”という言葉もある。いまスマホを届けなくてはいけない人(シニア)に届いていないのが現状」と述べていました。
ワイモバイルはこれからシニア向けのほか、ジュニア向けの端末とサービスも増やしていくのでしょうか。これについて寺尾氏は「ジュニア向けは、市場の大きさを考えると悩むところ。幅広い意味でのキッズ向けなら需要がありますが、小学校高学年や中学生といったジュニアを対象にした市場は小さいので、あんしんフィルターなどでアプリに制限をかけるなどしていったほうがいいのかもしれません。ジュニアに関しては、端末側で強制的に何かを禁止するというよりは、親子で約束すればいいことだと思います」と個人の考えを話していました。
データ容量が倍増に!
このほか、データ容量の拡大についても発表がありました。「スマホプラン」の高速データ通信容量が9月1日から2倍に拡大されます。既存ユーザーも対象で、データ容量の拡大に伴う月額料金の変更はありません。これにより、スマホプランS(月額1,480円~)は1GBから2GBに、スマホプランM(月額2,280円~)は3GBから6GBに、スマホプランL(月額3,980円~)は7GBから14GBに増量されます。
さらに、新規または機種変更で「スマホプラン」を契約したユーザーには「データ増量無料キャンペーン」が適用され、「データ増量オプション」の月額利用料(500円)が2年間無料となります。これにより、スマホプランSでは3GB、スマホプランMでは9GB、スマホプランLでは21GBの高速データ通信容量を利用できます。
ソフトバンク、LINEモバイルとの差別化は?
ソフトバンクには、サブブランドとしてのワイモバイルがあり、傘下にはMVNOのLINEモバイルが加わっています。こうした状況で、ワイモバイルはどのように差別化を図っていくのでしょうか。これについて寺尾氏は「ワイモバイルが立ち上がったときも、ソフトバンクとの棲み分けを聞かれました。なんとかやっていくんだと思います」と回答して記者団を笑わせたあと、「我々もやっていきますし、LINEさんもやっていかなければならない。競争が激化することで皆さんの期待に応えられれば」と話していました。