以前にネットで話題になった「特殊物件」。なんでも入居条件が「大家と月1回の面接が必須」「禁煙禁酒」「23時以降の帰宅不可」などの制限があったり、入居条件もワケありだったりする物件を指すようだ。このような「特殊物件」は本当にあるのだろうか、不動産会社に聞いてみた。
「特殊物件」という言葉はないものの、変わった大家さんは存在する
今回は主に賃貸を扱う2~3社の不動産会社のスタッフに、「特殊物件って本当にあるんでしょうか」と質問。
ところが返ってきた答えは「特殊物件とはいいませんね。業界用語でもないし、社内でも使わないなあ」「特殊物件という言い方はしませんね」というものだった。ただ、「不動産会社も多数あるので、社内でそのような言い方をする会社があるかもしれません」という。
では、「禁酒禁煙」「23時以降の帰宅不可」など変わった入居条件や制限をかける物件はあるのだろうか。
「ないといいたいところですが、まったくないとは言い切れず、全体でいえばごく少数のレア物件です。大家さんも常識的な人のほうが圧倒的に多いですが、なかには変わった方がいるのも事実です」と続ける。
確かに筆者の友人や過去の取材でも、「投函されていた郵便物が何者かに開封されていた」「大家さんが1階に住んでいる物件で、深夜23時に廊下を掃除することがあって、水の流れる音、ブラシの音がして気味が悪かった」「大家さんに家賃を手渡ししなくてはいけないので、月イチ、大家さん宅を訪問していた。正直めんどうだった」といった話は聞いたことがある。
こうしたちょっとクセのある物件を総称して「特殊物件」といっている会社があるのかもしれない。
「大家さんとのトラブル」を避けるためにしておきたいことは?
では、上記のような「特殊物件」、家探し・お部屋探しの段階で見分けることは可能なのだろうか。
最近では、大家さんが1階などに居住している物件は減り、近所に住んでいることが多いため、あまり数自体は多くないという。
ただ、住まい探しはじめの条件を提示する際に「過去にイヤな経験をしたことがあるため、大家さんが物件に居住しているのはNG」と伝えておけば、「大家さんが居住している物件」を避けることができ、結果としてトラブルも回避できるはずだ。
ただ、賃貸を扱っている不動産会社では、「不動産の所有者である大家さんが誰で、どこに住んでいるか」を知らないことがほとんど。そのため、「大家さんは誰で、居住場所はどこか」「管理状況はどうなっているか?」を、借り手を募集している不動産会社に聞いてもらうといい。
その際に管理が「自主管理」だった場合、大家さん自身が清掃などを行っていることがある。もちろん大家さんから見れば「自分の資産を守るため」であり、「愛着ある物件を手入れしている」ということで悪いわけではないが、先ほどのような「深夜に大家さんが掃除している」といった怖い思いをしたくないのであれば、「自主管理」物件は避けたいところ。また、家賃の手渡しも減っているが、まったくゼロではないので、念のため、「家賃の支払い方法」を聞いておいてもいいだろう。
ちなみに、宅建業法は不動産会社が守るべき法律であり、不動産所有者である大家はその法律の対象外だ。そのため、大家が意図して隠しごとをしていた場合や、犯罪行為をしても「宅建業法」で罰することはできない。
ただ、盗撮や郵便物を許可なく開封された場合などは、れっきとした犯罪行為にあたるため、警察に相談して被害届を出すしか方法はないという。とはいえ、引越し後に盗撮をされていた場合、心身のダメージは大きい。内見時には、設置されている「エアコン」や「室内灯」「コンセント」まわりを確認し、ヘンなゆるみがないか、黒いコードなどが出ていないかを確認しておきたい。少しでも気になった場合は、記録として写真をとっておくといいだろう。
安心できるはずの自分の家で、怖い思いは避けたいところ。普段はなかなか気にしないかもしれないが、部屋探しの際は「大家さん」「管理」などにも注目してみてほしい。