LCC(ローコストキャリア)はご存じですよね。通常の航空運賃に比べて、比較的安価で飛行機に乗ることができる、格安航空会社のことです。もはや、ツアーでもLCCを使うのが当たり前のご時世。ツアーの予約を友達任せにしていたら、LCC使用ツアーになっていて、初めてLCCに乗ることになった! という方もこれから夏のバカンスシーズンに向けて増えるはず。

今さら人に聞けない、LCCの利用法とライターの独断と偏見に満ちたLCCで困らないためのコツを伝授します。

ツアーの使用エアーにもLCCが!?

少し前までは、LCCは自分で手配して乗るものという認識でした。ところが昨今、安いツアーにはLCCが使われることが増えています。人気の旅行先、台北行きのツアーを比較サイトで検索すると、「スクート利用」「バニラエア利用」「Peach利用」と各社からLCCを使ったツアーが発表されています。

海外旅行だけでなく、国内ツアーにもLCCを使ったツアーが発表されており、その数は今後増加していくことが容易に予測できます。むしろそのうちお値打ち価格のツアーでは、既存航空会社(レガシーキャリア)のものはなくなってしまうかもしれません。

LCCにないものをご存じですか?

さて、LCCに乗ることになった場合、注意しなくてはいけないことがあります。それは、既存の航空会社の路線では当たり前に無料サービスされてきたものが、LCCにはない、もしくは有料となることです。それは、機内食・飲み物・ブランケット・機内エンターテイメント、そして預け入れ荷物などなど。LCCでは目的地までの座席しか用意されていないと思うのが賢明です。

ツアーの場合、預け入れ荷物の権利が、あらかじめついているものもありますが、使用LCCやツアー内容によっては預け入れ荷物も有料オプションとなる場合があります。事前にチェックしておくことが肝心です。

機内食も飲み物もないなんて無理! と思われるかもしれませんが、短時間の搭乗なら、食事は搭乗前に済ませ、飲み物は出国手続き後やセキュリティチェック後に売店などで購入して機内へ持って入ることでしのげます。

ただ、LCCの便は深夜や早朝といった時間のフライトも多く、空港内の売店が開いていない場合も。そんなときの強い味方が自販機ですが、海外の自販機は日本と違い、コインしか対応していません。小銭は使い切らず、空港でペットボトルを2本買えるくらいは残しておくのがベター。

ペットボトル2本分ですよ、というのは以前、使用機体の遅延で、真夜中のフライトになったときの経験からです。真夜中ですので、もちろん空港内の売店は全てクローズ。

  • このときは約7時間遅延で、3:25のフライトになりました。

  • お店は全てクローズ。人も歩いていません。とても空港とは思えない光景。

ようやく見つけた自販機で飲み物を買おうとしたものの、コインがことごとくエラーに。同行者のコインもかき集め、ようやく自販機に通ったのは、ギリギリペットボトル1本分でした。日本と違って海外では自販機でエラーになるコインも多いので、余裕を持っておくことが必要です。

また、航空会社によっては飲食物の持ち込み制限をしている会社もあります。例えば、スクートはHP上に「外部からお持ち込みになった飲食物の機内でのお召し上がりはご遠慮ください。」と記載されており、海外発の便では、搭乗前に手荷物検査があり、持っている飲食物を没収されることもあるそうです。

そんなときの裏技として、空のペットボトルを1本持っておくことをおすすめします。なぜなら、入れ物さえあれば、水飲み場で水を汲むことが可能ですから。とはいえ、長時間搭乗の場合は、機内で有料の飲食物を購入することになります。この場合、積み込み数量には限りがあるため、あらかじめ予約などして確保しておくのがベターです。

LCCが飛ばなかったらどうなる?

欠航が出た場合、既存の航空会社では、自社の次の便や、その次の便などに振替をしてくれたり、増便が出たりして、乗れなかった乗客を救済してくれることが多いです。時には、他社便への振替を融通してくれることも。もちろんLCCも欠航することがあります。

ところが、LCCの場合、欠航となると次の便やその次の便への振替、増便が難しいのです。そもそも、LCCは空席をなるべく作らないように売り切って飛ぶため、次の便にも空席が少なく、そして機体をやりくりして路線を組み立てているから容易に増便もできないのです。つまり、LCCが欠航した場合、旅行の予定が大幅に狂うだけでなく、中止になることもありえます。

実際、昨年末にタイガーエアの機体トラブルによる欠航で、台北行きが中止になりました。出国手続きまで済ませ、ロビーで待っていると遅延のお知らせが。少しくらい遅れても到着できればいいやと思っていたら、結局欠航になり、全員払い戻しになるとのアナウンス。

年末の繁忙期だったため、他の便に空席もなく、泣く泣く諦めるしかありませんでした。自力手配だったため、ホテルのキャンセル料も100%。本当に運が悪かったとしかいいようがありません。LCCを使う場合、欠航にならないよう祈るしかありません。

  • 一度出国した後に再入国になるとパスポートに出国中止スタンプを押されます。

海外旅行保険で航空機遅延や欠航を保障できる?

そんな経験から、海外旅行保険で欠航保障が可能なのか、気になって調べました。

まず、入るときに最初にオプションでつけないと、基本付帯していないようです(年会費が有料のクレジットカードの場合、元々ついていることもあります)。

でも、ここで注意したいのが、これ、欠航になった便の代わりに正規の値段で購入したチケットの代金を保障してもらえるものではないということ。元々乗る予定だった便が遅延・欠航した、もしくは搭乗した便の着陸地変更により発生した追加出費、例えば1食多く食事をすることになった、または1泊宿泊することになったというときの補填にしか使えません。

また、上限額も決まっています。そして、補填を受ける場合、例えば最大2万円の補償となっていても、基本「実費」請求となるため、航空会社の欠航・遅延証明書とあわせてレシートや領収書を提出しないといけません。

  • 欠航証明書はこんな感じです(画像はタイガーエアの欠航証明書)

なんだ、あまり役に立たないじゃん! と思った方。とはいえ、台風シーズンなど条件的に遅延や欠航が起こりそうなときは、オプション料金はほんの100円とかなので、保険をかけるときにプラスしておいてもいいかもしれません。

海外旅行保険ではありませんが、LCCのジェットスターでは、遅延に対して「見舞金」を支払うオプションがあります。ジェットスター・ジャパンが運航する日本国内の全路線の航空券を「ちゃっかりPlus」または「しっかりMax」運賃で購入した場合が対象で、「ちゃっかりPlus」運賃の場合 10,000円、「しっかりMax」運賃の場合 20,000円がお見舞い金として支払われるそうです。

「ちゃっかりPlus」はプラス2,000円、「しっかりMax」だとプラス4,000円でつけることができます。受託荷物、座席指定、機内食の500円バウチャーなどもついてくるので、用途や時期に応じて選んでみては? なお、お見舞い金がでるのは国内路線だけで、国際線は対象外です。

LCCを賢く使えば、旅行ライフはさらにお得に。まだLCCデビューされていない方は、この夏こそLCC使用ツアーでお得旅デビューしてみては?

  • 回遊舎

番場由紀江

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション(株)回遊舎所属の編集・ライター。お金に関する記事以外にも、妊娠・出産・育児といった女性のライフプランに大きくかかわる分野や、ビューティ・ヘルスケア分野を主に手掛ける。『からだにいいこと preco』(祥伝社ムック)では編集長として、女性が将来のライフプランを考える上で不可欠な、「プレコンセプションケア」の概念を世に広める一翼を担った。