NECパーソナルコンピュータ(NECPC)およびレノボ・ジャパンは20日、2018年5月16日付けで両社の社長に就任したデビット・ベネット氏の就任会見を開催した。
AMD出身、古典文学好きの新社長
デビット・ベネット氏は、カナダ・トロント大学大学院在学中に早稲田大学へ留学し、日本語を習得。修了後は国際交流員として香川県に勤務し、学習院女子大学大学院でも日本古典文学を学んだ経歴を持つ。会見で「日本語が大好き」と語ったデビット氏は、古典のなかでは「古今和歌集」「土佐日記」がお気に入りだという。
PC市場には大きなチャンスがある
ベネット氏がNECレノボに入社した理由は「PC市場にチャンスがあること」「レノボが業界のリーダー的企業であること」「NECPCに世界に通用する技術力があること」だという。特に、NECPCの技術力は高く評価しており、米沢工場の納期最短3日や、群馬事業場で行っている修理業務について、「日本の製品は高品質で知られている。その技術力は秘密兵器であり、世界に展開する強みになり得る」と話した。
レノボ製品を24時間で95%修理
イノベーティブな製品を手がけるレノボ、日本企業として品質や技術力を持つNECPC、という2社それぞれの路線は継続していく。レノボではPCやタブレット、スマートフォンに加え、IoT製品やクラウドサービスを重視。企業として「意味のあるイノベーション」「顧客中心のイノベーション」を推進する。
意味のあるイノベーションとは何かをベネット氏に尋ねたところ、ライフスタイルを変える、便利にするものという答えが返ってきた。例えばベネット氏は自宅で6台のスマートスピーカーを家族と使っているという。レノボではディスプレイ付きのスマートスピーカーを発表しているが、「(ディスプレイ付きのモデルは)さまざまな情報を声と目だけで得られ、ライフスタイルが良い方向に変わる。これも意味のあるイノベーションのひとつ」とした。
その上で、レノボとNECPCとの連携をより密にしていき、特に日本企業が生み出す高品質な製品をグローバルへ展開する「橋渡し役」を務めていくと強調した。連携の成果として、2020年までに、群馬事業場に持ち込まれたレノボ製品の修理について、24時間以内に95%の修理率を達成するという目標も新たに掲げている。
FCCLとの協業で「健全な競争が進む」
社長就任から2カ月を経たタイミングでの会見について、ベネット氏は「早く行いたかったが、日本への引越しや米国出張、米沢事業場・群馬事業場への訪問などを優先した」と説明。そして「日本のチームと一体になって、顧客への一方通行ではなく、良い製品を提供していきたい」と笑顔を見せた。
なお、レノボグループが傘下に収めた富士通クライアントコンピューティング(FCCL)との協業については「レノボ・グループの観点からすると、FCCLとの協業は素晴らしい機会。今はビジネスを独立した形で運営している。健全な形で競争でき、ユーザーには製品の選択肢が増えるメリットがある」とした。