ビールの消費が低迷している。先日ビール大手5社が発表した1~6月(上半期)の出荷量は、6年連続で減少。上半期でピークだった2001年に比べると、3割減となっている。これはビール、発泡酒、第3のビール全体の傾向だ。
その最大の理由が若者のビール離れといわれている。正確には若者のビール離れというよりも、RTD(レディ・トゥ・ドリンク)へ需要が傾いているためだ。RTDとは聞き慣れない言葉だが、「すぐに飲める状態」ということ。ビール以外のチューハイやハイボールといったアルコール類が缶で出荷され、コンビニで購入した直後に飲めるというものだ。
こうしたRTDが出てくるまでは、お酒をビンで購入し、コップに移してから炭酸水といった割材や氷を入れてかき混ぜていた。ところが1980年代に「タカラcanチューハイ」が登場してから、各社がRTDを展開。それがビールの苦戦につながったといわれている。
工場への休日出勤まで強いられた好調ぶり
そんな中、ある第3のビールが好調だという。今年3月に発売されたキリンビールの「本麒麟」だ。どう好調かというと、登場から3カ月ほどで1億本を突破。本来、年間販売目標が510万ケースだったのに対し、この3カ月でその7割にあたる360万ケースを出荷したという。出荷が間に合わず、休日出勤での生産を強いられた時期もあった。
キリンは「氷結」シリーズといったRTDにも力を注いでいるが、同社にとって原点はビール。その意味で、本麒麟の好調ぶりは、同社にとって本意といえるのではないだろうか。 では、なぜこれほどまでの売れ行きとなったのであろうか。ここ最近のビール離れを考えると、明確な理由が思い当たらない。