パイオニアからエントリークラスのプリメインアンプ「A-40AE」と「A-10AE」が7月末に発売されます。上位のA-40AEが62,100円(税込)、A-10AEは41,904円(税込)という、スピーカーによる音楽再生環境を初めて導入するときにふさわしい入門機と呼べる、期待の製品です。各製品の特徴を紹介しつつ、有効な活用方法も探ってみたいと思います。
とことんピュアな音楽再生にこだわったアンプ
どちらの製品も本体はW435×H129×D323mmという、一般的なオーディオラックやテレビラックのスペースに収納できる汎用性の高いサイズ感です。シルバーの本体カラーは、部屋のインテリアにさりげなくマッチします。
人間が雑味のないミネラルウォーターを美味しいと感じるように、オーディオ機器が“いい音”を再現するためにはまず「クリーンな電源」を確保する必要があります。
パイオニアが発表したふたつのアンプは、内部の電子回路のすみずみにまでクリーンな電源を届けられるようパーツにこだわり、オーディオ信号の劣化やノイズの混入を防ぐために伝送経路の最適化も徹底しました。「ダイレクトエナジーデザイン」と呼ぶコンセプトを設計思想の基本として、アンプからスピーカーまでロスなく音楽のエネルギーを伝えることを実現しています。
中でもパイオニアが特許を出願中の「ダイレクトエナジーコンストラクション」は、通常内部のパーツに線材を使って供給する電源を、基板に配置したパターンも活用して届けることで、量産時に発生した設計のばらつきに由来する音質低下を可能な限り少なくするというものです。
ほかにも、アンプ全体にピュアな電源を供給する回路にこだわったり、底面を支えるフット(=インシュレーター)には音質劣化の要因になる不要な振動を抑えるインシュレーターを配置。内部のボリューム回路以外を飛ばして、より純度の高い音を再生する「ダイレクトモード」は本体のフロントパネル、またはリモコンのボタンからオン・オフが選択できます。
上位モデルのA-40AEは、電子回路の各部に一段とクリーンな電源供給を可能にするカスタム設計のコンデンサを採用。ボリュームノブ以外にも、フロントパネルに贅沢にアルミニウムを使ったり、光・同軸タイプのデジタル入力が1系統ずつ搭載されているのも、A-40AEだけの特徴です。
アナログレコードやPC再生にも用途はさまざま
オーディオアンプの役割は、CDなどの音楽メディアを再生するプレーヤーから送られてくる信号を増幅して、スピーカーやヘッドホンに伝えて音を鳴らすことです。最近は、アナログレコードの人気が再燃しているといわれています。勢いでアナログレコードを買ってはみたけれど、本棚の上などにジャケットを飾って眺めるだけで、一度も音を聴いたことがないという人もいると思います。
パイオニアのA-40AE、A-10AEにはともに、「フォノ入力」と呼ばれる音声入力端子を搭載しています。ここにアナログレコードプレーヤーを接続して、あとはスピーカーなどをそろえれば、アナログレコードを聴ける環境が整います。
アナログレコード再生には、盤面に刻まれている音楽信号を整えながら増幅するためのフォノイコライザーアンプが必要になります。単品コンポーネントとして販売されている高級機もありますが、今回発売されるパイオニアのアンプは2機種とも、本体にフォノイコライザーアンプを内蔵しています。
背面端子のフォノ入力にプレーヤーをケーブルで接続すれば、最適な状態でアナログレコード再生を楽しめます。プレーヤーの側にフォノイコライザー機能が内蔵されている場合もあるので、製品を選ぶ前に確認してみてください。
もちろんデジタルオーディオにも
持っているCDをデータ化して、パソコンの内蔵HDDや外付けUSB-HDDに保存、そしてiTunesのような音楽プレーヤーソフトと組み合わせて、内蔵スピーカーやヘッドホンで音楽を聴いているという人もいるでしょう。
いつものPC再生もスピーカーで聴きたくなったら、パイオニアのA-40AEがおすすめです。PCで再生中のデジタル音源をUSB端子から出力して、A-40AEの光・同軸デジタル端子に入力するためには、USB/同軸デジタル変換アダプターが必要です。
一例を挙げるなら、M2Techから発売されている「HiFace TWO」のような端末があります。A-40AEはデジタル入力の場合、最大192kHz/24bitまでのハイレゾ音源をネイティブ品質で再生できます。
ほかにも、A-40AEとテレビを光デジタルケーブルで接続すれば、アンプにつないだスピーカーから、映画や音楽ライブ、スポーツ中継もいっそう迫力のあるサウンドに包まれます。
パイオニアが発売するスピーカー製品のラインナップには、音質・設置性ともに優れるコンパクトモデル「S-CN301」もあります。価格は税込で38,058円。A-10AEと両方を定価で購入しても8万円を切るぐらいの価格に収まるので、スピーカー再生の入門編システムとしてもおすすめです。
さまざまなオーディオプレーヤーを組み合わせてみたり、スピーカーを変えて好みのサウンドを探求するのもいいかもしれません。7月5日に東京・秋葉原にオープンしたオンキヨーとパイオニアのショールーム「ONKYO BASE」にも、これからA-40AEとA-10AEが展示される機会が来ることを期待しましょう。