「中学のときベッドの下に“私設ライブラリー”を作ってました」「柱が2本立ってる映像見て『深夜じゃないぞ』と言い聞かせました」「月曜日に初体験の夜をみんなで過ごしませんか?」…いずれも“エロ男爵”でおなじみの俳優・沢村一樹が、番組の記者会見で発してきた下ネタだ。普段このようなノリを見せる男が、演技とは言え一瞬でも不気味な顔を見せると、その大きなギャップから“狂気”すら感じる。
今クールで主演を務めるフジテレビ系月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(毎週月曜21:00~)は、そんな沢村の一面が魅力となって楽しめる作品だ。
上戸彩演じる新米女性刑事・桜木泉の活躍と成長を描いてきた同シリーズのシーズン3となる今作は、沢村演じる元公安のエリート刑事・井沢範人が主人公。“未来の犯罪を予測して捜査する”ということをテーマに、潜入捜査やアクション、予期せぬ展開を盛り込んでいく。
未然犯罪捜査班(ミハン)のリーダーである井沢は、沢村本人のように飄々(ひょうひょう)としたキャラクターで、ミハン新入りの山内徹(横山裕)に「ちょいちょいムカつきますね」と面と向かって言われても、「ねっ! 一緒に捜査しよっ?」と憎めない笑顔。しかし、先週の第1話冒頭で逃走犯を平気で銃撃した上、銃口をくわえさせたり、クライマックスでも仰向けに倒れた犯人に至近距離で何発も発砲したりと、早速ダークな一面を見せていた。
きょう16日に放送される第2話(15分拡大)では、井沢が「こども食堂」のお手伝いでエプロン姿になって美人料理人(黒谷友香)にデレデレしたり、小田切(本田翼)愛用の人型タイプのクッションを何気なく背負っていたりとコミカルなシーンが随所に登場するが、どうしても、その目の奥のある深層心理を想像してしまう。そんな思いを抱きながらストーリーを見進めていくと、やはり最後に井沢が“狂気”を見せるので、注目してほしい。
前クールの4月期ドラマでは、『ブラックペアン』の渡海征司郎(二宮和也)、『家政夫のミタゾノ』の三田園薫(松岡昌宏)、『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』の椿眞子(菜々緒)、『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』のモンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)、『ヘッドハンター』の黒澤和樹(江口洋介)と、ダークヒーローが活躍する作品が目立った。だが井沢は、彼らのように、単純に言動から「毒をもって毒を制す」の立ち位置を明確にするタイプではない。そうした複雑な構図が、これまた複雑な“犯罪予測捜査”という1話完結のストーリーと絡まってくるので、集中力を必要とするが、その分あっという間に1話が終わってしまう印象だ。
ちなみに、月9の前クール『コンフィデンスマンJP』(長澤まさみ主演)は、制作側が「頭を空っぽにして楽しんで」と呼びかけていたように、『絶対零度』とは正反対の世界観だったが、“潜入”は両作に共通する必須のシーンで、後者にもコミカルな要素が。第2話では、本田翼演じる小田切が、意外にも板についた料理人ぶりを見せてくれる。
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