日立の最高機種ながら実勢価格は約10万円

日立アプライアンスは7月7日に、オーブンレンジの新製品「過熱水蒸気オーブンレンジ MRO-VW1」(以下、MRO-VW1)」を発売しました。MRO-VW1は同社のオーブンレンジ「ヘルシーシェフ」シリーズの2018年度における最高級モデルですが、市場推定価格は発売時で95,000円前後。現在、多くの国内家電メーカーが15万円を超える「プレミアムモデル」を最高級機として発売しているなか、10万円前後の「高級モデル」をトップモデルとして発表しているのが印象的です。

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    日立の過熱水蒸気オーブンレンジ「MRO-VW1」

10万円前後の高級機モデルは他社のプレミアムモデルに太刀打ちできるのか? そんな疑問を抱えつつ、新製品の説明会に参加してきました。

日立ならではの電子レンジ機能はやはり魅力的

日立の高級オーブンレンジの魅力といえば、なんといっても独自の「Wスキャン」機能です。最近のオーブンレンジは食材を入れて「あたため」や「解凍」ボタンを押せば、自動的に最適な時間だけ食材を加熱する自動加熱機能が搭載されています。

この機能を正確に動作させるには、庫内の食材状態をチェックするセンサーが重要となります。オーブンレンジには、食材の表面温度をチェックする赤外線センサー、食材からの蒸気を検知して加熱時間を決定する蒸気センサーなどが搭載されています。

現在国内で人気のプレミアムモデルのオーブンレンジでも、センサーはいずれか一種類しか搭載されていません。しかし、日立の「Wスキャン」機能搭載モデルは、なんと食材温度をはかる「赤外線センサー」と、食材の重さを量る「重量センサー」の2種類を搭載しています。このため、食材のあたためや解凍のムラが非常に少ないという特徴があるのです。

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  • 庫内上部中央にある赤外線センサー(写真左)で食材の表面温度を検知。また、庫内テーブル下には3点の重量センサーが搭載されています(写真右)

また、各センサーにはそれぞれデメリットがあります。赤外線センサーはオーブンや過熱水蒸気機能を使った後には利用できませんし、蒸気センサーはラップをした食材の温度検知ができません。ところが、Wスキャンは2つのセンサーがあるので、ほとんどの環境で正確に食材の状態をセンシングできます。

MRO-VW1は、赤外線センサーが庫内の上部中央に配置されているのも特徴です。一般的なオーブンレンジのセンサーは、さまざまな設計上の理由で庫内上部の端に配置されていることがほとんど。このため、コップなどフチの高い食器に入った食材の温度が上手く計測できないことがあるのです。MRO-VW1はセンサー位置が中央なので、この問題が起こりにくいというメリットがあります。

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    重量センサーと、中央に配置された赤外線センサーにより、加熱ミスがほとんどありません。ラップをしたまま加熱しても最適な加熱が可能なのも便利

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    会場では、MRO-VW1の状態をモニタリングできるデモンストレーションも。冷凍ご飯を入れたところ、ごはんの位置や温度、重さをMRO-VW1がリアルタイムでチェックしている様子がわかります

説明会では、冷凍した200gのミンチ肉を自動解凍する実演もありました。解凍にかかった時間は、なんと2分36秒。中心部は少しシャリッとしていますが、手で簡単にほぐれるまでに解凍されています。通常はプレミアムモデルでも、この大きさのミンチを解凍するには2倍から4倍の時間がかかることを考えると、いかに日立の自動加熱機能が優秀かわかります。

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    自動解凍モードで200gのミンチを解凍したところ。2分半ほどで中まで柔らかくなりました。加熱しすぎで変色している部分もありません

時短調理に便利な自動メニューの拡大

MRO-VW1のもうひとつの特徴が、充実したオートメニューです。オートメニューとは、MRO-VW1本体の操作パネルで料理名を選択すると、自動的にレンジやオーブン、グリル、スチーム、過熱水蒸気から最適な方法と加熱時間で調理する機能。なんと、このオートメニューは125種類も用意されています。

高級オーブンレンジのほとんどはこのオートメニューを搭載しているのですが、「料理名」と「おおよその食材量(何人分の材料を投入したか)」を選ぶ必要があります。しかし、MRO-VW1は食材の重さをオーブンレンジが量るため、料理名を選択するだけで調理可能です。いちいち食材量を考えずに調理できるのは嬉しいポイント。

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  • 会場に並べられていたオートメニューで作られた料理群。とくに驚いたのはパスタ。耐熱ボウルにパスタとベーコンを入れてオートメニュー「カルボナーラ」で加熱。最後に合わせ調味料を混ぜて完成。パスタをゆでる鍋などが必要ないのは手軽で魅力的

さらに、2つのセンサーを搭載していることで、MRO-VW1は食材の状態に合わせて細かく加熱調整ができます。このメリットを生かしたのがオートメニュー内にある「Wスキャン調理」。これは、香川調理製菓専門学校の協力によって、プロの火加減をオーブンレンジ内の自動メニューで再現したメニューです。ローストビーフ、ぶり大根など、さまざまな料理を「プロの火加減」で調理できるといいます。

会場では、このプロの火加減を再現した料理の試食もありました。メニューはローストビーフとチキンソテー、チンジャオロース、おしるこ、カップケーキの5品。なかでもローストビーフは全体に火が通っているのに、中心はピンクの理想的な焼き加減なのが一目でわかります。また、食べてみて驚いたのがチンジャオロースです。野菜がシャキシャキで、まるでフライパンで炒めたかのような食感でした。

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    会場ではMRO-VW1のオートメニューで作った料理を試食。とくに印象に残ったのは右下のチンジャオロース! 固くなりがちな牛肉が柔らかく火が通っており、野菜は驚くほどシャキシャキ

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    試食を楽しむマイナビニュース・デジタルの林編集長。あまりの美味しさに写真撮影前に料理を食べきっており、気が付いたときには最後のケーキに! 口周りがクリームだらけなのもご愛敬

プレミアムモデルに負けない魅力満載

とにかく便利、作った料理も美味しいと感じたMRO-VW1ですが、ひとつだけ気になったのが液晶表示部です。最近のプレミアムモデルは液晶タッチパネルを搭載するようになり、この液晶画面からオートメニューの料理などを簡単に選べるようになっています。

MRO-VW1は、表示部に加熱残り時間などの簡単な情報しか表示されません。このため、オートメニューの料理などを選ぶときは対応した数字を設定する必要があり、少々面倒です。このあたりの仕様は、10万円前後という価格からしかたない部分ではありますが、MRO-VW1はオートメニューが充実しているだけに、「あと3万円アップしても液晶タッチパネルがほしかった」というユーザーもいると思います。

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    一部のオートメニュー番号は本体に印刷されていますが、残りのメニューは右横にある「レシピ集」のQRコードから料理番号を検索します。Webサイトの検索性はよいのですが、面倒なことは否めません

とはいえ、本質の“調理機能”はとても高性能です。とくにオーブンレンジを購入しても、日常的に使用するのは電子レンジ機能(あたため)……という電子レンジ重視派にとって、加熱調整が優秀なWスキャン機能は非常に魅力的です。Wスキャン機能は他社のプレミアムモデルにもないため、15万円以上の超高級プレミアムモデルの購入を考えている人にも、MRO-VW1は自信をもってオススメできます。

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  • MRO-VW1は、本体の左右に隙間がなくても設置できたり(上部には10cmの隙間が必要)、庫内底のテーブルを外して丸洗いできたりと、調理以外の便利な機能も満載

炊飯器の新モデルは「少量炊き」が美味しく炊けるように

会場では、日立アプライアンスの炊飯器「圧力スチーム炊き ふっくら御膳 RZ-BV」シリーズの試食もできました。RZ-BVは、同社の炊飯器ラインナップで、最高級モデルのひとつ下となるモデルですが、最上位機種と同じように圧力とスチームを使った炊飯ができます。

  • 圧力スチーム炊き ふっくら御膳 RZ-BV

    「圧力スチーム炊き ふっくら御膳 RZ-BV」。写真の5.5合炊きのほか、1升炊きモデルも用意されています

RZ-BVの最大の特徴は、0.5合から2合までの「少量炊き」でも美味しく炊飯できること。炊飯器は少量炊きをすると、内釜上部に空間ができて熱が逃げやすくなります。このため、多くの炊飯器は5.5合炊きならば3合以上が美味しく炊ける量といわれています。

そこでRZ-BVは、2合以下の炊飯をするとき、内釜上部に熱いスチームを充満させることで、少量でも美味しい炊飯を実現。「普段は夫婦2人で1合しか炊かないけれど、お客さまが来たときのことを考えて、5.5合炊きの炊飯器が欲しい」といったニーズにもこたえます。

  • 圧力スチーム炊き ふっくら御膳 RZ-BV

    少ない量のお米でも、スチームを使って美味しく炊飯できるRZ-BVシリーズ。炊飯時に内ぶた内部に水を溜め、その水分をスチームとして利用するので、スチーム用の水を補充する必要がありません