取引先だけでなく、社内の調整や家族の説得など、いろんな場面でプレゼンテーションは求められる。しかし、それを得意とする人は多くないだろう。

プレゼンに対するアンケート調査によると、マイナビニュース会員も「言いたいことが相手に伝わらない」「緊張して頭が真っ白になる」などの課題を感じているという。

  • マイナビニュース会員1,000名(会社員・自営業)を対象に2018年6月29日~7月4日に実施したアンケートより

そこで、同じような悩みをもつ広告代理店の営業・Mさんを相手にプレゼンの誌上レッスンを開催した。トレーナーを担当するのは、大手企業の経営者を中心にプレゼン指導を行っているヴァンツアンドバリューの永井千佳さん。

Mさんは変わることが出来るか!?

レッスンを行う特訓所(会議室)にMさんと向かうと、永井コーチは、笑顔で出迎えてくれた。一見すると、企業経営者をビシビシ鍛える猛者には見えないが。

  • ヴァンツアンドバリューの永井さん。独自の方法論で「トップ広報プレゼン・コンサルティング」を開発した凄い人。

  • こちらが、実験(取材)協力してくれたMさん。かなり緊張している様子だ。がんばれ(棒)

まずはプレゼンを自己評価

最初に行われたのは、プレゼン実技。コーチの前で、Mさんが作成した企画書をプレゼンし、同時にその姿をスマホで動画撮影する。プレゼンが終わった後に、動画で自分のプレゼンをチェックするのだ。

「自分の姿を見て、反省することでプレゼンは大きく変わります」と説明する永井コーチ。

  • 自身のプレゼンを見ながら、自己採点する

自己評価チェックシートは、「声」「話し方」「目線」「表情」「身振り、手振り」「ファッション」の6指標について、5点満点(★★★★★)で採点する方式。

Mさんが自身のプレゼン動画を見る前に、永井コーチから質問が飛ぶ。

永井:「プレゼンにおけるベストな改善方法は、なにかわかりますか?」
M:「自分のプレゼンを見ることですか?」
永井:「そう。それが一番大切なのです」
M:「でも、なんか自分のプレゼンを見るのは恥ずかしいですね」

「それを見ているのは、お客様なんですよ! お客様にその恥ずかしい姿を見せてしまっているということを、まず認識してください」という厳しいアドバイスが。

美しい虎が、隠した牙を見せ始めた瞬間。

それを聞いて、遊び半分だったMさんの顔がマジモードに。張り詰めた空気が漂ってきた。完全に他人事だった私にも、その緊張感が伝わり、ちょっと息苦しい。

  • 自分のプレゼン動画を見つめて、細部をチェックするMさん

永井コーチの「今の自分の姿を見て、反省して、変えていく。そうしないと、絶対にプレゼンは上達しません」という言葉が胸にささったようだ。

コーチの評価は、以下の通り。まさに牙と爪でバッサリやられて、今にも死にそうだ……。

項目 点数(5点満点)
★★☆☆☆
話し方 ★★☆☆☆
目線 ★☆☆☆☆
表情 ★★☆☆☆
身振り、手振り ★☆☆☆☆
ファッション ★★★☆☆

今回、注力して改善すべきは「声」「話し方」「目線」「身振り、手振り」の4つだそう。以下、コーチの評価コメントも紹介する。虎によるとどめの一撃。

「声」:ちょっと一本調子でしたね。でも、声はそんなに悪くありません。トーンが低いので、発声がきっちりできると、説得力のあるダンディーな声になります。

「話し方」:声が低いので、傾向としてボソボソとした話し方になっていて、とても聞き取りにくいです。これを変えていきたいですね。

「目線」:台本(企画書)ばかり見て、私と一度も目を合わせてくださいませんでしたね。これはダメです。お客様にはアイコンタクトしてください。

「身振り、手振り」:ほとんど動作がありませんでしたね。言葉とリンクした手振りや、気持ち(パッション)を伝える身振りを加えることで、相手に伝えたいことを強く印象づけることができます。

Mさんは息も絶え絶えだが、課題を改善すれば生存できる(伸びる余地がある)。コーチによると、Mさんの秘めたポテンシャルは大きいそうだ。