日本マイクロソフトは2018年7月11日、都内で記者発表会を開催。新デバイス「Surface Go」を、2018年7月12日0時から予約を受け付け開始、同年8月28日から発売することを明らかにした。一般向けモデルの参考価格は64,800円(税別)。メモリーやストレージサイズが異なる構成で2種類を用意し、一般向け・法人向け・教育機関向けの3種類を掛け合わせた計6モデルをラインナップする。
米Microsoftが10日に公式ブログで発表したように、Surface Goは10インチクラスの2in1 PCである(キーボード部分のタイプカバーは別売)。まずは日本マイクロソフトが発表した公式スペックをご紹介したい。
- 一般向けモデルのスペック概要
- CPU : Intel Pentium Gold 4415Y(1.60GHz)
- GPU : Intel HD Graphics 615(CPU内蔵)
- ディスプレイ:1,800×1,200ドット(217PPI)、PixelSense Display、3:2アスペクト比、10点マルチタッチ
- メモリー : 4GB / 8GB
- ストレージ : 64GB eMMC / 128GB SSD
- ポート : Surface Connect、USB Type-C、microSDXC、3.5mmヘッドフォンジャック
- サイズ : 175mm×245mm×8.3mm
- 重量 : 約522g(タイプカバー装着時は約765g)
- バッテリー : 最大9時間(動画再生時)
- OS:Windows 10 Home(Sモード、一般向けモデルのみ)、Windows 10 Pro
- その他 : Office Home & Business 2016(一般向けモデルのみ)、TPM 2.0
Surface Goは、CPUではなくストレージ容量とメモリー容量でモデルが異なる。4GBメモリー/64GBストレージの下位モデルと、8GBメモリー/128GBストレージの上位モデルが存在する。
注目すべきはUSB Type-Cポート。既にSurface Book 2がUSB Type-Cポートを備えているが、Surface GoでもUSB Type-C経由の給電が可能だ。「ようやく来た」というのが正直な感想だが、スペック表には「15W未満のバッテリーからUSB Type-C経由で充電すると、Surface Connectと比較して充電時間が遅くなる」との注意書きがある。モバイルバッテリーの給電能力には細心の注意を払う必要がありそうだ。
搭載するCPU、Intel Pentium Gold 4415Yのベース動作周波数は1.60GHzのため、いわゆる重い処理(動画編集、PCゲーム、プロフェッショナル向けフォトレタッチ)は厳しいだろう。だが、Surface Goのアドバンテージはその軽量性にある。Microsoftは「顧客のニーズを踏まえて『Portable(携帯性)・Productive(生産性)・Flexible(柔軟性)・Accessible(アクセス性)』に注目した製品」(Microsoft CVP, Matt Barlow氏)と、Surface Goの方向性を語った。
Surfaceファミリーの主力、New Surface Proの携帯性も十分とは思う。800g前後の本体に(※)に、310gのSurface Pro Signatureタイプカバーを足すと約1.1kgとなる。
(※):Core m3モデルは約768g、Core i5モデルは約770g、Core i5かつLTE Advancedモデルは約812g、Core i7モデルは約782g
一方、Surface Goは約522gの本体、Surface Go Signatureタイプカバーは約243g。合計しても約765gと1kgを切る。これは日常的にPCを携帯するユーザーには大きな優位性となるだろう。かくいう筆者も、ハードウェアスペックの物足りなさがなければ、今すぐにでもSurface ProからSurface Goに乗り換えたいくらいだ。
日本マイクロソフトはSurface Goの販売戦略として、「コンシューマー」「ファーストラインワーカー」「教育機関」の3分野を想定している。「山や海辺などにも(PCを)持ち運び、ノートPCのパフォーマンスとタブレットの携帯性。『もっとできるを、軽々と』をキャッチコピーに、(Surfaceシリーズのビジネスを)2017年度比150%を目指す」(日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏)という。
ファーストラインワーカーとは、製造や建築、医療現場など現場の最前線で働く方々を指す。これまで、デジタルデバイスやITテクノロジーのメリットを享受しにくかった領域にSurface Goを投入して、「活躍の場を広げ、生産性を向上させる。パートナーと共に(Surface Go用)アクセサリも市場投入する」(平野氏)予定だと語った。
教育機関においては、ICT教育の現場整備や、2020年に始まる小学校のプログラミング教育必修化など市場の盛り上がりを踏まえ、「Surface Goで楽しく学べることを期待」(平野氏)するという。
さて、Surface Goのハードウェアスペックは今一歩とはいえ、コンパクトさに魅力を感じる人は多いのだが、いくつか首をかしげる部分があるのも確かだ。
まずは価格設定。Surface Goは海外で「399ドルSurface」として華々しく発表されたが、日本国内で一般向けモデルの参考価格は64,800円(以下すべて税別、上位モデルは82,800円)。ここに、Surface Go Signatureタイプカバー(15,400円)が加わると、下位モデルでも約8万円と、気軽に購入できる価格帯ではない。
この価格設定について日本マイクロソフトは、「Office Home & Business 2016がプリインストール(という日本特有の事情)と、市場動向や為替など多様な要因」(日本マイクロソフト Surfaceビジネス本部 本部長 小黒信介氏)と説明。
そう、もう1つがOfficeプリインストールだ。Officeがプリインストールされない法人向けモデルの参考価格は52,800円(上位は70,800円)と、12,000円の開きがある。以前から日本マイクロソフトは、SurfaceシリーズのOfficeなし法人向けモデルについて、Office 365 Businessなどを用意することを存在の理由にしてきた。
だが、Office 365 Soloのように、最大2台のPCにインストールできるサブスクリプションプランを代表格として、既にOfficeのライセンスを保持する個人ユーザーも少なくない。よって、一般向けモデルにも「Office 2016なしモデル」を用意すれば、少々割高でもSurface Goの注目度は高まるのではないだろうか。個人的には、2018年内の発売を予定しているLTE対応モデルを購入しようかと考えているところだ。
阿久津良和(Cactus)