2017年度に発生した駅係員・乗務員など鉄道係員に対する暴力行為の件数が7月9日に発表され、前年度より56件少ない656件だったことがわかった。日本民営鉄道協会加盟各社やJR旅客6社など85社局は7月13日から暴力行為防止ポスターをいっせいに掲出し、さらなる啓発を図る。
今回公表された数値は、大手私鉄16社とJR旅客6社など計34社局で2017年4月から2018年3月までに発生した暴力行為の件数を集計したもの。日本民営鉄道協会は件数が減った要因について、啓発ポスターの掲出や警察官の巡回・警備員の配置、駅構内や列車内への監視カメラの設置などが抑止につながったと分析し、報道機関などを通して鉄道係員への暴力行為が社会問題として広く知られるようになったことも大きな要因としている。
発表されたデータによれば、暴力行為の加害者の約6割が酒気を帯びており、月別では4月と12月、曜日別では金曜日、時間帯別では深夜に多く発生したことから、「暴力行為と飲酒に相関関係が見られます」(日本民営鉄道協会)と指摘。一方、加害者の年齢層に大きな差異はなく、幅広い年代層が暴力行為の加害者となっていることがわかった。
暴力行為防止ポスターの掲出は毎年この時期に実施している取組みで、今年は「つい、カッとなった。人生、ガラッと変わった。」をテーマにポスターを制作。暴力行為をする人物のシルエットに被せるようにキャッチコピーを配置し、暴力行為が犯罪であることを強く訴えるデザインとした。駅構内に約7,100枚、列車内に約6万2,700枚掲出する予定。9月12日まで掲出する。