アップルが6月に開催した「WWDC 2018」(World Wide Developers Conference)から早くも1カ月が過ぎました。WWDCで発表された「iOS 12」や「macOS Mojave」などの新OSは、パブリックベータ版が一般ユーザー向けに公開されるなど、秋の正式リリースに向けて着実に歩みを進めています。

今回のWWDCには、東京大学の平井亨武さんがスカラシップ枠で参加。先日掲載した「参加者との交流が楽しみ - WWDCスカラシップに選ばれた東大生の横顔」では、スカラシップに選ばれた経緯やWWDCに対する期待などを語ってもらいました。WWDCを終えて、平井さんがスカラシップでどのような経験をしたのか、収穫はあったのか、帰国後に改めて取材しました。

  • 米カリフォルニア州サンノゼで開かれたWWDC 2018の会場で、マネーツリー社長のポール チャップマン氏(右)と記念撮影をする平井亨武さん

開発者向けのキーノートが見応えアリ

――WWDC、お疲れさまでした。初めて参加されていかがでしたか?

平井さん:思っていた以上にエンジニア志向の場でしたね。セッションによっては話に入っていくのがやっとで、自分はまだまだ経験が浅かったんだな……と痛感させられました。

――現地では、スカラシップの方々とコミュニケーションは取れましたか?

平井さん:幸いにも、隣のドミトリーに宿泊していた中国人の方たちと仲良くなれ、一緒に食事をしたり雑談する機会に恵まれました。会期の終盤にはサンフランシスコに足を伸ばすこともでき、彼らのおかげで充実したWWDCを過ごせたと思います。

  • 現地で仲良くなったというみなさん

平井さん:会場では、胸に日本の国旗をあしらったバッジを付けていたこともあり、それに気づいた日本の社会人の方に声をかけてもらいました。会社の費用で参加しているみなさんにとって、スカラシップで参加した大学生の私は珍しく映ったようで、いろいろ質問攻めに遭いました(笑)。

  • ジャケットに着けていた日本国旗のバッジ。スカラシップのバッジも見える

  • 現地で購入したWWDC 2018のトートバッグ

――WWDCの基調講演(キーノート)ではiOSやmacOSなど次期OSの詳細が発表されましたが、平井さんはどの部分に注目しましたか?

平井さん:各OSで新しい機能が追加されたことはもちろんですが、iOS 12でパフォーマンスを大きく改善してきたところに注目しています。ユーザーの利便性を考えると、日々利用するデバイスでアプリが滞りなく動くことが何より大事だと思っていますので、すべてのアプリに影響を与えるOSでちゃんとやってきたことは評価したいと思います。

  • iOS 12では、古いiPhoneでもストレスなく使えるようにパフォーマンスを向上させると発表された

平井さん:僕の個人的な感想としては、キーノートのあとに同じ会場で開かれた「Platforms State of the Union」が興味を引きました。

――そのようなイベントがキーノートの直後に開かれていたのは知りませんでした。どのような内容なのですか?

平井さん:おなじみのキーノートが一般向けの発表だとすると、こちらは“開発者向けのキーノート”というべき存在なんです。注目すべき内容はいろいろありましたが、従来は何十時間もかかっていたデータの学習がものの数秒で終了するML(機械学習)のデモなどは見応えがありました。

――なるほど。Platforms State of the Unionは報道関係者は入場できなかったのですが、動画はアップルのWebサイトで公開されているんですね。チェックしてみたいと思います。