小田急電鉄の特急ロマンスカー・LSE(7000形)の定期運行終了にともなう記念式典が10日、新宿発箱根湯本行の特急「はこね41号」の発車に合わせ、新宿駅で開催された。LSEは同日の新宿発片瀬江ノ島行の特急「ホームウェイ83号」をもって定期運行を終了する。
LSE(7000形)は1980年、NSE(3100形)を継承する展望席を備えた特急車両として就役。流れるような直線と曲面のスタイリングが特徴で、前面ガラスの傾斜を強め、前照灯やダンパーなどを外板に埋め込み、運転室ルーフからのラインを直線に近づけたという。同社初とされるワンハンドルマスターコントローラ、電気指令式空気ブレーキとモニタ装置も採用。客室のリクライニングシートは一斉自動回転するタイプとした。サービス面も充実させたことで人気を博し、1981年に鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞している。
1984年までに4編成製造され、うち2編成が2018年まで活躍したが、今年3月の新型特急ロマンスカー・GSE(70000形)第1編成の就役を受けて1編成(7003×11編成)が引退。残る1編成(7004×11編成)もGSE第2編成の就役に合わせ、7月10日の定期運行終了が決まった。6月23日から「ラストラン記念ロゴマーク」も車体に掲出されている。
新宿駅での記念式典は、下り箱根湯本行の最終運行となる特急「はこね41号」の発車に合わせて開催された。小田急電鉄常務取締役 交通サービス事業本部長の五十嵐秀氏が登壇し、「LSEは、SE・NSEに続く形でロマンスカーのイメージを定着させた車両。シンプルな中にクラシカルな趣を持ったデザイン、車内空間は、多くのお客様の思い出として記憶に残っていることと思います。長きにわたりご利用いただいたお客様、最後の雄姿を見ようと集まった方々、多くのLSEファンの皆様に御礼申し上げたい。皆様の思いは、次に続くロマンスカーにも受け継いでいきたいと思います」と挨拶した。
記念式典では運転士・車掌への花束贈呈や、LSEと同じ1980年生まれという大野総合車両所の班長から、喜多見検車区の整備士2名へ記念品贈呈も実施された。小田急電鉄新宿管区長の内田克美氏による出発合図で15時40分頃、LSEの特急「はこね41号」は新宿駅を発車した。
特急ロマンスカー・LSE(7000形)は7月10日の特急「ホームウェイ83号」(新宿駅19時15分発・片瀬江ノ島駅20時32分着)をもって通常ダイヤでの運行を終え、その後は臨時列車に使用された後、今年度中に引退する予定。9月29日には「LSEありがとうキャンペーン」の応募者の中から100組200名を招待する「LSEで行く小さな旅」(予定)が行われる。LSEについては2021年春開業予定の「ロマンスカーミュージアム」への展示も予定されている。
なお、7月11日には特急ロマンスカー・GSE(70000形)第2編成が就役。展望席を備えた特急ロマンスカーはGSE(70000形)2編成・VSE(50000形)2編成の体制で運行される。