中村家の子育て日記その1「父親になるということ」

2018年1月。我が家に待望の第一子が誕生した。3900g越えの大きな男の子。今回は生まれて来る前後のお話。

「父親としての実感はいつ湧いてくるのだろう?」息子が生まれてくる直前、僕はそんなことばかり考えていた。

産前、妻に比べて夫の生活にこれといった変化はない。妻のおなかが少しずつ大きくなって来るのはとても嬉しいし、手をあてて胎動を感じるのも楽しい。一緒に健診に行ってエコー写真で我が子の育ち具合を確認すると、思わず笑みがこぼれる。しかし自分のおなかが大きくなるわけでもなければつわりがくるわけでもなく、日々の生活における変化は全くと言っていいほどない。楽しみがどんどん膨らむ一方、ひとりで車を運転している時や仕事の休憩中など、ふとした拍子に「父としての実感」に対する不安が湧いて来るのだ。

妻が入院する数日前、赤ちゃん用の服や肌着の水通しをした。干している時、「ちっちゃ」と思わず口に出た。小春日和の太陽に照らされながら、ゆらゆらと風に揺れる小さな服。息子がこれを着る姿を想像しようとしても、まず息子の顔のイメージが湧いてこない。果たして自分はちゃんとした父親になることができるのだろうかと更に重みを増す不安。