台風の影響を受け、不安定な天気が続くこの頃。日々時間に追われるビジネスパーソンの中には、「洗濯物問題」に悩まされる人も多いのではないだろうか。
仕事中に突然雨が降ってきても、洗濯物を取り込むために帰るわけにはいかないし、室内干しは部屋干し臭が発生しないか心配……。そこで今回は、お洗濯のプロに「上手な室内干しのコツ」を聞いてきた。
──早速ですが、室内干しのメリット・デメリットを教えてください。
室内干しのメリットとしては、主に以下の5点があげられます。
1. 外出時の雨や、夜露で濡れてしまうなどのトラブルがない。
2. 衣類の花粉、黄砂、車の廃棄ガスなどの付着が抑えられる。
3. 防犯上の心配が減る。
4. 天日干しした時の紫外線による衣類の色あせがない。
5.時間や天気を気にせず、洗濯できる。
デメリットは、外干しに比べて干すスペースが少ないので、洗濯物同士を密着して干すことになったり、外干しより風が通りにくくなることで洗濯物が乾きにくくなったりするため、いわゆる"部屋干し臭"が発生する可能性があることですね。
──室内干し独特の臭いで悩む人は多いですよね。部屋干し臭を減らす予防策はありますか?
そもそも部屋干し臭は、洗濯の時に落としきれなかったわずかな「汚れ」が化学的に変化したり、「菌」による作用を受けたりすることが原因で発生します。そこで、汚れをしっかり落とし、菌の作用を抑えるためにも、洗濯機に入れる前・洗濯する時・干す時と、それぞれ対策を行いましょう。
■洗濯機に入れる前の対策
洗濯前の衣類の菌が増殖しないように、洗濯前の衣類は湿度の高い洗濯槽の中で保管せずに、通気性の良いかごに保管しましょう。また、洗濯機自体も、定期的に洗濯槽クリーナーを使って清潔にしておくといいですね。
■洗濯の時の対策
洗剤は「除菌や抗菌効果」のある洗剤を選びましょう。それに加えて、「抗菌効果のある柔軟剤」と「液体酸素系漂白剤」を併用するとさらなる効果が期待できます。気になる汚れがある場合は、前処理をしてから洗濯機に入れることもポイントです。
洗う時のポイントは、「詰め込み洗いはしないこと」、そして「こまめに洗うこと」。汚れをしっかり落とし、菌を増殖させないことを意識して、残り湯を使った場合でも、すすぎはきれいな水道水で行いましょう。臭いが気になる場合や、洗っても臭いが残っている場合は「つけおき洗い」も効果的ですよ。
■干す時の対策
洗濯物を干しているときに、菌が増殖しないようにするためには、できるだけ早く乾かすことが大事です。そこで以下の4つのポイントを意識してみましょう。
1.洗濯物に風の通り道を作る
洗濯物を風の通り道に置いたり、洗濯物のあいだにこぶし大の間隔を開けて風の通り道を作ることで、乾かす時間の短縮にもつながります。そのためにも、カーテンレールなどの部屋の端ではなく、部屋の中央や鴨居などに干しましょう。
2.家電を効果的に使う
エアコンのドライ機能や扇風機、衣類乾燥除湿機などの家電を使って衣類のまわりの湿っている空気を交換して早く乾かしましょう。
3.角ハンガーを使用する場合、アーチ干しにする
角ハンガーを使用する場合には、より効率的に早く衣類を乾かすために、"アーチ干し"にしましょう。
アーチ干しとは、外側に長い衣類、内側に向かって短い衣類を干す方法のこと。アーチ干しをすることで、両端の長めの衣類に風が当たりやすくなるほか、アーチ下部に大きな空間ができ、風が通りやすくなるなどのメリットがうまれます。
4.アイテム別に干し方を工夫する
ジーンズやズボン、スカートは、ウエスト部分を筒状に干し、風の通りがよくなるようにしましょう。
ワイシャツやポロシャツは、襟をたてて、ボタンをすべて開けて干しましょう。
シーツやバスタオルは、ハンガーで隙間を広げて竿にかけたり、角ハンガーに蛇腹(じゃばら)状に干したりするといいです。
バスタオルは、横長にし、角ハンガーを囲むように上辺をピンチで止める「囲み干し」もいいですよ。
──干す時に、しわがよりにくい干し方はありますか?
洗濯が終わったら、すぐに取り出し、形を整えて干すことでしわを防ぐことができますよ。シャツなどは、振り裁いて、肩幅に合わせたハンガーに干し、斜め・縦・横の順番に引っ張って形を整えましょう。
──ありがとうございました!
大貫和泉
ライオンのお洗濯マイスター。消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士、健康予防管理専門士として、洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わる。現在は、2児の母親としての経験と研究活動を融合し、主婦・母親・女性目線で日々のお洗濯に役立つ情報の研究・発信を行っている。ライオンの生活情報メディア Lidea も随時更新中。